新型コロナウイルスの影響を受けて米国株は2020年2月から3月にかけて急激に下落しました。

しかし、2020年4-6月期のアメリカのGDPはマイナス30-40%の歴史的な落ち込みになるかと言われているなかで、株価だけは最高値からわずか8%低いだけの水準にまで急激に回復しています。

低迷する経済をおいてけぼりにして株価が回復する様子に、一部ではバブルではないかと懸念する声も上がっています。

また、多くのヘッジファンドも株を買うのに慎重になっているようです。私も経済と株価の動きにあまりも大きな隔たりがあるので、短期的には米国株が大きく下げる可能性はあると思っています。

それでも、景気が回復すれば米国株が最高値を更新すると考える理由をこの記事で書いていきます。

この記事のポイント

  • 2020年6月17日現在S&P500は最高値から8%安い水準。これは最高値の状態から景気停滞の大きなマイナス要因を受け、景気刺激策のプラス要因がマイナス要因を一部相殺した結果。
  • 1-2年後に景気が元の力強さに回復したと確認できるまで刺激策が続くなら、回復時にはマイナス要因は消え、(今ほどの規模ではないにしろ)景気刺激策のプラス要因が残る。この状態なら、米国株は最高値を超えているはず。

米国株は数年後には上がっていると考える理由

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1-2年後にアメリカ経済がコロナ前の景気まで回復した場合に、私は米国株は今よりも高くなっているはずだと思っています。 2020年6月時点のS&P500は新型コロナウイルス流行前より約8%低い価格ですが、これは[景気の大幅減速]のマイナス要因と[FRBと米政府の大規模な景気刺激策]のプラス要因が働いている結果です。

ただし、FRBも米政府もアメリカ経済が本格回復するまでは景気刺激策を続けるなら、1-2年後に米経済が完全に復活した場合には[景気の大幅減速]のマイナス要因がなくなり、[FRBと米政府の景気刺激策]のプラス要因の効果が残っている状態になるはずです。

この状態なら、新型コロナウイルス流行前の最高値を超えている可能性が高いと考えています。

短期的には下落することもあると考える理由

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しかし、上の考えは「1-2年後に経済が元に戻ったら株価は最高値を更新する」と言っているだけで、それまでに大きな下落があるかどうかについては、何も触れていません 私の直感では、アメリカの経済が元通りになるまでに、株価の下落の機会が何度かあると思います。単純に、アメリカの景気はがあまりにも悪すぎて株価の急回復とかけ離れている上に、まだ新型コロナウイルスの流行の第2波の可能性もあると思っているからです。

歴史的に見れば、世界的に病が流行したときには、複数回の流行の波がきています。

そして、アメリカでも感染拡大第2波の兆しが既に出始めています。

だからこそ、以前から以下の記事で、何度も下落する局面はあるかもしれないが、景気回復時の株価上昇を信じて下落の度に買い増しを続けると話をしてきました。

短期的には米国株は(かなり)割高。それでも景気が回復すれば、今の水準は割高ではなくなるというのが私の今の考えです。

割高かどうかを知る重要性

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投資をしているとよく「おすすめな銘柄を教えて」と言われることがあります。

この気持は良くわかるので、米国株全体に投資できる商品の名前(VTIやVOO)をあげてみたり、個別株に興味がある人なら私が既に投資している銘柄のいくつかをおすすめしたりします。

ただし、「何を買うか」と同じくらいに「いくらで買うか」も投資でリターンを出すためには重要です。

投資は「良いものを買う」ことではなく、「ものをうまく買う」ことで成功する。

ハワード・マークス(投資で一番大切な20の教え)

いくらなら株を買っても良いのかを厳密に判断するなら、本来は適正価格を算出するべきなのは知っています。ただし、企業利益やキャッシュフローを使う従来の方法では、今の歴史的な低金利&大規模な景気刺激策の効果を正しく見積もって算出することがとても難しくなっています。

伝統的な手法では図ることが難しいので、次善の策としてこの記事に書いたような推論で、「1-2年で景気が元の水準に回復すれば、米国株は最高値を超えて、割高ではなくなる」という話をしてきました。

割高なサイン

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一方で、短期的にはかなり割高だと思います。
今の市場が割高かどうかを知る方法は、他の個人投資家が言っている言葉、できたら海外の個人投資家も含めて何を言っているかを発言をよく聞いてみると、なんとなくわかります。

「株に投資しないのは機会損失」、「値上がりしてる株(今ならハイテク株など)を買っておけば間違いない」、「バリュー投資は時代遅れ」、「(リターンをあげていない世界的に有名な投資家の名前をあげて)あの人は時代遅れだ」という発言が出始めたら、割高のサインです。

今はこうしたサインをわりと簡単に見かけるようになってきました。

ただし、一般的にはこのような割高のサインが見られても、株価が下落するまでには数ヶ月から1年程度の時間がかかることも少なくありません。

正しい警戒心を持った投資家がリターンがあげられない苦しい展開が今後もあるかと思いますが、下落を警戒して現金を一部待機しつつ、下落が来なかったら「下がらなくてよかった」と胸をなでおろすくらいの心構えでいきたいと思います。(提供:Investing.comより)

著者:YUTA