ネット証券口座を開設したもののサラリーマンと株投資の両立は難しい……こんな壁にぶつかり挫折する人も少なくありません。一方サラリーマンと株投資を両立して莫大な富を築く投資家もいます。成功した人の投資スタンスにはいくつか共通点がある傾向です。今回は、サラリーマンでも株投資をムリなく続けられる5つの方法を紹介します。

サラリーマンの株投資はなぜ続かないか?

投資
(画像=dusanpetkovic1/stock.adobe.com)

サラリーマンが株投資で挫折してしまう最大の原因は「昼間の大半の時間を会社に拘束されていること」にあります。国内株の証券市場での取引時間は9~15時(時間外:11時30分~12時30分)です。サラリーマンが仕事をこなしながら株投資をするとしたら「昼休みを利用する」「勤務中に隠れて売買する」といった方法しかありません。

しかし多くの人が日々の仕事に忙殺され「それどころではない」というのが正直なところではないでしょうか。そのため証券口座を開設した直後のモチベーションの高い時期は売買をしても結局やめてしまうケースも少なくありません。ダイエットや資格取得などと同様、ムリなく続けられる仕組みが必要でしょう。そこで、ムリなく続けられる5つの方法について解説していきます。

  • 指値を使う
  • PTS取引を使う
  • 米国株を狙う
  • IPO株を狙う
  • 中長期投資にこだわる

サラリーマンでも株投資1:指値を使う

株売買の基本機能「指値(さしね)」をうまく使ってサラリーマンと投資家を両立させている人もいます。株売買のときには、値段を指定する「指値注文」と値段を指定しない「成行(なりゆき)注文」の2つから選択可能です。どちらも証券取引所が営業している時間以外も予約注文ができるため、これを活用すれば勤務中に株投資のことを気にしなくて済みます。

例えばサラリーマンをしながら株投資で億単位の資産を築いたJACKさんは、楽天トウシルのインタビューで「出勤する前に毎朝、板(価格ごとの買売注文の一覧表)やチャート(株の値動きを表したグラフ)を見ながら指値を入れている」とのこと。ただし時間外の指値は使える時間帯と使えない時間帯があります。

注文受付時間は証券会社によって異なるため、あらかじめチェックしておくのが無難です。また指値の有効期間を設定できる機能を使ってサラリーマンと株トレーダーを両立する方法もあります。リアルタイムの取引では有効期間を「本日中」に指定するケースが一般的でしょう。ただ有効期間は「今週中」や「何月何日まで」などに変更することも可能です。

「週末の間に指値注文をして平日はほとんど気にしない」といった株投資スタイルもあります。

サラリーマンでも株投資2:PTS取引を使う

証券会社がPTS取引に対応している場合、PTS取引を活用してサラリーマンと株投資を両立させることも期待できます。PTS取引とは、Proprietary Trading Systemの略で和訳すると「私設取引システム」のことです。証券取引所の営業時間の前と後の深夜まで株を売買することができます。そのためPTS取引を使えばサラリーマンでも出勤前と退社後の時間で効率的に株投資が可能です。

「時間外の指値注文とPTS取引の差が分からない」と感じる人もいるかもしれません。PTS取引は、営業時間外となりますがリアルタイムで売買しています。しかし時間外の指値の場合は、あくまでも売買の予約です。証券取引所の営業時間外にどうしてリアルタイムで株売買ができるのでしょうか。なぜならPTS取引は証券取引所を介していないからです。

PTS取引は、証券取引所ではなく電子取引システムを使った「私設取引」を使って行われます。なお国内の私設取引はチャイエックス(Chi-X)とジャパンネクスト(JNX)などです。PTS取引を利用した場合の注意点は、証券会社によって取引できる時間帯が微妙に異なること。この部分もチェックしたうえで利用するのが賢明です。

・主なネット証券のPTS取引可能時間帯

証券会社取引可能時間帯
SBI証券(昼)8:20~16:00
(夜)16:30~23:59
楽天証券(昼)8:20~16:00
(夜)17:00~23:59
松井証券(昼)8:20~15:30
(夜)17:30~23:59

