区分所有の分譲マンションを取得し賃貸住宅として運用する不動産投資は、「新築マンションがいいのか」「中古マンションがいいのか」という選択があります。新築マンションは中古マンションに比べて物件価格が高い傾向がありますが、その分、最新の建築技術で建設され、住宅設備も最新のものがそろい、外観もきれいです。

そのため、周辺の中古マンションに比べると入居者を確保しやすく、「家賃を高く設定できる」といったメリットがあります。中古に比べて耐用年数も長いので、長い目でみた資産価値を維持しやすいのも魅力でしょう。

将来設計などに応じて選択することが重要

投資用マンション,メリット,デメリット
(画像=toufete/stock.adobe.com)

中古マンションは、何より物件価格が安く取得しやすいのが最大のメリットです。物件価格が安いといっても、新築マンションに比べて賃料がそう安くなるわけではないので、物件取得価格に対する年間賃料収入の割合を示す「表面利回り」が高くなります。しかしその分、建築後の経過年数に応じて建物や設備が古くなっているため、維持管理コストがかかりがちです。

また、新築に比べると入居者を確保しにくく、「空室リスクが高くなる」といった問題があります。投資家側からみれば、「新築マンションの安定をとるか」「多少リスクが高くても、利回りを優先して中古マンションにするか」といった選択になるのです。そのため、以下のようなポイントを押さえたうえで、将来設計などに応じて選択を検討するのがよいでしょう。

  • 手持ちの資金はどのぐらいか
  • ローンとして調達できる資金はどのぐらいか
  • ずっと保有し続けるのか
  • 一定期間後に売却や買い換えなどを行うのか
  • 買い増しするのか など

中古マンションなら新築の6割以下で取得可能に

予算面でみると、新築区分マンションと中古区分マンションには大きな価格差があります。東京カンテイが公表している「マンションデータ白書2019」によると、2019年の首都圏の新築マンション平均価格は5,904万円でした。2009年の4,443万円に比べると、10年間で約32.9%も上がっています。直近でも2018年の5,592万円から約5.6%のアップです。

一方、首都圏の中古マンションをみると2019年の平均価格は3,395万円、2009年の2,647万円に比べて約28.3%の上昇率ですから新築ほどではありません。上記の期間での集計では、中古マンションなら新築マンションの6割以下(約57.50%)の価格で取得できる計算のため、予算的には格段に中古マンションへの投資がしやすいといえます。ただ価格が安い分、そこから得られる賃料は少なくなってしまう傾向です。

同調査によると2019年の首都圏における新築マンションの3.3平方メートルあたりの賃料は1万3,545円です。33平方メートルのワンルームや1LDKなどだと、約13万5,000円の家賃になります。

中古の平均賃料は新築の7割程度にとどまる

同調査によると中古マンションの3.3平方メートルあたりの賃料は9,568円のため、33平方メートルでは約9万6,000円です。賃料収入は4万円ほど少なくなってしまい、年間で50万円近い差となるため、かなり大きな違いです。ただ、投資物件から得られる年間の賃料が取得価格の何%を占めるかを示す「利回り」は、中古マンションのほうが高くなります。

東京カンテイの調査によると、2019年の新築マンションの利回りは5.25%で、中古マンションは6.19%です。中古マンションのほうが少ない資金で高い利回りを確保でき、約16年で投資資金を回収できます。一方、新築だと回収までに19年かかる計算です。管理面では、中古マンションだと賃貸管理を委託する管理会社を、自分で探さなければならないケースが多くなります。

不動産投資のベテランであれば経験も豊富でしょう。これから本格的に投資を始めようとする人であれば、賃貸管理までを一任できるマンションのほうが安心かもしれません。(提供:YANUSY

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