太陽光発電投資に関心はあるけど失敗するのが心配……という人もいるのではないでしょうか。太陽光発電投資の失敗の事例は大きく4つに分けられます。あらかじめ失敗例を知っておくことでリスクを回避することが可能です。ここでは、太陽光発電投資における具体的な失敗の内容と対策について解説していきます。

太陽光発電投資でよくある4つの失敗

太陽光
(画像=freedomz/stock.adobe.com)

太陽光発電投資でよくある失敗は主に以下の4つです。これから太陽光発電投資を検討している人は、それぞれの具体的な事例と対策を確認しておきましょう。

  1. 保険を忘れて自然災害の被害
  2. メンテナンスを怠り故障で発電停止
  3. 事業用に不慣れな会社で施工不良
  4. 依頼した会社が倒産

保険を忘れて自然災害の被害

太陽光発電のパネルは軽量かつ面形状のため、大雪や台風、竜巻などの被害を受ける可能性があります。また立地によっては水害や土砂崩れの被害を受けることも否めません。被害を受ければ機器が破損し発電しなくなったり発電効率が悪化したりするなど大きな損害を受けてしまいます。そこでパネルなどの費用を補償してくれるのが損害保険会社の火災保険や動産保険です。

しかし保険に加入し忘れたり更新を怠ったりして補償がない状態になっている人も少なくありません。無保険状態で被害が発生すれば修理費などは自己負担になり、収益が途絶えて借入金の返済が苦しくなってしまいます。融資を受けて太陽光発電を稼働させる場合は、融資先から保険加入を求められることがありますが、自己資金で購入すると保険加入は所有者次第です。

規模が大きくなればそれだけ万一の際の損害額も莫大なものになりかねません。保険は、安全に太陽光発電を運営するうえで絶対条件と考えて忘れず加入するようにしましょう。

メンテナンスを怠り故障で発電停止

太陽光発電は、定期的なメンテナンスが必要です。しかしメンテンナスを怠れば機器が故障し最悪発電が停止してしまう可能性もあります。他にも発電量が減ったり予想外の修理費が発生したりする可能性もあるため、いずれも利回りを落としかねません。機器メンテナンスは、設置した会社などと契約を結び年間の維持管理費を支払い定期的に点検や修理を行いましょう。

太陽光発電投資をする人の中には、点検で部品交換や修理が必要な場合でも出費を惜しんでそのままにしてしまう人もいます。しかしメンテナンスを怠ることで後日故障を起こし、発電量が落ちたり発電が止まったりするなど大きな被害につながる可能性もあるため注意が必要です。規模の大きい太陽光発電ほど稼働できなくなったときの損失も深刻になります。

すぐに修理ができれば良いですが何日もかかってしまえばその分発電ができないため、損失は莫大です。また太陽光発電は不具合により発熱や発火をすることがあり、単に発電収益を失うだけでなく機器の大きな損害を出すこともあります。そのような事態になれば当然保証もされません。太陽光発電にかぎりませんがどんな機器もメンテナンスは必要です。

特に太陽光発電は運転が停止してしまうと停止した分だけ収益が失われていきます。安定した収益を確保していくためにも必ず定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。

事業用に不慣れな会社で施工不良

家庭用の太陽光発電を設置していた業者が事業用の大規模な太陽光発電の設置に参入しているケースがあります。しかし大規模な工事の経験値が不足している場合、施工不良で故障や十分な発電が行われないなどのトラブルに発展するリスクがあるでしょう。なぜなら家庭用と事業用では付帯する機器や設置において異なる知識や経験が必要だからです。

特に規模の大きい事業用の太陽光発電は施工だけでなく設置する敷地や周りの環境への配慮が必要です。時には近隣住民からの苦情対応も求められます。また設置した敷地の整備や場合によっては遠隔監視システムでモニタリングするなど家庭用の屋根上設置にはない業務も必要です。2020年度における太陽光発電のメンテナンス市場は、約604億円と2013年度の約3.7倍にも拡大しています。

そのため業者の参入もより増えていくことが予想されるでしょう。こういった背景も踏まえたうえで事業用の太陽光発電を設置し運用をする際には、必ず大規模な太陽光発電の工事に精通した業者を選ぶようにしましょう。

