ヘッジファンドの投資手法のひとつで、世界中の国や地域のマクロ経済見通しに基づき、世界的な規模で各国の株式、債券、通貨などにロングやショートのポジションを取る手法のこと。予想したシナリオが実現した場合、反対売買を行うことで投資収益が実現されると言える。なお、グローバル・マクロ運用を手法として用いるファンドのことをグローバル・マクロと呼ぶ。90年代にポンド危機やアジア通貨危機などを引き起こしたとされるジョージ・ソロス率いる「クオンタムファンド」はグローバル・マクロ運用の代表例である。彼らは、借り入れた資金で先物を売るなどして、レバレッジを大きくかけたポジションをとることで、外国為替市場などに極めて大きな影響を与えた。1992年に英国ポンドが欧州為替相場メカニズムから脱落したのも、ソロスを中心としたグローバル・マクロ・ファンドによる売りが要因であると言われている。また、1997年のアジア通貨危機の際に、マレーシア・リンギットが暴落したのも、グローバル・マクロ・ファンドの売りによるものであるといわれる。これらのファンドに投資する際の注意点としては、運用者の自由裁量の余地が大きい手法であるため、投資にあたっては運用者の投資哲学とファンドの投資制限についてよく理解しておくことが大切である。