新型コロナウイルスの感染拡大は、経済にも大きなダメージを与え始め、世界恐慌の再来ともささやかれるほど企業の経営状態は悪化している。ウィズコロナはいつまで続くのだろうか。先が見えない不安の中、社員に対する補償も喫緊の課題だ。

大企業はもとより、中小企業もリスクマネジメントの検討が必要となってくるだろう。今回は万が一自社のスタッフや自社の社員が感染したときに社長が真っ先にやるべきことなど、コロナ対策としての企業の対応、リスクについて紹介する。

新型コロナウイルスの影響

企業
(画像=VidMore/Shutterstock.com)

新型コロナウイルスが恐れられている要因の一つに、その感染力の強さがある。また、潜伏期間も長く、新型コロナウイルス感染症対策本部の発表によれば、約1~14日間が潜伏期間となっている(一般的には約5日)。

主な症状としては下記が挙げられる。

  • 下痢
  • 高熱
  • 呼吸困難
  • 重症化すると肺炎

2020年4月25日現在、有効とされる薬はいくつか出てきているものの、その確実性や副作用などは不確かであり、治療薬は確立されていない。飛沫感染のみではなく、エアロゾル感染など、人との接触が感染の大きな要因となることから、各国それぞれでは「外出禁止」「施設封鎖」などの措置を取っている。

もちろん、企業とて例外ではない。テレワークに移行できる場合は、速やかに移行する。在宅での業務が難しい企業は休止状態となっていることもあり、対策に追われている。

社員が感染した企業の対応例

新型コロナウイルスの影響は、中小企業の経営にも大きな影響を及ぼしている。自社の社員が感染したときに、社長が真っ先にやるべきことはどのようなことだろうか。これまでに社員の感染が発覚した企業の対応をご紹介する。

ファミリーマート

2020年4月11日、大手コンビニエンスストアとして知られるファミリーマートでは、本社勤務のスタッフの感染が確認された。発熱によりPCR検査を受け陽性と判明した。ファミリーマートでは、接触を持った社員のテレワーク、健康観察を行う。また、職場の消毒洗浄作業の徹底も、保健所の指導のもと行っている。

その他、感染防止の取り組みとしては、緊急事態宣言の対象地区に勤務する社員をテレワークに変更し、社員が出社するケースにおいても必要最低限の人数に制限するなど、感染防止に努めている。
※2020年4月11日現在の情報による

SQUARE ENIX

2020年4月8日、SQUARE ENIX東京本社に勤務する社員1人に感染が確認された。管轄保健所指導のもと、社内における濃厚接触者の特定、当該社員の勤務スペースの消毒などを実施した。SQUARE ENIXでは、2月19日から在宅勤務や時差通勤の推奨、対面による会議やミーティングなどの見直し、海外への渡航を当面禁止するなど、感染防止の取り組みと5月6日まで全社員のテレワークを実施している。
※2020年4月9日現在の情報による

株式会社NTTデータ

NTTグループの株式会社NTTデータでは、2020年2月14日に協力会社のスタッフの感染が発覚、14名の濃厚接触者が確認されている。感染者が勤務していたビル、周辺3拠点のスタッフに在宅勤務を指示、当該ビル居室の消毒を実施した。
※2020年2月14日時点の情報による

社員の感染を公表する企業が増加中

帝国データバンクの調査によれば、感染したことを公表した上場企業(グループ会社など関連企業を含む)は2020年4月13日時点で累計210社にのぼる。2月に最初の報告があってから次第に増加し、3月は90社超だった。

いずれもテレワークの導入、マスク着用、アルコール消毒の徹底など、感染防止策は取っていた。しかし、建設や製造、小売り、サービスなど、感染防止が難しいとされる業界で感染者が増加するなど、業界の特徴を浮き彫りにした。

予防のためにいち早く、対応している企業を紹介

予防のために、早い段階で動いた企業もあった。クックパッドと高島屋の2社を紹介する。

クックパッド

クックパッドは、2020年2月18日~2020年5月31日まで感染防止策としてパートやアルバイトを含む全社員の在宅勤務を実施(2020年4月26日時点)している。新型コロナウイルスの感染の疑いがあった場合は、診断書がなくとも有給を5日間付与し、会議はビデオ会議を推奨する。やむを得ず出社が必要となった場合は、交通機関が混雑する時間を避けることなどの指導を行っている。また、採用面接は延期または中止の措置をとる。

高島屋

2020年2月25日に厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」が発表されたことを受け、2020年2月28日から営業時間を短縮した。また、店舗外で行われる一部のイベントについては中止としている。本社ビル勤務の社員に関しては、原則テレワーク、出社が必要な場合には、通勤時間を切り替えて時差通勤での対応とした。

両社ともに、2月という早い段階で方針を示し徹底を図った。テレワークなどは業種により困難な面もあるが、オンライン販売に特化する企業もあり「できるだけ安全な営業活動」「リスクの少ない販売方法」への切り替えが進みつつある。特に小売業は、その他の業種に比べて感染率が高いことが懸念されるため、企業の対策や営業方針が重要視される。

コロナ禍を生き抜くために

新型コロナウイルスは、いまだ感染拡大を続けており、終息まではかなりの時間を要することが考えられる。経営者はコロナ禍の中、いかに事業を継続していくべきか問われることだろう。感染予防の徹底はもとより、感染者が出た場合の管轄保健所との連携が最重要課題となってくる。ウィズコロナ、アフターコロナを生き抜くためにも、徹底した予防策・対応策が求められる。(提供:THE OWNER

文・THE OWNER編集部