太陽光発電投資で成功するには、損害保険のことを理解し適切なサービスに加入することが必須です。これを怠ると、太陽光パネルなどを交換・修理するために莫大なお金がかかるリスクがあります。太陽光パネルの製品保証だけでは自然災害や盗難などには対応できません。今回は、損害保険の種類とポイントをわかりやすく解説します。

太陽光発電投資で損害保険の加入が必須な理由

太陽光
(画像=fotomaximum/stock.adobe.com)

太陽光発電投資をはじめるときは、リターンの源泉である太陽光パネル・パワーコンディショナーなどの損害保険に加入するのが大事です。

災害によって太陽光パネルなどが破損・故障すれば、修理・交換にかなりの費用がかかることもあります。保険に加入していない場合、これらの費用をオーナーの手持ち資金でまかなわなければなりません。あらかじめ損害保険に加入しておけば、このようなリスクがありません。

また、太陽光パネルなどの修理・交換には期間がかかります。必要な部材を取り寄せるために期間を要したり、業者の予定が埋まっていたりする可能性もあります。こうした休業中の本来得られた逸失利益も保険に加入していればカバーできます。さらに、太陽光パネルが飛散し近隣の人やモノに被害を与えた場合、賠償金が発生しますがこれも保険でカバーできます。

太陽光発電の損害保険のよくある勘違い

下記で紹介しているような勘違いをしているために、太陽光発電の損害保険に加入しないまま投資をスタートさせてしまうケースもあります。ご注意ください。

勘違い1「製品保証・出力保証があるから大丈夫」

よくある勘違いが「製品保証・出力保証があるから、損害保険には入らなくてもよい」というものです。しかし、一般的な製品保証・出力だけでは、太陽光発電投資の長期的な安定経営を支えるには不十分です。

製品保証とは、設置した太陽光パネルやパワーコンディショナーに欠陥があった際に無料で交換・修理してくれるものです。また、出力保証は太陽光パネルがあらかじめ決まった発電量を下回った場合に太陽光パネルを無料で交換・修理してくれるものです。例えば、「購入から○年間、出力○%を下回った場合に修理・交換する」といった内容になっています。「製品保証・出力保証と損害保険は、まったくの別モノ」ということを認識しましょう。

対象保証内容保証期間(目安)
製品保証パネルなどに欠陥があれば交換・修理10年程度
出力保証規定の発電量を下回れば交換・修理10年〜25年程度

勘違い2「「ソーラーローンの損害保険があるから大丈夫」

太陽光発電投資をする際、ソーラーローンの融資で初期費用をまかなう人が大半でしょう。このソーラーローンのなかには損害保険があらかじめ組み込まれているものもあります。また、太陽光発電投資サービスを提供する企業のなかには、自然災害や盗難などの補償を提供しているところもあります。

だからといって、こういった業者提供の保険だけで補償内容や補償期間が十分とは限りません。「補償が不十分」と感じる場合は、改めて別の保険に加入したり、ローン会社の保険が切れたタイミングで加入する必要があります。精査するためにまずは、契約内容をしっかり確認してみましょう。

太陽光発電の損害保険には3つの種類がある

一般の太陽光発電の損害保険には、次の3つの補償があります。必要な保険を見極めて加入しましょう。

太陽光発電の保険1:動産総合保険

動産総合保険は、ソーラーパネルやパワーコンディショナーなど発電設備の破損を補償するものです。太陽光発電の保険のなかでも一番重要なものといってよいでしょう。主な財物破損リスクには次のようなものがあります。

火災・爆発
風災・雹(ひょう)災・雪災
落雷
台風・豪雨などによる水災
盗難

なお、動産総合保険はオプション特約などで補償内容が変わってくることもあります。必要な特約は漏れなく付けましょう。

太陽光発電の保険2:管理者賠償責任保険

管理者賠償責任保険は、太陽光パネルが飛散し、近隣の人・建物・モノなどに損害を与えた場合に補償するものです。例えば、太陽光パネルが突風で吹き飛ばされ、近隣の家を破損し住人にケガを負わせたなどのケースが該当します。この修理費や治療費を保険でカバーすることが可能です。

とくに、太陽光発電を設置している敷地の近隣に家や事務所があるなら、保険の加入を検討するのが無難です。また、敷地の近隣に何もなくても、通行人や車が通る道路に面しているなら、管理者賠償責任保険を検討した方がよいかもしれません。

太陽光発電の保険3:休業補償保険

休業補償保険は、自然災害などの影響で太陽光発電の設備が稼働できない場合に、得られたはずの売電収入をカバーしてくれます。

太陽光発電の損害保険料の目安

保険料や補償内容は保険会社によって異なりますが、おおまかな保険料の目安は以下の通りです。

動産総合保険:数万円程度
施設賠償責任保険:5,000円程度
休業補償保険:数千円程度
※上記はあくまでも一例です。規模や保険会社によって異なります。

太陽光発電の保険加入のチェックポイント

前項でご紹介した3種類の太陽光発電保険のなかで、とくに重要なのは動産総合保険です。太陽光発電投資の根幹を担う、太陽光パネルとパワーコンディショナーの破損・故障をカバーするための保険だけに加入は必須でしょう。

チェックポイント:台風・豪雨などによる水災

動産総合保険の補償対象のなかでもっとも警戒したいのは、「台風・豪雨などによる水災」です。これは多くの人が感じていると思いますが、最近は大型台風や集中豪雨による自然被害が増えています。とくに下記の立地の太陽光発電は、リスクが高いため動産総合保険の加入を検討するのが無難です。なお、水災がオプション特約になっている保険もあるので要チェックです。

集中豪雨が多いエリアの太陽光発電
川が近い立地の太陽光発電
山の傾斜に設置された太陽光発電

チェックポイント:盗難による被害

もう1つ見逃せないのが、太陽光発電設備の盗難です。「太陽光設備の盗難など、そうそう起きないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、転売目的の盗難が全国各地で起きています。盗難に対する補償も太陽光発電投資にとって重要です。

とくに警戒したいのは、周囲に人家がない立地の太陽光発電設備です。人目がないだけに、不審者が容易に敷地内に侵入できます。盗難の対象となるのは太陽光パネル、それをのせる架台、ケーブルなどです。太陽光発電設備の盗難に備えるには、盗難補償に加えて、敷地内に監視カメラを設置する対策もあります。

ただし、盗難の補償も監視カメラの設置もコストがかかります。立地のリスクとコストのバランスを考慮して、採用するか検討してみてください。

損害保険の部分もしっかり提案してくれるパートナーを

太陽光発電投資のリスクは、自然災害による破損・故障や盗難です。この部分さえクリアできれば、固定価格買取制度で20年間リターンが守られるため、長期的にリスクが少ない経営環境が実現できます。

太陽光発電投資を検討しているときには、「どれくらい儲けられるか」「融資審査は通るか、金利はどれくらいか」に意識がいくケースが多いのではないでしょうか。そこに「損害保険は十分か」という視点を加えることでスキのない経営計画になります。損害保険の部分をしっかり提案してくれるか。これも太陽光発電投資をサポートするパートナー企業(業者)選びの大切なポイントです。(提供:Renergy Online