ペットは飼い主にとって家族のような存在となり、それが心身の健康維持などさまざまなメリットをもたらすと考えられています。このことから、人とペットが共に安心して楽しく暮らせる環境の整備を進める地域もあります。今後、ペットとの共生を打ち出したスマートな街づくりを進めることをコンセプトに、新たな取り組みが登場するかもしれません。

すでに飼育数は子どもの数を上回る。ペットはますます家族化へ

ペットスマートシティ,可能性
(画像=chendongshan/stock.adobe.com)

日本における犬と猫の飼育頭数は、15歳未満の子どもの数を上回っています(一般社団法人 ペットフード協会「2015年全国犬猫飼育実態調査」)。核家族化や少子高齢化、さらにペットの小型化や屋内飼いが進み、飼い主にとってペットは子どものような存在として家族の一員であるとの価値観が一般的に定着するようになりました。

ペットが家族化、長寿命化したことで、人と同じようにペットの健康や医療、保険、レジャーなどへの支出がなされるようになりました。1頭当たりの消費額も増加傾向です。

ペット飼育は心身を健康に。社会的な交流にもつながる

ペットに愛情を注ぐことは、心身の健康を維持する上で有効だとされています。犬との散歩が習慣になれば、運動不足が解消され、散歩や餌やりのスケジュールは、規則正しい生活につながるでしょう。また、ペットとの触れあいで笑いが生まれたり、心が穏やかになったりすることで、ストレスや不安が軽減され、情緒的な安定を維持できると考えられます。

社会交流の機会を持つきっかけになる場合もあります。犬を散歩させる飼い主同士は知り合いになるケースも多く、人とのつながりが増えて、コミュニティイベントに参加する機会があるかもしれません。同じ目的を持つ人と交流することで、幸福度が増すでしょう。

ペットと暮らしやすい街へ。横浜市の取り組み

このような動きを受け、ペットの家族化や飼育のメリットに着目し、人とペットが幸せに共生できる街づくりを掲げる自治体もあります。

横浜市は、人と動物がともに快適に暮らせる環境づくりを推進しています。災害時のペット対策として動物救援センターの整備を行ったり、飼育マナーの指導ができるボランティアを育成したりするなど、行政として継続した取り組みを行っています。

これらの取り組みもあり、観光地としても有名な公園やショッピング街は、犬と散歩や買い物を楽しめるスポットとなっており、ペットに優しい街を実現しています。

横浜市内で犬や猫と暮らせる物件が増えているほか、国内最大級の屋内ドッグランと犬のホテル、リハビリ、フィットネス、トレーニングエリア、さらには介護や医療の専門スタッフを備えた大型施設もあります。ここには広いコミュニティスペースもあり、飼い主間の交流も生まれているようです。

ドイツや米国など、海外で進むペットに優しい街づくり

横浜市の例を紹介しましたが、それでも日本は欧米に比べると、ペットと人が共に安心して暮らせる環境やインフラが十分に整備されているとは言えません。

ペット先進国のドイツには、ペットの犬に課税する「犬税」があり、税収は一般税として街の清掃や公園整備にも活用されています。税額は州によって異なりますが、主な大都市では1頭100ユーロ以上で、適正な犬の管理にもつながっているようです。公共交通機関や飲食店に犬を同伴することも一般的で、しつけできる「犬の学校」も多数運営されています。

米国では、ペット用の顔認識ソフトを利用し、行方が分からなくなったペットとの再会を支援するサービスのほか、ペットのライセンス取得を容易にするアプリを活用している自治体もあるようです。さらに、アプリやソーシャルメディアで、ペットを飼いたい人と保護された動物をつなぐサービスも提供されています。

テクノロジーも活用、街と地域再生につながる可能性も

このほか、海外ではテクノロジーを活用し、ペットに優しいスマートな街づくりを目指す動きもみられます。今後、IoTやビッグデータを活用し、ペットの頭数や消費、行動パターンなどのデータを収集して、ペットの安全や健康を考慮した街づくりに生かすことも考えられるでしょう。留守中のペット見守りカメラサービスなども増えています。

このような動きは、街の魅力を高め、街や地域の再生にもつながるでしょう。素晴らしきパートナーとしてのペットと幸せに暮らせる、富裕層向けの街づくりを目指す新たなコンセプトも今後生まれるかもしれません。(提供:JPRIME


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