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九州で圧倒的に産業のトップを走るのは福岡ですが、製造業に目を向けると大分は福岡に次いで二位となっています。大分は三位の熊本と出荷額で二倍近い差をつけており、九州の製造業は福岡と大分の二強とも言える状況です。

そんな大分は製造業の強みを生かし、IoT、ドローン、ロボット、医療機器といった先端技術でのイノベーションを起こすべく様々な取り組みを実施しています。

今回の「CLOSEUP OI」では、大分県が掲げる大分版第4次産業革命「OITA 4.0」と、それを実現するための枠組みを紹介します。

関連ページ:大分県の産業構造

大分県版第4次産業革命「OITA 4.0」

IT技術を活用し社会問題を解決する事業が勃興している現代の状況を内閣府は「第4次産業革命」と位置づけており、新たな概念として定着しつつあります。具体的にはIoTやビッグデータ、AIなどの先端技術を用いて課題解決に資するサービスを指しています。

この第4次産業革命の大分バージョン「OITA 4.0」を大分県は産業活力のコアとして、県をあげて推進しようとしているのです。大分の県内と県外の企業の技術をかけ合わせて共創を実現することで、OITA 4.0の基盤を作る計画です。

関連ページ:大分県版第4次産業革命「OITA 4.0」への挑戦

事業立ち上げ期を支援する「大分IoT推進ラボ」

OITA 4.0を成功させる中心的な役割として設立されたのが「大分IoT推進ラボ」です。企業誘致の促進やIT人材の確保・育成で技術革新の土台を整備し、そこから実際に技術革新を起こすために大分IoT推進を介してプロジェクトを続々と立ち上げることが目的の施設です。

「IoT」と冠した施設ですが、AI、ビッグデータ、ロボット、センサー、ドローンなど、世の中のニーズに応じて、専門技術を持った会社や人をマッチングさせる役割を担います。

関連ページ:IoT推進ラボ 地方版

大分からイノベーション人材を育成する「おおいたイノベーターズコレジオ」

大分からイノベーション人材を輩出するために設立されたプログラムが「おおいたイノベーターズコレジオ(OIC)」です。OICを運営するのはシステム開発や人材育成事業を展開するザイナスで、「オープン・イノベーション」 「ダイバーシティ」「リベラルアーツ」をテーマに、立命館アジア太平洋大学学長でライフネット生命創設者の出口治明氏など、様々な分野から講師を招いてプログラムを推進しています。

講義でインプットできるだけでなく、受講生同士の交流や、レンタルスペースの利用、修了後のイノベーション活動のサポートなどが受けられます。

関連ページ:Oita Innovators Collegio

県内のものづくりを支援する「先端技術イノベーションラボ」

大分には、商工労働部が策定する「おおいた産業活力創造戦略」の推進機関として、県内企業の個々の技術的な課題解決に取り組む技術支援機関「大分県産業科学技術センター」があります。

そして、大分県産業科学技術センターが「OITA4.0」の取り組みの一環として設置したのが「先端技術イノベーションラボ」です。先端技術イノベーションラボは、電磁環境測定棟、リサーチ棟、さらにテストフィールドを有しており、これらを活用して「ドローン産業の成長促進」と「電磁応用産業の育成」を目指しています。

大分IoT推進ラボがIoTに特化した施設ならば、先端技術イノベーションラボはものづくり全般を支援する施設と言えるでしょう。

関連ページ:先端技術イノベーションラボ

大分県での共創事例

大分で既に稼働している共創事例から、特徴的なものをいくつか紹介します。

■機運の高まりを受けて開催されたOITAドローンフェスタ

OITAドローンフェスタは2018年から開催されている大分のドローン産業振興を図る展示会。開催のきっかけについて、大分経済新聞では「『先端技術イノベーションラボ(Ds-Labo)』開設などを受け、県内のドローン産業に対する気運を高める目的で初開催」と説明されており、前述の先端技術イノベーションラボが県内の産業に与えている影響が伺えます。

関連ページ:大分市で「ドローンフェスタ」始まる 家族連れらが操縦体験満喫、最先端機もずらり

■大分トリニータが共創をテーマにマーケティング子会社を設立

Jリーグのサッカーチーム「大分トリニータ」を運営する大分フットボールクラブはJリーグとしては初となるマーケティング子会社としてトリニータマーケティングを2019年12月に設立しています。

テーマのひとつに共創を掲げており、既に地元食材を使用したコラボ弁当をローソンから発売したり、豊和銀行と共同でトリニータのマスコットキャラクター 「ニータン」デザイン通帳をリリースするなど、様々な共創を実現しています。

関連ページ:大分県産食材を使用した「大分トリニータ×ローソン」 コラボ弁当発売のお知らせ

関連ページ:豊和銀行にて大分トリニータ マスコットキャラクター 「ニータン」デザイン通帳取り扱いのお知らせ

【編集後記】県内テック企業の合言葉としての「OITA 4.0」

県内の産業を活性化させるための合言葉として「OITA 4.0」を掲げている大分。「先端技術で産業を盛り上げたい」と考える自治体は数多くありますが、大分がイノベーションに積極的だとアピールするために「OITA 4.0」というキャッチーなフレーズを用意したことは賢い戦略のように思えました。

県内外のテック企業は「OITA 4.0」の号令によってイノベーションのベクトルをあわせることができますし、広報の観点からも注目を集めやすくなりそうです。

(eiicon編集部)