麻生太郎財務相は24日、日本経済新聞および金融庁が主催するフィンテックの活用をテーマにした国際イベント「FIN/SUM(フィンサム)」で開幕挨拶し、ブロックチェーンが持つ優位性について持論を述べた。
麻生大臣は冒頭で、日本が議長国を務めた昨年のG20において金融技術革新は優先課題の1つであったと発言。また同じく昨年福岡で行われたG20のハイレベルセミナーでは、ブロックチェーンに焦点を当て分散化された金融技術への影響を議論し、新たな金融システムに対するガバナンスについて、より幅広いステークホルダー間の協力を求めることで合意するなど、一定の成果があったことを強調した。
続けて麻生大臣は「ブロックチェーンの活用は金融におけるデジタル資産の分野に限定されるものではない」とし、現在も感染が拡大している新型コロナウイルスを例に出して、「広範囲に渡る伝染病との闘いにおいて、ブロックチェーンは高度なプライバシー保護を備えた接触確認に対する1つの解決作をもたらすかもしれない」と述べた。
また、「将来的なリスクを防ぎ、そして抑え込む能力を高めることができる」とも述べるなど、ブロックチェーンが持つ可能性について期待感を示した形だ。
一方、現在の規制当局とブロックチェーンコミュニティーとの関係に関しても触れた。
麻生大臣は、「ブロックチェーンコミュニティにおいて、依然として規制当局を敵視される方がいるかもしれない」と言及。その原因として、「『規制当局が技術への理解が欠けているためにイノベーションを阻害するかもしれない』という思いに起因するものなのかもしれない」と持論を述べた。
その上で、「我々に求められていることは最良のガバナンスのもとでの適切な技術の使用を考えていくために、お互いが協力し、共同していくこと。そうすることによって、我々は人類の繁栄という共通の目標に向けて前進することができる」と、協力および理解を求めた。
今年のFIN/SUMは8月24日から25日の2日間に渡って開催され、大手企業および金融業界、技術者のほか、スタートアップなどが集まりディスカッションが交わされる予定だ。(提供:月刊暗号資産)