2020年5月4日に47都道府県の緊急事態宣言の延長(2020年5月7日~5月31日まで)が政府から発表されましたが同年5月14日には39県の緊急事態宣言の解除が発表されました。しかし新型コロナウィルスによる実態経済への影響は、これから本格化してくる状況です。ホテル・観光業、運輸業から始まり残念ながらこれからより一層広範な業種に経済不況が顕在化してくるでしょう。

そのため今後不動産の価値観も大きく変化が起こる可能性が高いのではないでしょうか。本記事ではライフスタイルと密接な関係がある不動産のあり方を大胆に予測していきましょう。

コロナ禍での不動産マーケットの現状

世界,東京,不動産マーケット
(画像=voyata/Shutterstock.com)

新型コロナウィルスにより住まいとオフィスの両方に大きな影響が出ています。まず実需不動産の最新の首都圏のマンション販売最新動向(2020年3月度)を確認していきましょう。株式会社不動産経済研究所が行った「首都圏のマンション市場動向(2020年3月)」によると「新規販売戸数」「地域別販売戸数」「地域別契約率」は以下のようになっています。

2020年3月の新規発売戸数

2020年3月の新規発売戸数2,142戸で対前年同月(3,337戸)比 35.8%減と大幅減、一方2020年2月の1,488戸と比べると44.0%増です。

2020年3月の地域別発売戸数

2020年3月の地域別発売戸数は東京都区部1,074戸(前年同月比30.6%減)、都下146戸(同53.4%減)、神奈川県646戸(同23.3%減)、埼玉県98戸(同68.2%減)、千葉県178 戸(同45.4%減)と対前年度比で大幅減少です。

2020年3月の地域別契約率

2020年3月の地域別契約率は都区部68.1%、都下66.4%、神奈川県76.2%、埼玉県57.1%、千葉県69.7%でした。

実際、売買や建築の現場で新型コロナウィルスの影響が出ており、購入マインドの冷え込みと所有することが困難になり売却に出すケースもあるでしょう。三鬼商事株式会社の「オフィスマーケットデータ東京ビジネス地区/2020年4月時点」によると東京都心のオフィス空室率は1.56%で2020年3月に引き続き上昇しました。

今後新型コロナウィルスが収束に向かったとしてもテレワークなどの在宅勤務の浸透によりオフィス需要の不透明感が一層強まってくるのではないでしょうか。

アフターコロナの生活面のパラダイムシフト

2020年5月14日時点で39県については緊急事態宣言の解除が行われましたが決して油断できる状態ではありません。新型コロナウィルスとの闘いは長期戦になります。そのため当面はウィズコロナの時代を生き抜くことを心がけることが大切です。ワクチンや治療薬が世に出回るまで新型コロナウィルスといかに共存していくかを考えなければなりません。

実際、在宅勤務の期間が長くなってくると慣れない作業で大変ながらもテレワークで何とか回せることができることにオフィスワーカーたちは気づき始めています。事実GoogleとFacebook は在宅勤務を年末まで延長しました。もちろん対面で顧客対応する必要のある職種や医療従事者の人たちは、出勤する必要があります。

しかしソフトウェア開発に携わるエンジニアなどは、オフィスに出勤する必要がなく自宅で開発作業などは十分可能な時代です。また営業活動も今後は対面が必要となる場面は「VIP対応」「クレーム対応」だけで通常の営業はZoom、Teams、Google MeetといったWeb会議システムで顧客に十分プレゼンすることもできます。

ビジネスのやり方が大きく変わると、ひいてはライフスタイルの大変革が起こりそれに伴い従来の不動産への考え方も大きく変わってくるでしょう。今までは、都心への通勤前提で不動産を購入していました。すなわち通勤時間が短いことが最大の価格決定要因となっていたわけです。今後この考え方が崩れ自宅でも仕事することが可能となれば極端な話、日本のどこでも仕事ができることになります。

またリビングコストが安く災害の少ない海外に拠点を移しそこからアクセスすることも可能です。それを踏まえると以下の7つのようなことが考えられるでしょう。

  • 満員電車に片道1時間も費やされ、ものすごいストレスとなっている通勤自体が必要か
  • 必然的に駅近物件が有利でなくなる
  • そもそも東京および首都圏に不動産を持つ意味を見出せるか
  • さらに現在の不動産価格が続くと首都圏や近畿、中部圏で不動産が買えるのか
  • 高コストの都心のオフィスビルが今まで通り必要なのか
  • 5Gなどの通信インフラの整備によりIoTがより一層進み、どこでも仕事ができる環境が一層進む
  • 今後発生の可能性がある首都直下型地震への備えとして首都圏からの人口の分散が急がれる

こういったことを考慮すると不動産所有に対する考え方のパラダイムシフトが起きてもおかしくはありません。いわゆる都市から地方ヘ人が流れる「疎開型」ライフが促進される可能性があります。

今後の不動産の姿を大胆予想

これらを踏まえて今後起きるかもしれない不動産の持ち方を大胆に以下の3つの観点から予想してみましょう。

  • 都心以外の土地の安い場所でリビングスペースとワーキングスペースを分けた戸建てに住む
  • 地方や首都圏の周りのドーナツベルト地帯にコワーキングスペースやシェアオフィスがあり、そこが各事業所の分散型オフィスになる。したがって都心に近いところが必ずしも価値があるといえなくなる
  • どうしても都会の好きな人たちは、平日と週末のデュアル・ハビットに

アメリカでは、カナダのトロントで計画していたサイドウォーク・ラボ社(Google傘下)のスマートシティ構想が、今回の新型コロナウィルスの先行き不透明感から中止に追い込まれました。一方日本では、2020年1月トヨタ自動車株式会社が中心となりパナソニック株式会社や三井物産株式会社が出資し新会社を設立。

そこにパナソニックホームズやミサワホーム、トヨタホームをぶら下げる構想を発表しました。今回のコロナ禍でさらに国内人口の減少スピードが加速されることが想定されます。その中でスマートシティ構想が、東京へ人口流入を食い止め地方への人口移動を進める一つの基盤となることに期待したいところです。(提供:YANUSY

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