バンクシーというアーティストの名前を耳にしたことがある人も多いと思います。“落書き”という形で、ロンドンを中心としたさまざまな場所で、インパクトの強い社会風刺のきいたアートを発表することで有名です。

何かと謎の多いバンクシーですが、その作品展示会が日本で開催されることになり、話題となっています。ここでは、バンクシーとバンクシーの作品を振り返り、見どころを紹介します。

ベールに包まれた著名アーティストであるバンクシーとはだれなのか

バンクシー
(画像=william/stock.adobe.com)

バンクシーの正体は不明であるとされていますが、2つの説があります。

(1)パブリックスクールブリストル大聖堂公立学校出身のロビン・ガニンガム (Robin Gunningham)であるとする説
(2)イギリスの音楽グループ『マッシヴ・アタック』の創設メンバー、ロバート・デル・ナジャ( Robert Del Naja)であるとする説

作品の表現の方法が、地下鉄の車内や駅、橋梁、ビルの壁や堤防など、公共の場所への“落書き”であることが多く、基本的に犯罪行為と解されるため、正体は非公表なのかもしれません。

ロバート・デル・ナジャ(通称3D)は美術作品も多く作成しており、バンクシー自身は「3Dに触発された」と語っています。3Dに触発されたロビン・ガニンガム氏がその正体なのか。謎が作品に魅力を加えているともいえるでしょう。

「バンクシー展 天才か反逆者か」の概要と内容

日本で初めてとなるバンクシー作品の展覧会『バンクシー展 天才か反逆者か』が、横浜・アソビルにて3月15日~9月27日まで開催中です。バンクシーの作品が70点以上展示されており、10月には大阪でも開催する予定です。

展示会では、消費、政治、警察、抗議、戦争、ネズミなど、作品をテーマ別に分けています。バンクシーらしい風刺とユーモアあふれる作品や、ドキッとさせられる作品、考えさせられる作品などバラエティに富み、その世界を堪能できるようになっています。

バンクシーの展示会といっても、もちろん本人が監修しているものではありません。バンクシー作品を所有するコレクターのコレクションを集結させて実現したものだそうです。バンクシーの作品は“落書き”として表現されるため、美術館で展示された事はなく、すぐに消されてしまうことも多かったといいます。

バンクシー展示会での展覧会の見どころ

今回の展示会は、多数の作品がすぐに上から塗りつぶされたりして消されているため、、バンクシーのアート作品群に触れる貴重なチャンスだといえます。

普通、アーティストの展示会といえば、その生い立ちや経歴、家族、友人などの人となりの紹介から始まるものですが、何者なのかわからないバンクシーを紹介するにあたっては、まず写真などから再現されたバンクシーの制作スタジオから始まります。

特筆すべきものとしては、爆弾を抱きしめる少女を描いた有名な版画『ボム・ラブ』の原版展示です。同じ展示室には、作品の版画が作られるイメージ映像の展示があり、版画がアーティストにとって重要な表現方法であることを感じ取れます。

テーマ別に展開する作品の展示は無料の音声ガイドで解説を聞けるようになっています。スマートフォンで会場入り口にあるQRコードを読み取るとサイトにアクセスできるので、イヤホンで解説を聞きながら鑑賞するのがおすすめです。

バンクシーの展示会を堪能できる方法

バンクシーの作品はどれも衝撃的で、社会問題への鋭い指摘が感じられます。アートに興味はないが社会問題には興味がある、または、その逆という人にも訴えるものがあります。理屈がわからない人にも感性で訴えるのは、アートの力といえるでしょう。

プロデュースした展示会企画会社のアレクサンダー・ナチケビア氏は次のように述べています。

彼は、世の中のニュースをモニターし、その中から誰もが興味をもつ出来事を取り上げ、彼独特の方法で起きている問題の深刻さを提示します。そうして私たちが考え、注意を払い、行動に移すように促すのです。彼の作品はシンプルなものが多いですが、一つひとつのアートワークに込められた意味は奥深く、私たちの心にストレートに訴えかけてきます。我々が本展で目指しているのは、作品の表層を取り上げるだけでなく、その内面を知って見ていただくことです。そして、バンクシーの作品を通して日々の生活で忘れがちな「感じる」・「考える」きっかけを作る事です。

現代は、メディアやSNSからの情報が多く複雑化しているため、消費することすら間に合わない状況です。1つひとつの情報に対し、感じて考えることを忘れがちになる傾向があります。バンクシーの作品は“落書き”というシンプルな方法で、麻痺しがちな人々の感性に、示唆に富んだメッセージを送っているのが特徴といえるでしょう。

天才なのか、反逆者なのかというテーマについては、いまはまだ私たち個人の感性に任されているといえそうです。(提供:JPRIME


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