依頼した会社が倒産

太陽光発電を依頼した会社が倒産してしまいアフターメンテナンスや工事保証を受けられないトラブルも少なくありません。企業専門の信用調査会社の帝国データバンクが2020年7月に公表した「太陽光関連業者の倒産動向調査(2020年上半期)」によると、太陽光発電の会社が倒産する件数は2019年下半期においては前期比(2019年上半期)25.0%増でした。

2020年上半期は、前期比(2019年下半期)23.5%増と2期連続で急激に増加しています。2018年のピーク時から2019年は減少に転じました。しかし2020年上期は再び倒産増加の兆しが見えています。万が一設置を依頼した業者が倒産してしまえば施工の不具合が起こった場合、補償が受けられない可能性もあるでしょう。

例えば架台の施工不良でパネルが倒れて破損したり配線の不備で機器が故障したりした場合、業者が倒産していれば所有者が自費で直すことになります。パネルや周辺機器自体には、メーカーの保証が付いていますが工事の不具合が原因の場合はメーカーの保証対象外になるのです。また定期点検やメンテナンスも所有者で新たな依頼先を探す必要もあります。

依頼する会社が経営的に安心かどうかを個人で判断することは難しいですが、できるだけ会社の規模や実績などを確認しながら慎重に選ぶようにしましょう。

リスク回避には既存物件

太陽光発電投資で失敗を回避する方法の一つとして「すでに稼働をして販売されている既存の太陽光発電システムを購入する」という選択肢もあります。既存物件は、以前の高い買取価格で契約していたものもあり物件価格の手ごろさと高い利回りが魅力です。既存物件は稼働後に時間が経過しているため、これまでに目立つ故障や施工不良がなかったか確かめることができます。

そのためある程度安心して所有することができるでしょう。また実際の発電量がシミュレーション上の数字ではなく過去の実績として確認したうえで購入できる点も大きなメリットです。収支の面でもリスク回避がしやすくなっています。もちろん購入後にメンテナンスを怠らないようにしなければなりませんが、できるだけリスクを回避したいのであれば選ぶ価値のある選択肢と言えるでしょう。

太陽光発電は他の投資に比べ安心な理由

上述した対策を取ることができれば太陽光発電は投資初心者に優しい資産運用の一つです。その理由としては以下の2つが挙げられます。

国が買取価格を保証している

2020年時点で出力が10kW以上であれば20年という長い期間、国が買取価格を保証している点です。例えるなら国債に近い構造となっています。国債は、所有期間によって利率があらかじめ決められており、満期まで持っていればその利息を受け取ることが可能です。成果に対する単価が確定している投資は、他にほとんどありません。

多くは、株式投資のように景気変動などで一気に価値が暴落するリスクがあります。しかし太陽光発電はそのようなリスクがほとんどありません。

特別な知識や経験が不要

太陽光発電は、稼働を始めれば利益を維持するための特別な知識や経験がほぼ不要です。他の投資の場合、知識や経験の違いによって資産を大きく減らしてしまう可能性があります。しかし太陽光発電は稼働を始めたあとは、適切にメンテナンスさえ依頼すれば特別な取引などをする必要はなく知識や経験の違いで価値が失われることはありません。

太陽光発電は、解説してきたように基本的なリスクをしっかりと理解していれば初心者でも十分に安心して運用できる資産運用なのです。

多くのリスクは事前に学べば回避できる

今回紹介した太陽光発電投資の失敗は、業者の倒産以外はあらかじめ知識を持つことで十分に回避することができます。太陽光発電を設置する際は、必ず損害保険に加入し定期的な点検と必要なメンテナンスを怠らず事業用の太陽光発電工事に精通した業者に依頼すれば多くの失敗は防ぐことが期待できるでしょう。

もちろん設置する太陽光発電が十分に発電し初期投資の回収が見込めることは大前提です。業者が行う太陽光発電の説明と収支のシミュレーションにしっかりと耳を傾け、分かりやすく丁寧にアドバイスしてくれる業者を選ぶことでさらに失敗のリスクが回避できるでしょう。(提供:Renergy Online