通信基地局の世界シェア首位の企業と言えば、中国の華為技術(ファーウェイ)だ。ただファーウェイだけではなく、中国には世界シェアの上位に君臨する企業が多数存在している。世界市場で存在感を広めつつある中国企業の最新情報をお届けしよう。

世界シェア
(画像=PIXTA)

世界で存在感が高まるファーウェイ(通信基地局・スマートフォン)

冒頭、ファーウェイが通信基地局で世界シェアがトップであることを紹介したが、同社はスマートフォン業界でも強い。米調査会社IDCの調べによれば、2019年の世界スマホ出荷台数でファーウェイはアップルを上回り、サムスンに次ぐ2位となっている。世界シェアは17.6%だ。

ファーウェイは「中国のシリコンバレー」とも呼ばれる広東省・深センで1987年に設立された企業だ。次世代通信規格「5G」に関連する高い技術を有していることでも知られ、今後は5Gを活用した自動運転車やコネクテッドカーなどの分野でも存在感を高めていくとみられる。

世界シェアは3割!ハイクビジョン(防犯カメラ)

杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)は、防犯カメラやネットワークカメラを製造・販売する中国政府直轄の企業で、2018年における出荷台数の世界シェアは3割でトップとなっている。

ハイクビジョンの創業は2001年で、中国工業情報化省傘下の研究所の所員によって設立された。中国の国内需要によって大きく売上を伸ばし続け、最近ではAI(人工知能)やビッグデータなどの技術を活用し、顔認識システムなどの性能向上に努めている。

年間収益額が大きい中国中車(鉄道車両メーカー)

欧米の主要な鉄道車両メーカーといえば「ボンバルディア」「シーメンス」「アルストム」などが挙げられるが、中国政府が支援する中国中車(CRRC)の年間収益額は、この3社の合計の3倍以上となっている。

中国中車は2015年、中国政府の管理下にある中国南車集団と中国北車集団が合併する形で設立された。中国国内だけではなく、アメリカや欧州の主要都市や東南アジアにおいて客車製造の案件を受託し、中国中車が製造した鉄道車両はドイツ鉄道やロンドン地下鉄でも活躍していることで知られる。

世界最大級の農薬メーカー中国化工集団(農薬)

中国化工集団(ケムチャイナ)は中国の国営企業で、総合科学メーカーとして農薬製品などを製造している。2017年に430億ドル(約4兆6,000億円)でスイスの農薬大手企業シンジェンタ社を買収し、世界最大級の農薬メーカーとして業界で存在感を強めている。

この買収金額は、中国企業による外国企業買収としては過去最高で、中国政府が農薬製造の分野で覇権を握るため、資金拠出を惜しまなかった格好だ。同社は石油化学関連事業も手掛けており、既にイタリアのタイヤメーカーであるピレリの筆頭株主になっていることでも知られる。

圧倒的なシェア!DJI(ドローン)

近年新たに市場が形成された分野としては「ドローン(無人航空機)」があるが、このドローン分野で世界トップシェアを誇っているのが中国企業DJIだ。世界シェアは約7割という圧倒的な数字で、競合企業が多いアメリカ市場においても80%近いシェアを確保している。

DJIは2005年、香港の公立大学である香港科技大学の卒業生らによって設立された。その翌年には最初の製品の販売をスタートさせており、2018年にはAI(人工知能)技術の活用などに向け、米マイクロソフトと戦略的パートナーシップを結んだことでも注目を集めた。

スマート家電にも注力!ハイアール(家電)

「白物家電」と呼ばれる冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの分野で高い世界シェアを誇っているのが、中国のハイアール社だ。国際市場調査会社のユーロモニターインターナショナルが2020年1月に発表した「2020年世界大型家電ブランドランキング」で、ハイアールは11年連続トップとなった。

発表によれば、冷蔵庫で12年連続、洗濯機で9年連続、冷蔵庫で10年連続、それぞれトップに君臨し続けている。他メーカーと同様、IoTなどを活用したスマート家電の製造・販売にも近年力を入れている。

パナソニックと争うCATL(車載電池)

最後に紹介するのが寧徳時代新能源科技(CATL)だ。車載電池の世界大手として知られ、日本企業のパナソニックと熾烈なトップシェア争いを繰り広げている。

最近では、日本のホンダがCATLとの資本提携を発表したことが話題になった。ホンダは中国における電気自動車(EV)の展開に力を入れており、このEVに搭載するリチウムイオン電池の安定確保に向けたものだ。報道によれば、ホンダからCATLへの出資額は600億円程度とみられているという。

ますます高まる中国企業への投資熱

このように、多くの中国企業が世界市場を席巻しており、中国企業に対する投資熱もますます高まっている。この記事で紹介した企業のほかにも、有望とされる企業は多数ある。

米調査会社CBインサイツが発表している「ユニコーン」(企業価値が10億ドル以上の非上場企業)ランキングでも、中国企業の名前が上位にずらりと並んでおり、今後も中国企業の躍進は高い確率で続いていきそうだ。

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