新型コロナウイルス感染症の流行により、テレビやニュースメディアでは、聞き慣れない言葉がたくさん飛び交うようになりました。それぞれに、新型コロナウイルス感染症の影響範囲を計るための重要な示唆が含まれています。今回は、新型コロナウイルスに関する用語をおさらいし、それぞれが世の中をどのように変え、株式投資などの経済環境にどんな影響を及ぼすのかを展望します。
インフォデミック
インフォデミックとは、「情報(information)」と「流行(Epidemic)」を組み合わせた造語です。誤った情報がSNSやニュースなどで広く拡散している状況を意味して用いられました。今回の新型コロナでは、インフォデミックの影響により、トイレットペーパーの買い占めをはじめとした紙製品が品薄になるという深刻な事態が生じました。
インフォデミックで多くの人が誤った情報に踊らされる危険性を学んだことから、ビジネスや投資の場面でも「事実を見極める重要性」がより一層重視されるようになるでしょう。正確な情報を発信するためのセキュリティツールを提供する企業や、AI(人工知能)でフェイクニュースを検出する技術を持つ企業などに注目が集まる可能性があります。
ロックダウン
ロックダウンとは、感染拡大を防止する目的で対象エリア内での外出やビジネスを制限することです。法的拘束力を持つ行為ですが、各国で措置の内容には違いが見られました。ドイツでは「一部の州で外出を制限する」という比較的軽い措置であった一方で、イタリアでは「原則外出を禁止」するという重いロックダウンを行いました。
こうした国によるロックダウンの違いは、海外企業とビジネス上、密接な関係を持つ企業に大きな影響を与えると考えられます。ロックダウンによりビジネス活動を徹底的に禁止する国と取引している場合、事業の続行が困難になる可能性が高まります。マスクの製造を中国に依存していたことからもわかるように、特定の国に依存したサプライチェーンが組まれているような製品は、今後製造が国内に回帰したり、別の国に移管したりする可能性があります。今後海外進出を図る企業は、こうした緊急時の事業継続のリスクも踏まえる必要があるでしょう。
緊急事態宣言
緊急事態宣言とは、日本政府が宣言を行うことで、各自治体に対して、外出自粛や休業要請を行う権限を与えることです。たとえば大阪府は、この宣言に基づいてパチンコ店への休業要請を実施。従わなかった店舗を名指しで公表する措置を行いました。
緊急事態宣言は、外国で行われるロックダウンと比較して、あくまでも自粛や要請なので強制力はありません。しかし自粛や休業要請により、多くの小売店や飲食店等は業績が悪化する事態となりました。
緊急事態宣言が発令されると、事業続行が難しくなるのは事実です。ビジネスリスクとして認識し、今回の緊急事態宣言とそれに伴って発生した売上の変化や公的保障の動きなどを参考に、今後は対応方法を事前に用意しておきたいところです。
クラスター
クラスターとは、新型コロナウイルスなどの感染症に感染している集団を意味します。日本では、ライブハウスやスポーツジムなどがクラスターの発生源となりました。クラスターが発生した施設は、爆発的な感染者増加の要因として危険視され、事業を中止せざるを得ない状況に追い込まれました。
クラスターの発生源となったビジネスに関しては、感染症が流行した場合に事業の継続が困難となりやすいことを踏まえた上で、投資や経営を実施する必要がありそうです。
3密
3密とは、「密閉空間(換気が悪い空間)」「密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声)」「密集場所(不特定多数の人が密集する場所)」の総称です。日本政府では、新型コロナウイルスに感染しやすい条件であるとして、3密を避けるように注意を呼びかけました。
3密は、あらゆるビジネスの運営方法に大きな影響を与えました。たとえば飲食店では、席を空けて座ったり、入り口に消毒液が置かれたりする状況が当たり前となり、また、ビジネスにおいては、リモートワークやオンライン会議など、3密を避けて仕事を進める方法が広く普及しました。
店舗設計などのサービスを提供するengineは、アクリル板などを設置することで、空間デザインや機能の品質を落とすことなく収容客数を維持するためのサポート事業を提供すると発表しました。アフターコロナの世界では、3密を避ける前提でビジネスモデルを構築している企業が伸びてくると考えられます。
Stay Home
Stay Homeとは、外出をしないように注意喚起するために、政府や自治体が用いた用語です。3密と同様にオンライン会議やリモートワークなど、外出しなくても仕事を進める方法を普及させる一端を担いました。
Stay Homeがビジネスに与える影響だけでなく、家にいながらでも楽しめる娯楽、サービスなどの需要が高まることであるため、それに対応する製品やサービスに商機が見えてきます。
想像力で見えてくるビジネスの今後、新たな投資先
今後ビジネス戦略を考えたり、株式投資先を検討したりする際には、新型コロナウイルス感染症におけるキーワードから導き出される消費者ニーズをじっくりと考えることで、新たなアイデアが生まれ、成功へと一歩近づけると考えられます。(提供:JPRIME)
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