日銀が20日、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の研究および検討を本格化させる目的で、専門組織「デジタル通貨グループ」を創設した。同日、NHKなどが報じた。

この組織は日銀の決済機構局における決済システム課に属する組織で、奥野聡雄審議役がグループ長を担う。

主な所掌事務は「決済システムのデジタル化および中央銀行デジタル通貨に関する事項」としている。

日銀
(画像=月刊暗号資産)

日銀は今年1月に欧中銀など合わせて7行と共同研究グループを設立。翌月にはCBDCの研究チームを立ち上げるなど、動きを加速させてきた。

日銀の雨宮正佳副総裁も同月に行われた「決済の未来フォーラム」において、CBDCの課題を指摘しつつも、個人間送金や民間マネー間での相互運用性が飛躍的に向上すると一定の評価を示した。

国内でのCBDCを取り巻く環境は大きく変わりつつある。

17日付で閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」と題した、いわゆる「骨太の方針」に、CBDCに関する文言が盛り込まれた。

今後の具体的なビジョンについては言及されていないものの、各国と連携し検討を進めていく姿勢を見せている。

なお、この骨太の方針は「ポストコロナ時代」に焦点が当てられており、過去2年と比較すると物事のデジタル化に関する文言が非常に多く盛り込まれている。

デジタル化についてはCBDCを含む決済面のほか、行政サービスや教育環境、また世間を賑わせたハンコの押印に関する変革などが挙げられている。

今年の骨太の方針において「ブロックチェーン」とつくキーワードは確認されなかった。

世界のCBDC事情については、既報の通り中国の「デジタル人民元」が開発を急速に進めている。またスウェーデンやタイなどでも積極的に議論がなされており、日本はすでに遅れを取っている格好だ。

今後、新型コロナウイルスを含む感染症への対応や働き方改革など、社会のデジタル化を推進させていく上で、政府および日銀が連携し法定通貨における革新をもたらしていくことは極めて重要であり、準備を加速させていかなければならないだろう。(提供:月刊暗号資産