一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は先月31日、2021年度税制改革への要望書を共同で取りまとめたことを公表した。

要望書によると、日本は2017年4月に改正資金決済法が施行された事により、暗号資産業界の中で世界をリードできる立場にあったものの、現行税制を回避するため海外に事業拠点を移す事業者が散見されると説明。また、今後暗号資産やブロックチェーン技術を応用した産業の取り込みが危ぶまれることから、要望書を取りまとめたという背景があるという。

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(画像=月刊暗号資産)

JCBAは、自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」にて業界団体として唯一参加し、毎年要望を行なっている。

本年の要望書では、暗号資産交換業及び暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体でもあるJVCEAと税制改革が求められる事項を共同で整理し、取りまとめたとのこと。

具体的に要望するのは以下の3つだ。

  1. 暗号資産のデリバティブ取引については20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除できること。
  2. 暗号資産取引に係る利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができること。
  3. 暗号資産取引に係る利益年間20万円以内の少額非課税制度を導入する。

要望書では初期のインターネットが未成熟であったように、ブロックチェーン技術は成熟の域に達していないと指摘。

しかし社会に不可欠な基礎となる可能性を相当程度持っていることは、ドイツやインド、中国、オーストラリアなど先見の明を持つ国家が戦略的に取り組むことを表明し、具体的な取り組みを開始していることを見れば明らかだと述べている

さらに、ブロックチェーン技術の将来性に確信が持てないからと言って、インターネットと同じ過ちを繰り返さないためにも、国内事業者が暗号資産を利用した資金決済分野やブロックチェーン技術を応用した経済社会の高度化に取り組める環境作りが重要であるとした。(提供:月刊暗号資産