レジ周辺システム特需期待

消費減税
(画像=PIXTA)

新型コロナウイルスの感染再拡大が再び日本の景気に影を落とす中、政府は切れ目のない経済対策を求められている。1人当たり10万円の定額給付に続いて打ち出された旅行需要を喚起する「GoToトラベル」キャンペーンは、効果の乏しさが指摘されているだけに、後がない状況。切り札として消費減税や軽減税率が議論される可能性があり、システムなどに関連する銘柄を押さえておきたい。

昨年10月に8%から10%に引き上げられた消費税は、コロナ禍に先立って日本経済を圧迫。買い控えムードが広がった同年10~12月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、年率換算で前年同期比7.1%減(改定値)と急激な落ち込みを記録した。

一転して消費税を引き下げた際のインパクトは大きいと考えられる。実際、消費減税の声は自民党内でも上がっている。若手議員らの連盟が税率を5%にする提言を打ち出したほか、一時的な撤廃論もくすぶる。海外ではドイツが日本の消費税に相当する付加価値税を半年間引き下げ、家計の税金負担を減らすことでコロナ禍からの景気回復を図っている。英国もレストランやパブでの飲食に掛かる付加価値税を低減した。

消費減税については財源がネックとされる。ただ、過去2回の増税に伴う税収増分の振り向け先を踏まえると、「5兆円強であれば社会保障財政に影響することなく消費減税が実施できる」(第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミスト)という。昨年の消費増税に合わせて導入された食品などへの軽減税率を、より多くの対象に広げることで実質的に消費減税を行う方法も想定される。

消費減税に伴い、レジ周りのシステムは調整が必要になる。昨年導入された軽減税率に絡んで特需が発生したのが、POSレジシステムを手掛けるスマレジ(4431・M)だ。

同社のシステムはクラウド型で初期費用が安く抑えられるほか、高機能ながら使いやすいことで定評がある。POSデータに基づく売上分析や在庫管理、免税対応といった幅広い機能もユーザーに支持され、7月からはアプリ開発事業者と連携したプラットフォーム事業にも乗り出した。

営業利益(非連結)は前4月期に7.5億円(前々期比74%増)と特需が反映された。今期はその反動や新型コロナの影響により一転して6.8億円にとどまる計画だが、潜在ニーズは強い。消費減税や軽減税率の拡大が打ち出されれば、勢いはさらに加速しそうだ。

同様に前回の消費増税のシステム更新需要を取り込んだヴィンクス(3784)は、キャッシュレスに対応したセルフ型のPOSの開発案件のほか、自動発注システムなども受注している。今12月期上期の連結営業利益は11億円(前年同期比17%増)と、新型コロナの逆風にあらがい増益を確保した。

このほか、レジシステムではUSEN―NEXT HOLDINGS(=UNEXTH、9418)、請求書システムのインフォマート(=インフォMT、2492)、アルファクス・フード・システム(3814・JQ)や東芝テック(6588)もマークしたい。(8月6日株式新聞掲載記事)

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