コロナショック後、投資を始める人が増えています。その中には、お金を増やすために投資を始めたにも関わらず、逆にどんどん投資貧乏になる人もいます。今回のテーマは、投資貧乏になるパターンとそれを回避するために大切にしたいことです。特に投資初心者は参考にしてみてください。

投資貧乏になってしまう3つの典型パターン

投資貧乏
(画像=pathdoc/stock.adobe.com)

まずは、投資貧乏になってしまう典型パターンを見ていきましょう。いずれも、投資初心者やポジティブ思考一辺倒の人がハマりやすい落とし穴です。

投資貧乏パターン1:価格変動が大きい投資+レバレッジで借金

「短期間でお金持ちになりたい!」「アーリーリタイアをしたい!」といった気持ちから、ハイリスク・ハイリターンの投資に手を出して投資貧乏になる人がいます。わずかな元手で投資を始めて、数億円を運用する資産家になったというような成功例の陰には、多額の借金を背負ったり、自己破産に追い込まれたりする失敗例がたくさんあることを忘れてはなりません。

ハイリスク投資の代表は、価格変動の激しいFXや仮想通貨、先物取引などです。株式投資も、銘柄選びによってはハイリスク投資になります。急騰急落を繰り返すことの多いバイオベンチャー株などが、その一例です。

ハイリスク投資にレバレッジ(信用取引)をかけると、さらにリスクが増大します。レバレッジとは、元手資金の数倍もの取引ができる仕組みのこと。株式投資では約3.3倍、FXでは約25倍のレバレッジをかけることができます。最大のレバレッジをかける「フルレバレッジ」では、予想外の値動きによって一夜にして大きな損失を被ることもあります。

投資貧乏のパターン2:急な出費でキャッシングや分割払いで借金

手持ちのお金の大半を投資に回すタイプも、投資貧乏になるリスクがあります。急にお金が必要になったときや、病気やケガで働けなくなったときに手元にお金がないと、借金をしなくてはならないからです。

仮に、毎年平均3%の利回りで資産運用をしていても、キャッシングで年率18%などの高い金利を払えばリターンが一瞬で吹き飛びます。例えば、20万円を月々1万円のリボ払いで支払っていくと、支払い総額は23万1,058円になります。

分割払いも同様です。あるクレジットカードでは、12回払いだと実質年率14.75%、24回払いだと15%の金利になっています。キャッシングの金利よりは低いですが、高金利であることに変わりありません。

資産運用をする人にとって、リターンを吹き飛ばすほどのキャッシングや分割払い、リボ払いはご法度です。投資がうまくいかない場合は、投資によるマイナスと借金の高金利の二重苦を味わうことになります。

投資貧乏のパターン3:仕事に集中できず収入が上がらない

投資にのめりこみすぎて心身が疲弊し、投資貧乏になる人もいます。よくあるのが、株や為替などの値動きが気になって仕事に集中できないというパターンです。勤務中に隠れて売買注文や値動きのチェックをする、あるいは夜遅くまで売買をするといった行動によって、長期的には会社からの評価が下がり、その後の収入アップが見込めない可能性も出てくるでしょう。

値動きに一喜一憂することで、精神が不安定になるケースもあります。「株中毒」「FX依存症」という言葉があるように、投資はハマりすぎると危険です。精神的に不安定な状態になると判断力も低下するため、安定的なリターンを得られる機会も少なくなるのではないでしょうか。

投資貧乏にならないために大切な3つのこと

このような投資貧乏にならないために大切なことは、以下の3点です。すべてクリアできているか、チェックしてみましょう。

投資貧乏にならないために1:長期でコツコツを基本にする

1つ目は、利回りが安定している投資方法を選ぶこと。そうすれば、短期間で大きな借金を背負ってしまうリスクを最小限に抑えられます。金融危機、紛争、企業の不祥事などがあって予想外の値動きになっても、大きな損失を回避することができるでしょう。

具体的な選択肢としては、先進国の国債、経済指数と連動する投資信託(インデックスファンド)、PER(株価収益率)の低い大企業の株式などがあります。都心にある賃貸マンションへの不動産投資なども、リターンが安定している資産運用の代表です。

このような安定性の高い、長期スパンでの投資方法を選ぶと日々の値動きが気にならなくなるので、仕事に支障をきたすことがなくなります。

投資貧乏にならないために2:手元にお金を残す

2つ目は、急にお金が必要になったり、病気やケガで働けなくなったりしても借金を背負わないために、手元にお金を残しておくことです。

では、具体的にどれくらいのお金を手元に残しておくべきでしょうか。これについてはいろんな意見がありますが、月の生活費の3〜6ヵ月分が目安になるでしょう。この資金を手元に残したうえで金融資産に投資をすると、いざというときでも安心です。

手元にお金を残すという意味では、不動産投資も有効です。なぜなら、賃貸マンションをローンで買う場合、物件価格の1〜2割程度の頭金を入れるだけで済むため、手元にお金を残しつつ投資できるからです。

公務員や大企業のサラリーマンなど属性が高い人であれば、好条件でローンを組めるケースが多くなります。それにより手元資金をほとんど使わず、大きな金額の投資ができます。不動産投資では頭金にレバレッジをかけて不動産を買いますが、不動産投資は基本的にローリスク・ローリターンなので、株式やFXなどの信用取引のレバレッジとは本質的な意味が異なります。

投資貧乏にならないために3:価格変動が大きい投資は余力で

ローリスク・ローリターンの投資はリスクが小さいですが、少しずつしか資産が増えていかないためワクワク感はありません。他の人がハイリスクな投資で大きな利益を得ている姿を見ていると、ついうらやましくなってローリスク投資の軸がぶれる人もいるかもしれません。

どうしてもハイリスクな投資に挑戦したいという場合は、急な出費に耐えられる手元のお金とローリスク投資に回すお金以外の「余力の範囲内」で行うとよいでしょう。余力の目安は人によりますが、「なくなっても問題ない」と思えるぐらいの金額が無難です。「全体の資産の○%まで」といったマイルールを作る方法もあります。

「小さな金額でハイリスク投資をしても意味がないのでは?」と思うかもしれません。しかし、ハイリスク投資は値動きが大きいので、投資金額が少なくても大きなリターンを得られる可能性もあります。

ゆとりある老後がゴールなら、過度なリスクを取る必要はない

最近は、30代など若いうちに経済的自立を達成し、アーリーリタイアをする「FIRE」(Financial Independence / Retire Early)という考え方がミレニアル世代(2000年代に成人や社会人になる世代)を中心に広がっています。しかし実際にそれを実現できるのは、ごく一部の人だけです。ほとんどの人は、労働によってお金を稼いでいます。

地道な労働とローリスク・ローリターンの投資を続けていけば、アーリーリタイアは難しいかもしれませんが、ゆとりある老後は実現できるのではないでしょうか。このような人生を目指す人は、投資で過度なリスクを取ったり、心身を疲弊させたりする必要はないのです。

ローリスク・ローリターンな投資といっても、その種類やポートフォリオの組み方はたくさんあります。他の記事も参考にしながら、自分の理想の投資スタイルを見つけてください。(提供:Incomepress

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