三井住友銀行は、ブロックチェーン技術を使った貿易プラットフォームContour(コントゥア:シンガポール)のパイロットプログラム(βネットワーク)に参加することを表明した。
また、Komgo(コムゴ:スイス)が提供する貿易プラットフォームとメンバーシップ契約の締結を行った。21日、同行がプレスリリースにて発表した。
Conourは50以上の銀行と企業による実証実験を経て、今年ローンチされた貿易プラットフォームであり、信用状取引に関わる貿易金融業務全体のデジタル化を目指している。三井住友銀行は、このβネットワークに参加した国内初の銀行になる。
Komgoは、大手金融機関、石油メジャー会社、コモディティトレーダーなど18社が株主として参加するコモディティ業界の顧客のニーズに沿った貿易プラットフォームとなっている。
この2つの貿易プラットフォームは、輸入信用状(LC)の発行、通知、資金化など一連のプロセスをデジタル化することで貿易実務の効率化を目指すという。
また、三菱UFJ銀行も今年1月、貿易金融に用いる信用状の発行にかかる時間を従来の5分の1程度に短縮するKomgoのシステムを導入している。同行は2023年までに行内の取引残高の3割程度を移行させる。
両行は、コロナウィルスの拡大で貿易取引の収縮が懸念される中、一連のプロセスをデジタル化することで事務作業を効率化して貿易を下支えするという。
貿易の取引は「紙文化」が根強く、輸入業者の支払いを保証する「信用状」など重要書類は「紙媒体」でのやりとりが慣例としてある。
例えば信用状を使って貿易取引をする場合、「輸入業者→金融機関→相手国の金融機関」といった流れを経て、「輸出業者」に届くまでのやりとりは基本的に紙ベースなのが現状だ。
フランスのパリを拠点とする国際商業会議所(ICC)の調査では、「船荷証券」などを電子化している銀行は24%にとどまっている。
コロナ対策で多くの国において外出が制限され、貿易金融の停滞が懸念されている中、輸出業者も輸入業者も「ペーパーレス化」への要望が強まっている。
三井住友銀行はプレスリリースにおいて「ウィズ・コロナ(コロナとの共生)」の世界を見据え、すでに実証実験が終了している貿易プラットフォーム「Marco polo」とともに、Komgo、Conourへ参入することで、貿易実務のデジタル化を加速させたいと抱負を述べている。(提供:月刊暗号資産)