従来は、モノに価値をつけるあたり、円をはじめとした法定通貨が用いられてきました。しかし健康や人が善意で行う行動など、法定通貨では価値を可視化できないものも存在します。

そんな価値評価の新たな手段として、近年「トークンエコノミー」と呼ばれる概念が注目を集めています。ここでは、そんなトークンエコノミーについて、そのメリットやデメリット、基盤となるテクノロジーなどを解説します。

価値ある、善意の行動に付与される「トークン」による経済圏

新富裕層
(画像=loreanto/stock.adobe.com)

トークンエコノミーとは、トークン(token)と呼ばれる代替通貨により形成される経済圏を意味します。各コミュニティ独自の代替通貨が用いられることもあるものの、近年はイーサリアムなどの暗号通貨が用いられることが主流となっています。

トークンエコノミーは、主に以下の仕組みで成り立ちます。

企業が、顧客の価値ある行動に対して内容に応じた量のトークンを渡します。トークンを受け取った顧客は、トークンを企業のサービスやプロダクトと交換できます。また、別の顧客の行動や物品を受けて、トークンを渡すこともあります。こうして、顧客間や顧客と企業で構成されるコミュニティにおいて、トークンによる価値の流通が起こるのです。

このトークンエコノミーの仕組みは、主に特定の地域でのコミュニケーション促進や活性化、ゲーム内でのアイテム交換などで主に活用されています。企業と顧客という関係間のみならず、利用者間で特定の行動を行った見返りとして、トークンを渡すといったことも行われます。

また、健康などの価値評価が難しい行動に対して、価値をつける目的でトークンエコノミーが形成されるケースも増えています。たとえば、ジムを利用した人に対して毎回トークンを発行すれば、トークンの量が多いほど「ジムに頻繁に通っている=健康度が高い」と判断できるようになります。

なにげない行動に価値をつける

トークンエコノミーでは、従来の経済圏では対価を受け取れなかったような行動にも、新たに価値をつけ、行動をした者が対価を受け取れるようになります。

たとえばジムに行った人が、それをSNSに投稿するたびに数円〜数十円相当のトークンを渡すような例が考えられます。SNSに投稿した人は、受け取ったトークンを利用して、より頻繁にジムに通えるようになります。

一方のジムの運営者は、SNSに投稿してくれた利用者が、トークンを使ってより頻繁に通ってくれることで、結果的に収益を増やせます。従来は自己満足で行われていたなにげない行動に価値がつくことで、新たな経済循環が生まれるのです。

トークンエコノミーを支えるテクノロジー

トークンエコノミーは、ブロックチェーンの持つ「マイクロペイメント」という新たなテクノロジーによって成立します。数十円というお金のやり取りは従来、手数料の問題で実質的に不可能でした。それを可能にすることで、これまでになかった新たな市場を生み出すと期待されているのが、マイクロペイメントなのです。

このマイクロペイメントを使えば、ジムの利用や人助けなどのちょっとした行動に対しても、少額のトークンを渡すことができるのです。頻繁に、少額の報酬のやりとりができるようになることが、トークンエコノミーのポイントと言えるでしょう。

新たなビジネスモデルの登場も

既存の法定通貨では、健康などの抽象的なモノや、人々の些細な行動に価値をつけることは困難でした。しかし、少額で、しかも実際の通貨のやりとりにとらわれないスピード感で決済を可能とするトークンエコノミーが実現したことで、そうしたモノや行動にも、新たな視点から価値を付けられるようになります。

トークンエコノミーにより価値の新しい評価方法が生まれたことで、今後はこれまでにない新たな経済圏やビジネスモデルが生まれるかもしれません。(提供:JPRIME


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