2019年、さまざまな議論を巻き起こした老後2,000万円問題。金融庁の報告書において、65歳から年金を受給してもなお2,000万円が足りないとの記述があり、その金額の大きさに多くの人が漠然とした不安を抱きました。

いったい、なぜ2,000万円も足りなくなるのでしょう。そして、どうすれば2,000万円を達成できるのでしょう。ここでは、年代別の対処法について考えてみます。

老後に2,000万円必要だという根拠とは

外貨建て
(画像=bilderstoeckchen/stock.adobe.com)

この問題は、令和元年6月3日に金融庁が発表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理」という文書が発端となっています。無職の高齢者の家計を平均すると毎月5.5万円の赤字であり、95歳くらいまで生きとすると30年間で2,000万円必要というのがその計算の根拠です。

貯金
(出典)第21回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料より

世代別の貯蓄額は、2,000万円に程遠い現状

では、現実に各世代はどれくらいの貯蓄があるのでしょうか。平成28年国民生活基礎調査の概況によると以下のようになっています。

貯金
(画像=J PRIME編集部)

平均を見ると、2,000万円にはほど遠いことがわかります。どのように対応すればいいのか、展望してみます。

老後のためのお金について資産形成と資産運用という2つの考え方

この報告書は、老後のためのお金に関する知識を持つことが大事であるということを伝えています。対策は大きく、資産形成と資産運用の2つの視点にわかれます。

資産がないうちは資産形成を行い、資産ができたら資産運用をする。資産運用をすれば、また資産形成が進むという具合に、正のスパイラルになることが望ましいところです。

20代、30代、40代、50代 年代別に基本戦略を紹介

老後のための資産形成・資産運用の基本戦略を年代別に考えてみましょう。ここではまず、2,000万円を形成するには、毎月いくら積み立てていけばよいのかを計算します。なお、前提条件として前段で挙げた平均的な貯蓄がすでにあり、65歳まで働けるものとします。そこまでの期間に毎月貯蓄をするものとします。

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(画像=J PRIME編集部)

ごらんのように、早く始めるほど有利です。退職金も視野に入れるならば、これよりも少なくてもいいかもしれません。

しかし、貯蓄を実践しようとする際、銀行に預けておいても金利がほとんどつかないいまの現実はかなり厳しいと言えるでしょう。長い人生ではマイホームの購入、結婚、教育費など、不意にたくさんのお金が必要になることがしばしばあります。貯蓄だけでの資産形成は実際には厳しいと考えた方がよさそうです。

積み立てながらの資産運用を検討

そこで、少し積極的に増やす方法を考えてみましょう。積み立てながらの資産運用です。年代別にふさわしい方法がありますので、紹介します。

20代:つみたてNISA

初心者、長期運用向きです。毎月積み立てた資金を投資信託で運用します。2018~2037年の間の最長20年間、年間投資額が40万円まで、分配金や譲渡益にかかる税金が非課税になります。長期積立と分散投資に適していますので、たっぷり時間のある20代の方にはピッタリと言えるでしょう。

30代:iDeCo、NISA

iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金を指します。自分で設定した金額を毎月積み立てながら、定期預金、保険商品、投信信託などで運用していきます。NISAは、少額投資非課税制度で年間120万円の枠内までの投資は非課税とする制度です。短期的利回りを狙うことも期待できます。

つみたてNISA、iDeCo、NISAなどの運用方法は、国の非課税制度などを活用しますので、本来かかるコストを抑えつつ、長期にわたってできる資産形成といえるでしょう。

40代:各種投資信託の組み合わせ、一部個別銘柄投資

ある程度まとまった資金もたまってきている40代にとっては、その資金を使っていかに上手にポートフォリオを組むかが非常に重要になってきます。株式や債券のほか、REIT、金などの素材なども選択肢になってくるでしょう。資金のうち、リスクの取れる割合については、成長性を見込める個別株を購入してもいいでしょう。

最適なポートフォリオを組むために、IFAなどの専門家の力を借りてもいいかもしれません。もちろん、投資信託は元本が保証されているわけではないので注意が必要です。

50代:バランスファンド、インデックスファンド

バランスファンドは株式や債券など複数種の資産を含むファンドです。株式だけではないのでリスク分散されています。インデックスファンドは日経平均株価など特定の株価指数に連動するように設計された投資信託です。

これらは、元本保証はありませんが、中長期にわたって運用すれば損失リスクは相対的に小さく、大きな失敗は許されない年代に差し掛かっている50代にとってはフィットします。

計画性と行動力があれば達成できる

基本的には、仕事に必要な知識を身に着け、計画性を持ち、少しの勇気を持って行動すれは、老後2,000万円の貯蓄は十分達成できるものです。自らの年代を鑑みた上で、危険な賭けをするのではなく、「いかにお金に働いてもらい、稼いでもらうか」という考え方を取り入れるところから始めるといいでしょう。(提供:JPRIME


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