新型コロナウィルスによる外出自粛の影響でEC(通販)の需要が急拡大、異業種の参入も相次ぎ今後は倉庫の不足も予想されます。大規模土地を所有するオーナーにとっては、倉庫賃貸の絶好の商機になるでしょう。そこで倉庫賃貸のメリット・デメリットについて考えます。
外出自粛がもたらした通販需要の急拡大
新型コロナウィルスによる政府の外出自粛要請で予想されたことですが、やはり通販の需要が拡大している傾向です。株式会社アパレルウェブの「2020年度ファッション企業における自社ECの推移」によるとコロナの影響が顕著になった2020年3月1~4週のアパレル、ファッション雑貨ECサイトの合計売上が前年比で平均22.25%の増加となりました。
この数字はまだ外出自粛が実施されていない時期のデータです。そのため本格的な外出自粛で実店舗の休店が相次いだ4~5月にはさらにECへ需要が集中しているものと予想されます。
大規模な倉庫が求められている
今後ECの需要を押し上げそうなのが、医療用商品の品不足問題です。家電メーカーのシャープ株式会社が家庭用マスクの製造を開始したのをきっかけに異業種のヘルスケア商品分野への参入が増えています。シャープ株式会社のマスクは抽選販売になるほどの注文を集めており成功例として他メーカーのさらなる参入を呼び込む可能性があるでしょう。
自動車最大手のトヨタ自動車株式会社も2020年4月27日から医療用フェイスシールドや医療用マスク、防護服などを自社のサプライチェーンを通じて供給していく方針です。通販を目的とした物流倉庫の場合は、配送車の駐車スペースを確保する必要があることから、ある程度大規模な倉庫が求められるでしょう。倉庫の需要の高まりはデータにも表れています。
賃貸倉庫情報サイトのCBREのレポートによれば賃貸倉庫・物流施設市場における2019年第4四半期の首都圏大型マルチテナント型物流施設の空室率は、わずか1.1%という低い数字でした。一方で2019年の年間新規需要は70万5,000坪と過去最高を更新。首都圏全体の実質賃料も1坪4,290円で前期比1.4%上昇しています。
倉庫賃貸のメリット・デメリット
倉庫賃貸のメリット・デメリットは、経営する倉庫の種類によって異なります。倉庫には「自家用倉庫」と「営業用倉庫」の2種類があります。このうち営業倉庫を建築するためには「倉庫業法」に基づき国土交通大臣の登録を受けなければなりません。自家用倉庫は自社の物品などを保管する事業所を指します。借主であるテナントが自社製品を管理するため、倉庫業法には該当しません。
自家用倉庫は営業用倉庫よりも開業しやすいのがメリットです。テナントは基本的に一棟貸しになるため、賃料収入も安定します。ただし「物流倉庫として荷物の委託を受けることはできない」という点はデメリットです。一方、営業用倉庫は物流施設としての機能を備えているため、大手企業からの受注が期待できます。
規模の大きな事業を営めるのがメリットな半面、かなりの初期投資がかかることはデメリットです。営業用倉庫の業務は、商品の検品から始まり入庫、荷札付けなどの加工、ピッキング、仕分け・荷揃え、出庫まで行います。そのため人員もかなり必要、個人で経営するのは難しいかもしれません。法人オーナーであれば有力なビジネスチャンスになるでしょう。
消費行動の変化で通販の需要は今後も増える
新型コロナウィルスが終息したとしても国民の消費行動は以前とは違ったものになる可能性があります。「新しい生活様式」といわれるものでソーシャルディスタンスを意識するなどコロナ問題で生じた消費行動が継続される可能性が高いでしょう。「買い物は通販で間に合う商品は実店舗へ行くのを控える」という消費行動が定着することも予想されます。
倉庫賃貸の需要は社会構造の変化を考えると今後も増えることが予想され大規模土地を保有するオーナーには商機到来といえるでしょう。物流倉庫の建設は大規模な開発が必要なため、住宅をメインにした一般の不動産会社では対応できないと考えられます。デベロッパーを兼ねた規模の大きな不動産会社に相談するほうが無難です。
また倉庫は種類によって建築制限を受ける立地もあるため判断が難しいのが実情です。法務に強い不動産会社に依頼すればなお理想といえるでしょう。(提供:YANUSY)
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