安定収入のある会社員は「不動産投資ローンの審査で有利」とよくいわれます。この特性をうまく利用して不動産投資をはじめた人が独立開業や転職をした場合、どのような影響があるのでしょうか。今回は不動産投資ローンを利用している人が退職した場合の影響や、独立開業後に備えて「サラリーマンのうちに不動産投資をはじめたほうがいい理由」について解説します。

過去の不動産投資ローンに影響はないが新規融資は不利

ローン
(画像=Freer/stock.adobe.com)

結論からいえば、会社員が独立開業をしたり転職をしたりしても退職前に組んだ不動産投資ローンにはほぼ影響はないでしょう。ただし一般的にローン契約の約款には、「届け出事項に変更」があった場合の速やかな金融機関への報告義務が定められています。また返済が滞りなく行われていれば、基本的に退職した事実によって金利や返済期間などの条件が変更になることもありません。

一方で「退職後に不動産投資ローンを組みたい場合」はどうでしょうか。独立開業、転職、いずれにしても退職後の不動産投資ローンの新規融資はかなり高いハードルです。なぜなら、独立開業や転職後は審査の一つとなる安定的な収入が確認できないからです。特に独立開業時は安定性が低いため、金融機関から「貸し倒れリスクが高い」と見られかねません。

独立開業後すぐの場合でも、政府系金融機関の日本政策金融公庫のローンを利用して不動産投資をはじめることはできます。しかし設備資金の場合、返済期間は10~20年と一般的な不動産投資ローンに比べて短くなるため、キャッシュフローで不利になりやすいです。

キャリアアップの転職ならローン審査で不利にならない?

独立開業ではなく転職の場合も、不動産投資ローンの融資審査では不利になる可能性が高いでしょう。なぜなら、一般的に3年以上の勤務年数がないとローン審査は通りにくいといわれているためです。ただし、これはあくまでも目安であり、入社後3年経ったからといって必ずしもローンが組めるわけではありません。「キャリアアップのための転職なら融資審査に影響がない」という意見も散見されます。

しかしこれは、金融機関によって大きく異なるでしょう。「中小企業から大手企業にヘッドハンティングされた」「収入が大幅アップした」といった分かりやすい状況でない限り、本人は「キャリアアップ」と思っていても、周囲からは「一般的な転職」と捉えられる可能性があるからです。そのため転職後は、不動産投資ローンの融資審査では不利になると考えておいたほうが無難です。

不動産投資は独立開業後のセーフティーネットになる

独立開業・転職をしたら不動産投資ローンで融資が受けにくくなる現実から、「今のうちに不動産投資をはじめる」「投資物件を積極的に買い増しする」といったことを検討するサラリーマン投資家もいます。投資物件を所有してから独立開業すれば、セーフティーネットが確保できるという点は大きなメリットです。

不動産投資ローンを組むと、一般的に金融機関から団体信用生命保険(団信)への加入が求められます。団信に加入していれば、「契約者が亡くなる」「大病で働けなくなった」といったときにローン残債が保険金で相殺されます。そのため、団信がセーフティーネットの役割を果たしてくれるのです。

また自営業者は、独自に小規模企業共済などを利用していなければ、退職金がありません。そのため老齢年金の額も、サラリーマンに比べて大幅に少ない傾向にあります。しかし不動産投資をしていればローン完済後は家賃の大半が手残りになるため、「老後の生活資金が不足する」といった心配の解消も期待できます。

不動産投資は独立開業後の節税対策になる可能性も

不動産投資をはじめておいたほうがよいもう一つの理由は、「節税対策」です。独立開業後は、儲けを出すことと同時に節税も重要になります。

不動産投資で節税ができる理由は、収支が赤字になった場合に赤字分と本業の事業所得を相殺して、所得税の対象となる所得を圧縮できるからです。これは、サラリーマンの給与所得と不動産投資の赤字を相殺できる仕組みと同様です。不動産投資をしていれば所得税を抑えつつ、老後資金を生み出す源泉をつくり続けるというスキームが期待できるのです。(提供:Incomepress


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