アメリカの投資家ウォーレンバフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは再生可能エネルギーに多額の投資を行っており、2020年7月には約1兆円で天然ガス輸送事業を行うドミニオン・エナジーを買収しました。バークシャー・ハザウェイのエネルギー部門であるバークシャーハサウェイ・エナジーは、2018年時点で全米約490万戸に電力を供給しています。

今回は、ウォーレンバフェット氏とバークシャー・ハサウェイ、バフェット氏の投資スタイルや再生可能エネルギー企業への投資、バークシャーハサウェイ・エナジーについて解説します。多くの投資家に影響を与えるバフェット氏の企業がこのように投資・事業運営を行うことで、今後も再生可能エネルギー事業が注目され業界に影響を与え続けていくことでしょう。

ウォーレンバフェット氏は再生可能エネルギー企業へ多大な投資をしている

エネルギー事業
(画像=zhengzaishanchu/stock.adobe.com)

投資をしたことがある人ならウォーレンバフェット氏の名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。世界中の投資家に大きな影響を与え続けるバフェット氏は、バークシャー・ハサウェイを通じてこれまで再生可能エネルギー企業へ多大な投資を行っています。まずは、バフェット氏とバークシャー・ハサウェイ、そしてその投資スタイルについて見ていきましょう。

ウォーレンバフェット氏とバークシャー・ハサウェイ

アメリカの投資家ウォーレンバフェット氏は「投資の神様」「オマハの賢人」と呼ばれ、世界中の投資家に影響を与え続けています。2020年8月には日本の5大商社の株を取得したことが話題となり、その翌月には同社の株価が数百円上昇しました。バフェット氏は持株会社の「バークシャー・ハサウェイ」を経営しており、形態は株式会社ではあるものの実際は投資ファンドと言われています。

「バークシャー・ハサウェイ」は、元々紡績業の会社でした。しかし1970年代後半にウォーレンバフェット氏が株式の多くを取得し保険業を足場とする機関投資家へと事業転換。2008年のリーマンショックまで純資産の伸び率が年平均約20%と驚異期な成長を遂げてきました。2020年にフォーブスが公表した「グローバル2000」では世界4位にランクインしています。

バフェット氏の投資スタイルとは?

バフェット氏は「ファンダメンタル分析を十分に行い、高額な資金を長期で運用する」という投資スタイルです。ファンダメンタル(基礎的諸条件)分析とは、企業の利益や資産、キャッシュフローなどから会社を分析する方法で、オリンピック誘致などの社会トレンドや政治的・軍事的な緊張が与える影響(地政学リスク)などと組み合わせて行われ、長期的な投資に適した分析方法と言われています。

バフェット氏は「企業に対して1本の論文が書けるくらい」徹底的な分析を行い、1つの企業へ多額の投資を行います。さらに長期投資で最低15~20年は株を保有するため、バフェット氏が投資した企業は数十年、安定して株を保有してもらえる可能性が高くなります。また、バフェット氏が投資を行うことで「バフェット投資法」と呼ばれる「バフェット氏が買っている株を真似して買う」投資家が株を購入し、企業が安泰となる可能性も高くなるのです。

再生可能エネルギー企業へ多大な投資

バークシャー・ハサウェイは、これまで風力発電プロジェクトや太陽光発電などに多額の投資を行ってきました。1999年にエネルギー事業を展開するミッドアメリカン・エナジー・ホールディングスを買収した際は、同業他社も重ねて買収。2014年にミッドアメリカン・エナジー・ホールディングスは「バークシャーハサウェイ・エナジー」に会社名を変更し、現在もバークシャー・ハサウェイの傘下でアメリカを中心に発電事業や電力・ガス供給事業などを展開しています。

また、2006年に電力事業を行っているパシフィックコープを買収、2009年には化石燃料の輸送で利益を上げているバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道を買収しています。2016年までに風力・太陽光発電などに150億米ドル(1兆6,500億円)の投資を行っており、さらに「これから2倍以上の投資を行う」と発言しています。

2020年7月に約1兆円で天然ガス輸送事業買収

2020年7月、バークシャー・ハサウェイはアメリカの総合エネルギー企業であるドミニオン・エナジーの天然ガス輸送・貯蔵事業を買収すると発表。子会社であるバークシャーハサウェイ・エナジーを通じて大型の天然ガス貯蔵施設や天然ガスのパイプラインなどを取得することと引き換えに40億米ドルを現金で支払い、57億米ドル相当の負債を引き継ぐことで合意しました。

合計97億米ドル(約1兆円)となったこの巨大買収は、バフェット氏の後継者候補でエネルギー部門のCEOグレッグ・アベル氏が主導したと見られています。エネルギー企業は環境保護団体や投資家から二酸化炭素の排出量削減などを求められており、環境訴訟が相次ぐ「逆風」の中にいました。しかしバークシャー・ハサウェイの買収により株価は堅調な推移となり、今後の動向が注目されています。

アメリカの再生可能エネルギー事業の行方はどうなる?

バフェット氏が再生可能エネルギー事業へ多額の投資をすることで「バフェット投資法」を行う投資家に影響を与え再生可能エネルギー市場の株価・ファンドは引き続き伸びていくことでしょう。さらにドミニオン・エナジーを買収し事業を拡大したバークシャーハサウェイ・エナジーが業績を伸ばしていくことで、再生可能エネルギー全体が注目され、今後も大型買収劇が展開される可能性があります。

バークシャーハサウェイ・エナジーの今後のさらなる動向に、注目が集まります。(提供:Renergy Online