貯蓄や資産運用をするうえで、相談できる専門家に「ファイナンシャルプランナー」(FP)がいます。FPにもそれぞれ得意分野があり、相談者との相性も重要になってきます。大切な資産形成の相談をするのですから、信頼のおけるFPなのか、経験は十分なのか、的確なアドバイスをしてくれるのか、相談者の身に寄り添って相談にのってくれるのか、などを見極めたいところです。そこで自分に合ったFPを見つけるために聞いてみるといい「質問」をまとめてみました。
聞かれたら嫌な質問も?
(1)「投資のメリットとデメリットを教えてください」
この質問のポイントは「デメリット」をしっかり説明してくれるかです。メリットばかり強調していないか、特定の商品分野に偏った説明をしていないかなどに注意して聞きましょう。
FPの投資に関する知識もある程度把握できるでしょう。というのも、投資にはさまざまなリスクがあります。投資商品による価格変動のリスク、海外への投資には国や政治経済の状況によるカントリーリスク、通貨変動による為替リスクなどがあります。このようなリスクについて、分かりやすい説明ができるかどうかで、FPの知識や理解度が図れます。
(2)「○○○についてよく分からないので教えてください」
相談者のレベルに合わせて分かりやすく教えてくれるかどうかも、FP選びの重要なポイントです。専門用語ばかり並べられても、相談者が理解できないと意味がありません。またFPから説明を受けている際に分からないところがあったら、流してしまわずに聞いてみましょう。「こんなことを聞いたら恥ずかしい」と思う必要はありません。事前に何について聞くかリストアップしておくのもよい方法です。
(3)「株や投資信託に投資したことがありますか?」
投資経験を聞くのもFPを選ぶ際の基準の一つになります。自分の投資経験を踏まえて相談に乗ってくれるほうが安心できるからです。自分で投資をしたことがない、またはあまり投資の経験がないFPも存在します。金融機関所属のFPの場合は投資に一定の制限があったり、このような質問に明確に答えることができなかったりすることもあります。
また、投資助言・代理業者でないFPは、投資判断に関する助言として商品名を具体的に出すことは、日本FP協会会員倫理規定により禁じられています。質問する場合には「株にも投資したことはありますか?」というような質問にとどめ、「おすすめの株はありますか?」といった質問は避けるようにしましょう。
(4)「私のような個人の相談もたくさん受けてらっしゃるんですか?」
相談経験がどのくらいあるかを知る目安になります。似たようなケースの相談経験が少なくても、知識が豊富で熱心に相談に乗ってくれるFPもいますので、相談経験を重視したときには聞いてみてもよいでしょう。
以上のような質問を複数のFPに相談してぶつけてみると、質問への回答の違いを比較することが可能になります。そうすることで、より自分に合ったFPとの出会いに近づけることができるのではないでしょうか。
FPの無料相談と有料相談の違いは?
FPへの相談には、無料と有料があります。例えば銀行や証券会社にはFP資格をもった担当者がおり、相談は無料でできます。ただ、金融機関所属のFPは会社員であるため、自社で扱っている商品を勧めようとする可能性があることは念頭においておきましょう。
一方、金融機関や保険会社などに属さない独立系FPへの相談は有料の場合もありますが、より中立な立場でのアドバイスが期待できます。FPにも得意分野がありますから、自分が相談したい内容・分野に強そうなFPを探すとよいでしょう。多くの独立系FPはホームページやSNSで発信していますので、インターネットで検索し参考にしてみてください。
FPとの出会いには、知人による紹介というケースもあります。ただ、紹介者には合っていたFPが自分にも合っているかどうかは分からないものです。貯蓄や資産形成は長い期間にわたって続けることですから、FPとのお付き合いも長くなる可能性があります。納得できるまで相談して、自分に合ったFPを見つけましょう。
執筆者:福島 佳奈美(ファイナンシャルプランナー)