サラリーマンでも株投資3:米国株を狙う

2011~2020年の10年間の米国株指標を見るとNYダウは数倍、NASDAQは5~6倍に成長しており、中長期的に魅力的な市場といえます。米国株の売買ができるニューヨーク証券取引所などの取引時間は、日本時間の23時30分~翌早朝6時です(注文受付だけなら昼間も可能です)。これなら昼間拘束されているサラリーマンでもリアルタイムでチャートをチェックしながら売買することができます。

ただ昼間の本業で成果を出すには質の良い睡眠も大事です。米国株の投資をしながら十分な睡眠時間を確保するには、例えば早めに就寝して早朝の1~2時間だけ売買するなどのルール決めが必要でしょう。米国株の注意点は、株価そのものの価格変動リスクだけでなく円安のときに買って円高のときに売ると為替差損が出るという為替変動リスクもあります。

そのため為替の動きを注視しながらリスクの低い購入タイミングを見つけることが大切です。

サラリーマンでも株投資4:IPO株を狙う

「IPO(新規株式公開)株」への投資も方法の一つです。IPO株への投資なら1日中チャートに張り付かなくて株取引でリターンが期待できます。IPO株投資とは「上場する直前の株を買って上場後に売ること」です。IPO株は、高確率で購入した金額(公開価格)を上回るため、運よく抽選に当選すれば大きな利益を得ることも期待できます。もちろんすべてのIPO株が必ず上がるわけではありません。

IPO株を手に入れるには2つのハードルがあります。1つ目は、IPO株を割り当てられる証券会社に口座を持っていなければならないことです。IPO株は、最も多く株数が割り当てられる株主幹事会社、それよりも割り当てが少ない引受会社以外は取り扱うことができません。ちなみに2018年度におけるネット証券のIPO取扱数1位はSBI証券となっています。

2つ目は、IPO株の抽選に当選しなければならないことです。抽選方式は各証券会社で異なるため、自分で有利と感じるところを選ぶのが得策でしょう。

サラリーマンでも株投資5:中長期投資にこだわる

最後は、中長期投資を行う方法です。「平日は仕事」「週末は子育てや趣味」などスキマ時間を使って株投資をする気持ちの余裕がない人もいるのではないでしょうか。株投資のスタイルは、主に以下の3つのような方法があります。

主な投資スタイル内容
デイトレード1日の値動きの中でリターンを出す
スイングトレード数日~1週間の値動きの中でリターンを目指す
中長期投資中長期でインカムゲインやキャピタルゲインを狙う

3つのうち株式投資で資産を増やしたサラリーマンが選択しているケースが多いのは「中長期保有」です。例えば27歳で株式投資を始め43歳のときに株式投資で2億円の資産を築いた現役サラリーマンの弐億貯男さんは、著書『10万円から始める!割安成長株で2億円』(ダイヤモンド社刊)で「2~3年先を見据えた中長期保有がベスト」と述べています。

中長期投資なら株価チャートのチェックは余裕のあるときだけすればよいため、仕事の邪魔になりません。株のリターンの源泉は主に2つです。年率数%のように小さなリターンを確実にとっていく配当狙い(インカムゲイン)と大きなリターンを狙う株価上昇狙い(キャピタルゲイン)があります。株価上昇狙いであればバリュー(割安)株狙いや成長(グロース)株狙いなどが選択肢の一つです。

それぞれのセオリーや利益を出すコツについては、Web記事や書籍で数多く解説されているため、自分に合った方法を選択してみてはいかがでしょうか。

サラリーマンの資産形成の勝ちパターンは「定期収入×長期投資」

ここでは、サラリーマンでも株投資をムリなく続けられる以下の5つの方法について見てきました。

  • 指値を使う
  • PTS取引を使う
  • 米国株を狙う
  • IPO株を狙う
  • 中長期投資にこだわる

最後の「中長期投資にこだわる」は、他の分野の投資においても大切です。サラリーマンの強みは、定期収入が得られることのため、これをベースに長期的に安定した投資のリターンを目指すことで資産を確実かつ効率的に増やすことが期待できます。そのためサラリーマンは投資信託や不動産投資などのローリスク・ローリターン型の投資と相性がよいと言われているのです。

株投資とともに今後の投資について研究してみてはいかがでしょうか。(提供:Incomepress


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