世界都市とは政治や経済、文化的な中枢機能を有し、国際的に重要性や影響力の高い都市のことで、グローバル都市とも呼ばれる。中国の首都北京は、中国における経済・学術・文化の中心地であり、アジア屈指の世界都市だ。
その北京がいま、ユニコーン企業数で世界1位の都市となっており、存在感を高めている。
時価総額10億ドル以上の非上場ベンチャーを「ユニコーン」と呼ぶ。ユニコーンと言えば、かつてはシリコンバレーを本拠地とする企業が多かったが、いまや北京に本社を置くユニコーンのほうが多い。すでに北京から世界を代表する企業が誕生する時代に入っているのだ。
2020年グローバルユニコーン企業ランキングの結果
中国の大手民間シンクタンクである「胡潤研究院(Hurun Research Institute)」は8月、「2020年グローバルユニコーン企業ランキング」を発表した。
このランキングでは、都市別のユニコーン数ランキングも発表されている。1位は「北京」(中国)で93社、2位がシリコンバレーを擁する「サンフランシスコ」(アメリカ)で68社となっている。以下がランキングだ。
<都市別のユニコーン数ランキング>
1位 93社:北京(中国)
2位 68社:サンフランシスコ(アメリカ)
3位 47社:上海(中国)
4位 33社:ニューヨーク(アメリカ)
5位 20社:深圳(中国)
5位 20社:杭州(中国)
7位 16社:ロンドン(イギリス)
8位 12社:パロアルト(アメリカ)
9位 11社:南京(中国)
10位 10社:レッドウッド・シティ(アメリカ)
北京が他都市と比べ、ユニコーン数において群を抜いていることが分かるだろう。
バイトダンスやディディ……北京に本社を置くユニコーン企業
北京に本社を置くユニコーン企業は、すでに列挙にいとまがない状況になりつつある。中でもショート動画アプリ「TikTok」を手掛ける「北京字節跳動科技(バイトダンス)」やライドシェア大手の「滴滴出行(ディディチューシン)」は一際注目を集めている。
民間調査会社の米CBインサイツの時価総額ランキングによれば、バイトダンスは時価総額が1400億ドル(約15兆円)で1位、ディディチューシンは時価総額が560億ドル(約6兆円)で2位となっている。
ちなみに3〜6位はアメリカのユニコーン4社が占めているが、その4社の時価総額の合計額(1200億ドル)は、バイトダンスの時価総額に達していない。いかに北京のユニコーン企業に勢いがあるかが分かるだろう。
ほかにも、北京を拠点にしたユニコーン企業は多数ある。例えば、ショート動画プラットフォームを展開している「快手(クアイショウ)」や、顔認識技術に強みがある「商湯科技(センスタイム)」などが挙げられる。
ディディチューシンやセンスタイムは中国国内だけではなく、日本など他国にも進出し、事業活動の場を広げていることで知られる。すでに北京のユニコーン企業はその影響力を中国国外にも広めている。
北京大学や清華大学などがユニコーン誕生の土壌を形成
このように多くのユニコーン企業が北京で誕生している背景には何があるのだろうか。
背景の一つに、有力大学の数が中国国内で最も多いことが挙げられる。北京大学や清華大学は、ユニコーン企業の創業者や社長を複数輩出しており、産学での取り組みも多く見受けられる。
例えば、EC(電子商取引)大手の「美団点評(メイチュアン・ディエンピン) 」の創業者は清華大学出身だ。美団点評は世界有数のユニコーン企業として知られたが、2018年に香港市場に上場している。先ほど紹介したクアイショウの創業者も清華大学出身だ。
特に近年は、理系人材が活躍できる最新技術への注目が世界的に高まっている。AI(人工知能)やVR(仮想現実)などのほか、フィンテックや自動運転などの技術だ。こうした分野では優秀な理系エンジニアが多数求められ、有力大学が存在する都市でユニコーンが誕生しやすい土壌が形成されている。
行政側も次世代技術の実証実験などを強力に後押し
北京市は行政として、ユニコーン企業やスタートアップ企業がさまざまな技術の実証実験を行いやすいよう、環境整備やルール整備にも取り組んでいる。
例えば世界的に開発競争が加速している自動運転の分野では、北京市の一部地域をテストエリアに指定し、開発企業などに開放している。次世代通信規格「5G」を活用した実証実験も実施でき、この分野で中国企業が世界をリードできるよう後押ししている。
ユニコーン企業の多さ、有力大学の存在、さらに行政側の後押し。こうした点を考慮すると、北京から未来の中国、いや世界を代表するような企業が今後誕生するのは、ほぼ確実だろう。大きな将来性を有した都市、それが北京なのだ。
北京に拠点を置くユニコーン企業の動きから今後も目が離せない。
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