ロールスロイスは、世界中の富裕層を珠玉のラグジュアリー感で魅了する。さらなる究極のプレミアムを体感できる2020~21年の限定コレクション3つについて、ロールスロイスが「高級車の最高峰」と言われる由来とともに見てみよう。

ロールスロイスが「高級車の最高峰」である3つの理由

ロールスロイス
(画像=Daniel Krasoń/stock.adobe.com)

ロールスロイスは数え切れないほどの魅力にあふれる高級車だが、最大の魅力の一つは、一台一台が最高級の素材と技術を駆使した、職人手作りの「ビスポーク」である点だろう。好みや要望に合わせて、世界でたった一台の自分だけの車をオーダーメイドすることが可能だ。そのため年間販売台数は、4000台前後に限定されている。

二つ目は、高級感と優雅さを基調とするデザインにある。近年の多くの車が「最新テクノロジー搭載」をセールスポイントにしているのとは対照的に、ロールスロイスはテクノロジーと古典的な優雅さを絶妙に融合させることで、独特の価値観を提供している。

三つ目は類を見ない静粛性の高さだ。運転手と乗客の両方が、思わず車に乗っていることを忘れてしまうような、極上のドライビング体験を堪能できる。これらすべての要素が合わさり、大量生産車には決してまねの出来ない、自動車の域を遙かに超過した「芸術作品(Art of Work)」を創り出しているのだ。

究極のプレミアムを追究する 2020~21年限定コレクション

ロールスロイスはコラボレーションなどを介して、定期的にプレミアム価値の高い限定コレクションを発売する。今回は2020~21年の限定版3つをご紹介しよう。

1「ドーン・シルバー・バレット」50台限定

2020年8月に画像が公開されたばかりの「ドーン・シルバー・バレット(Dawn Silver Bullet)」は、通常4シーターのコンバーチブルであるドーンを基調に、2シーターのロードスターに仕様変更したモデルで、50台の限定販売となっている。

シルバーをデザインのテーマとすることで、第一次世界大戦終結後、高度成長期にあった「狂騒の1920年代」の華やかなイメージを現代に再現している。ダークカラーのヘッドライトとフロント・バンパーと、オレンジに近い明るめのブラウンの内装とのコントラストが、見るものすべてを魅了する。

複雑に織り込まれた炭素繊維のストランドで作られたテクスチャー・ウッドセットには、新型「ゴースト」でもオプション選択可能な、オープンポアフィニッシュを施している。標準的なドーン同様、最大出力563馬力のV12気筒6.6リットル・ツインターボを搭載しており、4.9秒で0-60 MPHの加速を誇る。

2「レイス・シルバー・スペクター・シューティング・ブレーク」7台限定

レンジローバー・クーペや、世界でたった1台しか存在しないテスラのモデルSシューティング・ブレークをデザインした、ニールス・ファン・ロイ・デザインが手がける「レイス・シルバー・スペクター・シューティング・ブレーク(Wraith Silver Spectre Shooting Brake)」が二つ目だ。

シューティング・ブレークは時代によって変化するデザインであり、近年ではスポーツカーの要素を備えたスリーク(滑らかな)なデザインのワゴンカーを指す。モデルSシューティング・ブレークは、高級車のカスタムを請け負うオランダのRemetzCar(現在は廃業)が、2018年に開発したものだ。

7台限定で生産されるロールスロイスのシューティング・ブレークは、レイスのオリジナルラインを基調に、ルーフの後方を伸ばしたデザインとなっている。ロールスロイス×ワゴンカーという意外な組み合わせであるにも関わらず、ロールスロイスの品格をしっかりと維持している。さしずめ、超高級スポーツ・ワゴンカーといったところだろうか。

V12気筒6.6リットル・ツインターボを搭載しており、最大出力は標準的なレイスのより強力な最大出力700馬力で、パワフルな走りが期待出来そうだ。カスタムはリムジンや装甲車両の製造を専門とする、ベルギーのコーチビルダーCarat Duchatelet(カラット・デュシャトレ)が請け負う。

3「レイス・クリプトス」50台限定

古代ギリシャ語で「クリプトス(隠されたもの・暗号化されたもの)」という意味をもつ「レイス・クリプトス(Wraith Kryptos)は、ロールスロイスというトップブランドを堪能しながら、頭脳ゲームも楽しめるユニークなコレクションだ。

デザインを手掛けたのは、ロールスロイスのビスポークデザイナーであるカトリン・レーマン氏である。自身が熱狂している暗号通貨にインスパイアされたというだけに、ミステリアスな暗号が車内外に散りばめられている。暗号の答えは、トルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOの金庫に保管されており、解読法を知っているのは開発者とCEOのみという凝りようだ。

そして真っ先に目を惹かれるのは、その近代的なデザインだろう。ロールスロイス特有の重厚さを感じさせるボディーに、流れるようなラインを加えることで、不思議な軽さを表現している。グレー×グリーンのインテリアが醸し出す絶妙なハーモニーなど、そのすべてが計算し尽された一台だ。

レイスシリーズの定番オプション、光ファイバー照明「スターライトヘッドライナー」は、車内の天井をプラネタリウムのように照らし、幻想的な空間を創り上げる。クリプトスでは「データの流れ」にインスパイアされた光の暗号が、4シートの頭上に映し出される。最大出力642馬力、最大トルク605 lb-ftのV12気筒6.6リットル・ツインターボ搭載。米自動車ディーラーでは、45万ドル前後で販売されている。

限定コレクションを加えたロールスロイスからますます目が離せない

ロールスロイスは、常に「想像を超えるものを提供する」ことで、長きにわたり世界のプレミアムブランドとしての地位を不動にした。顧客の遊び心を刺激し、満足度を極限まで高めることをブランド目標に、これからもトップクラスのラグジュアリーな体験で、世界中を驚かせ続けるだろう。(提供:THE OWNER

文・アレン琴子(オランダ在住のフリーライター)