インターネット広告大手のサイバーエージェント <4751> が時価総額で一時、電通グループ <4324> を初めて逆転した。電通グループといえば日本の広告業界の「ガリバー」として君臨する最大手である。インターネット広告等に強みを持つサイバーエージェントは、電通グループ、博報堂DYホールディングス <2433> に次ぐ業界3位につけているが、売上規模では電通グループの10分の1にも満たないのが実情である。そのサイバーエージェントが時価総額で一時「電通超え」となったのだ。日本の広告業界に何が起きようとしているのだろうか?

今回はサイバーエージェントの最新動向をリポートする。

広告業界のガリバー、電通グループの時価総額を上回る

サイバーエージェント,株価
(画像=Graphs / pixta, ZUU online)

広告大手3社の売上を見ると、電通グループの2019年12月期は1兆0478億円、博報堂DYホールディングスの2020年3月期は1兆4662億円、そしてサイバーエージェントの2019年9月期は4536億円となっている。ただし、注意を要するのは電通グループは2015年3月期から国際会計基準のIFSR方式を採用している点だ。ちなみに、電通グループが有価証券報告書で開示している「日本基準」の売上は5兆3572億円である。同社が日本の広告業界のガリバーと呼ばれる所以だ。サイバーエージェントは業界3位といっても、売上では電通グループの10分の1以下、博報堂DYホールディングスの3分の1以下にすぎない。

そうした中で注目されるのは、サイバーエージェントと電通グループの時価総額が一時逆転したことだ。5月20日、サイバーエージェントの株価は終値ベースで4.7%高の5310円となり、時価総額は6713億円となった。同日の電通グループは0.3%安の2313円、時価総額は6670億円で終値ベースで初めてサイバーエージェントが上回ることとなった。その後、電通グループの株価も反発して再びトップの座を奪回しているが、今回の時価総額逆転劇は日経電子版(5月20日付)でも取り上げられるなど話題となった。

サイバーエージェント株は約2カ月で75%上昇