2012年9月から続く安倍(晋三)政権が終わりを迎えようとしている。
民主党の野田(佳彦)政権の後に続き、2012年12月26日に始まった第2次安倍内閣から現在の第4次安倍内閣に至るまで、実に7年半以上続いた長期政権であった。第2次安倍内閣は①大胆な金融政策、②機動的な財政出動、③民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」を柱とする経済政策、「アベノミクス」を打ち出して始まった。

(図表:アベノミクス「3本の矢」)

内閣府によればアベノミクスによりデフレ脱却・経済再生に向けて大きな成果が生み出されてきたと“喧伝”されている。対して(1)円安が進んだにも関わらず実質輸出が伸びていない、(2)企業業績が回復したにも関わらず能力増強投資が増えていない、(3)円安で実質購買力が損なわれている、(4)追加の財政政策により民間の建設投資が抑制されているといったことを中心に厳しい見方もあった。
いずれにせよ今年に入ってからの新型コロナウイルスによるパンデミックの影響は大きく、去る17日に我が国政府により発表されたデータによれば、2020年4月から6月期の実質GDP成長率が比較可能な統計のある1980年以来最大の落ち込みとなる27.8%減となった。「アベノミクス」から始まった長期政権は、「アベノマスク」という稚拙な政策を以て終焉を迎えることとなるのだろうか。

(図表:「アベノマスク」を着用する安倍総理)

ポスト安倍
(出典:Wikipedia)

これから我が国において注目すべきセクターとはどこか。第一に止まるところを知らない「コロナ禍」の中で急がれるのが、ゲノム解析である。そのために必要なのが、飛躍的に技術向上したスーパーコンピューターである。今後、ゲノム解析を中心にスーパーコンピューターが活用され、様々な分野でビジネスを作り出していくと考えられる。その開発を急ぐ日本電気<6701>や富士通<6702>などが注目される。もっとも、そうしたメジャーな企業以外でスーパーコンピューターを巡る「台風の目」になる企業も実は存在している、との声もある。急浮上してくるそうした企業は一体どこなのか?熱い視線が注がれ続けている。 第二に金融のデジタル化も進められていく中でフィンテック関連企業が注目される。メタップス<6172>や、「起業ブーム」の到来とともに株式会社マクアケ<4479>のような資金調達型のフィンテックにも更なる需要が高まることとなるだろう。
他にもIoT技術やVR/ARといったデジタル化の進展に伴って拡大する産業に注目すべきだ。

次の総理は果たして誰になるのか。安倍政権のアベノミクスに続きどのような経済政策を打ち出すのだろうか。いよいよ日本バブルへと加速する可能性を中心に、今後の動向に注視が必要だ。(註:「2020年夏・中期予測分析シナリオ」“Credo quia absurdum”パラメーター7参照)

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)
元キャリア外交官である原田武夫が2007年に設立登記(本社:東京・丸の内)。グローバル・マクロ(国際的な資金循環)と地政学リスクの分析をベースとした予測分析シナリオを定量分析と定性分析による独自の手法で作成・公表している。それに基づく調査分析レポートはトムソン・ロイターで配信され、国内外の有力機関投資家等から定評を得ている。「パックス・ジャポニカ」の実現を掲げた独立系シンクタンクとしての活動の他、国内外有力企業に対する経営コンサルティングや社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー
佐藤 奈桜 記す