銀行などの金融機関から信用保証協会の制度を利用して融資を受ける際には「保証料」を支払います。この保証料を支払うことで、担保や保証人という難しい条件をクリアできない人でも融資を受けやすくすることができます。
一方で、保証料は金利の上乗せの側面もあり、企業経営を圧迫する要素です。今般の新型コロナウイルスの影響で売上が大きく落ちている企業は、保証料が大きな負担になっているので、自治体の中には保証料を立て替えてくれるところも目立ってきました。
今回は保証料についての基本的な知識とコロナ対応について学んでいきます。
融資における保証料とは?
融資を実行する際、金融機関は借主が返済できなかったときの「保険」として担保や保証人を求めます。一方で借主は不動産を持っていない人も多く、また保証人を頼めるような人がいないこともあります。そこで保証協会の出番です。
保証料とは?
無担保、無保証人の融資もありますが、条件が厳しく、気軽に利用できません。そのため、信用保証協会という公的組織に「保証料」を融資を受ける際に支払うことで、融資の返済ができなくなったときに、保証協会が代わりに返済する(代位弁済)システムです。
各借主が保証料を保証協会に支払うことで、金融機関への融資の返済が滞ったときに、代わりに返済代行し回収することができるため、金融機関も保証付きの融資はリスクヘッジになり、貸しやすいのです。
多くの人は無担保、無保証人の融資を希望しますが、実際には金融機関のほうがなかなかリスクヘッジできないため、保証料付きの融資でそのリスクを埋めようとしています。つまり、保証付きの融資のほうが、無担保、無保証人、無保証の融資よりも通りやすいということになります。
保証料はいくらくらい支払うのか?
信用保証協会に支払う保証料ですが、基本的に0.45%~1.90%を9段階に区切っているもののどれかが適用されます。
料率区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基本料率 | 1.90 | 1.75 | 1.55 | 1.35 | 1.15 | 1.00 | 0.80 | 0.60 | 0.45 |
保証料率は、財務状況、経営状況、保証制度などを総合的に審査して決定されます。当然、経営状態が良い場合、貸し倒れリスクが低いので保証料率が低くなります。
新型コロナウイルスにより経営悪化については保証料がかからない融資が多い
保証料率が○%と決まると、その○%分支払利息が増えるという見方もできます。1%であっても決して無駄にできません。特に今般の新型コロナウイルスによって甚大な影響を受けている事業者にとっては、借入元本の返済どころか保証料の支払いにも窮しているところが少なくないのです。
そこで自治体では、
・保証料のかからない自治体独自の融資(無利子のものもあり)
・保証料の補助(保証料は自治体が負担する、利子補給に近い制度)
のどちらかの制度を設けて、売上減少に苦しむ事業者を助けています。わずか1%前後の保証料であっても、その支払いが免除されることは本当に大きいです。
保証料自治体補助制度を見てみよう
新型コロナウイルスによる売上減少を助けるため自治体が設けている、保証料立て替え制度を見てみましょう。ここでは千葉県松戸市のものを取り上げますが、多くの自治体にも似た制度があります。
制度の概要
名称:「新型コロナウイルス感染症対策保証料補助金」
内容:新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上が下がった法人や個人事業主のうち、下記対象資金を2020年3月以降に借り入れた方に保証料を免除します
(法人の場合、市内に本店登記があること、個人事業主の場合、市内に住民票の住所及び事業所の両方がある人)
期間は、借入当初から3年間分かつ借入金額1,000万円相当額までです。
千葉県制度融資 新型コロナ感染症対応特別資金 (4号 国・県の補助なし)
千葉県制度融資 新型コロナ感染症対応特別資金 (5号 国・県の補助なし)
千葉県制度融資 新型コロナ感染症対応特別資金 (危機関連 国・県の補助なし)
千葉県制度融資 セーフティネット資金 市町村認定枠 4号
千葉県制度融資 セーフティネット資金 市町村認定枠 5号
千葉県制度融資 セーフティネット資金 危機関連保証枠
出典:松戸市HP
保証料無料のからくり
新型コロナウイルスの影響が大きくなった3月以降、千葉県の制度融資やコロナウイルスに対応した独自融資を受けた場合、保証料がかかりません。システムとしては、保証料は支払うものの、保証料相当額が松戸市から振り込まれ、相殺できるというものです。
自治体の制度融資が対象となることが多いので、ぜひご自身の自治体HPをチェックしてみてください。
保証料を怖がらなくていい
融資を受ける際に支払う保証料は、新型コロナウイルスのような突発的な事態の際は返済や経営を圧迫してしまいますが、良好な経営をしていれば保証料は安く済みます。また、災害時などは自治体が保証料を肩代わりすることもあります。ウイルスだけではなく洪水などの場合も保証料免除が適用されることもあるのでチェックしてみてください。(提供:企業オーナーonline)
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