看護師が働くのは、医療現場。仕事中、コロナに感染してしまう懸念もあります。そんな時、どのような補償があるのでしょうか?この記事では、仕事中の病気やケガを補償する労災保険について解説します。補償される金額の目安や申請方法を解説しますので、いざという時に慌てないよう、基本的な知識を身につけておきましょう。

労災認定100%が話題に?手厚い労災保険の補償

労災申請
(画像=hanack/stock.adobe.com)

仕事が原因で看護師がコロナに感染した場合、労働者災害補償保険(労災保険)の補償対象となります。

労災保険は健康保険よりも補償が手厚い分、認定率が低かったり、認定までに時間がかかったりという特徴がありました。しかし、コロナによる労災申請は、2020年9月時点で100%認定されています。

政府の迅速な対応を賞賛する声がある一方で、他疾患とのバランスを考慮すべきだと指摘する声もあります。

労災保険とは?補償内容や対象者、健康保険との違い

では、労災保険とは具体的にどのような保険なのでしょうか。労災保険は、業務上の病気やケガ等を補償する制度です。略して労災といわれることもあります。

労災保険の補償対象は、業務災害と通勤災害に分けられます。業務災害とは、業務を原因とする病気やケガ等を指し、通勤災害とは、通勤中の病気やケガ等を指します。注意したいのは、業務時間中であっても、私的な行為が原因の場合、業務災害とは認められない点です。

コロナの場合、明確な感染経路を特定できないケースもあります。その場合も、業務に起因したものと想定される場合は、労災保険給付の対象とする方針が示されています。特に、医師や看護師などの医療従事者は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、労災保険給付の対象となります。

労災認定されると、労災保険の補償が受けられます。補償には、病気・ケガの治療にかかる医療費の自己負担がゼロになる、休業中に給与の約8割の支給を受けられるといったものがあります。

健康保険でも、休業中は傷病手当金が支給されますが、金額は給与の約3分の2(66%程度)なので、労災保険の方が手厚いことがわかります。

また、傷病手当金を受け取れるのは健康保険に加入している人だけです。そのため、正社員や一定の労働時間以上働くパートなど、限られた人しか傷病手当金を受け取れません。

一方、労災保険の対象には、正社員だけでなくパートやアルバイトなどすべての従業員が含まれます。従業員が一人でもいれば、雇い主は労災保険への加入義務があるため、家族経営のクリニックなど小規模な事業所でも労災保険の認定は受けられます。

健康保険や雇用保険は、加入すると従業員も保険料を負担しなければなりません。しかし、労災保険は保険料の全額を雇い主が負担していることも特徴です。

労災申請の方法は?請求書の入手方法や提出先

では、仕事が原因でコロナに感染した場合、具体的にどのような手続きをすれば労災認定を受けられるのでしょうか。

まず、かかった病院・クリニックが労災保険指定医療機関の場合、「療養補償給付たる療養の給付請求書」を医療機関に提出します。すると、請求書が医療機関を通じて労働基準監督署に提出されます。医療費の自己負担額は発生しません。

かかった病院・クリニックが労災保険指定医療機関でない場合、一旦医療費を立て替える必要があります。その後、「療養補償給付たる療養の費用請求書」を労働基準監督署に提出することで、医療費の自己負担分が払い戻しされます。

続いて、休業に関する補償ですが、休業4日目から休業補償給付を受け取れます。「休業補償給付支給請求書」を労働基準監督署に提出してください。

請求書には、雇い主の記載や押印が必要な箇所もあるので、雇い主と連絡をとりながら対応してください。

請求書は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。基本的に、労災申請は本人が行うものです。しかし、事業所によっては、本人に代わって書類を準備してくれるケースもあります。また、本人による請求が困難な状況では、雇い主が請求手続きを援助するよう規定されています。

その他、わからない点は所轄の労働基準監督署に相談しながら進めましょう。

覚悟して医療現場で働いているとはいえ、いざコロナに感染したら、多くの人は動揺してしまいます。仕事を休まざるを得なくなるケースがほとんどなので、金銭面で不安を感じる人も多いでしょう。

しかし、労災保険があることを覚えておき、忘れず手続きすることで、経済的な不安を軽減できます。(提供:Medi Life

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