読者のみなさんは、数多ある投資信託の中からどうやって「自分に合った一本」を選んでいるだろうか? 或いは、どうやって最終的な購入判断をしているのだろうか?

恐らく、上記の問いかけに「金融機関の人に薦められたから」と回答する人も少なくないことだろう。勿論自ら積極的にネットサーフィンなどで情報集めをし、色々と研究して「これだ!」と思えるものを購入する人もいるとは思う。だが販売実績の絶対額から見たら、きっとそれはごく少数で、大多数は受け身で選んでいる。対面型か非対面型か、販売チャネル別の残高推移を見れば一目瞭然だ。

投資信託の憲法「目論見書」とはどんなものか?

目論見書,読み方
(画像=Fast&Slow / pixta, ZUU online)

上手な投資信託選びをする為に、最初に見るべきものは何か? 筆者は迷わず「目論見書」だと断言する。それも本来ならば「請求目論見書」であり、薄っぺらな「交付目論見書」のほうではない。

時々「販売用資料」を見るべきと誤解している人もいるが、これはあくまでも「販売する側が、販売することを目的」として、その時々に適した美辞麗句を並び立てて購買マインドを喚起するように作り込まれたものに過ぎない。当該投資信託の普遍的な投資目的やファンドの特色を説明しようと作られたのではない。一方「目論見書」こそ、当該投資信託の憲法であり、その位置づけを一般社団法人投資信託協会も下記の通り説明している。

●投資信託説明書(交付目論見書)とは、購入しようとしている投資信託ついて投資判断に必要な重要事項を説明をした書類のことで、投資信託を購入する前に必ず投資家に渡されます。
●投資信託説明書(交付目論見書)には、重要な事項が記載されていますので、購入の前に必ず目を通しましょう。

そして「投資信託説明書(交付目論見書)には、主に以下のような内容がわかりやすく記載されている」とある。交付目論見書は請求目論見書のダイジェスト版だ。

「目論見書」の最も重要な項目と言えば「1.ファンドの目的・特色」の頁だ。何を目的として、どこの、何に投資しているか。ファンドの仕組みはどうなっているか、どのように意思決定を行っているか等が事細かく記載されている。

勿論その後に続く「2.投資リスク」「3.運用実績」「4.手続き・手数料等」も重要で「これらの記載項目や記載順序はすべて統一されているのでファンドの内容をわかりやすく比較することが可能です。」と高らかに宣している。

今回は前回までに取り上げた5本の投資信託の目論見書を具体的に見てみたい。金融庁発の「顧客本位の業務運営」を受けて各運用会社がこぞって「FD宣言」をした後に満を持して設定された投資信託が如何なるものか見てみたい。「重要な情報の分かり易い提供」という原則に賛同してから設定された投資信託だ。大いに期待が膨らむところだ。