金融
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市場の動きはドル安・円高への傾斜を示唆

三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト / 市川 雅浩
週刊金融財政事情 2020年11月9日号

 ドル円は9月23日以降、おおむね1ドル=105円台で推移していたが、10月21日に一時104円34銭水準までドル安・円高が進み、その後は10月30日まで104円台での取引が続いた。ややドル安・円高方向への動意が見られるドル円だが、本稿では投機筋ポジションやオプション取引動向、主要テクニカル分析から、ドル円相場のチェックポイントを確認する。

 はじめに通貨先物の投機筋ポジションを検証すると、図表のとおり、円ポジションは年初から売り越し基調だったが、春先のコロナショックで、一気に買い越しに転じた。その後は、買い越し基調が続き、直近では、買い越し額にやや減少の兆しがうかがえる。つまり、現状のポジションに大きな偏りはなく、投機筋はさらなる円買いにも、一転して円売りにも、動きやすい状況にあるといえる。

 次に通貨オプション市場に目を向けると、円のコール(買う権利)とプット(売る権利)の価格差から需給の偏りを示す「リスクリバーサル」は、円コールに対する需要超過、すなわち円コールオーバーが続いている(直近3カ月平均で1.1%程度)。これは、通貨オプション市場において、継続的に円高に備える市場参加者が多いことを意味している。

 テクニカル分析を見ると、相場の過熱感を判断するチャートの一つである「RSI(相対力指数)」は、10月30日時点で42.1%であった。一般に、30%を割り込むとドルは売られ過ぎ、70%を超えると買われ過ぎとされる。一方、RSIよりも動きが速いとされる「ウィリアムズのR」は、マイナス80%を下回るとドルは売られ過ぎとされるが、同日時点でマイナス63.4%であった。

 相場のトレンドを判断する移動平均線を見ると、ドル円の日足は10月30日時点で、25日線、75日線、200日線をいずれも下回っており、ドル安・円高トレンドが示唆されている。また、日足の一目均衡表では、ドル円の日足が「雲」(二つの先行スパンで形成される領域)を下回って推移し、転換線が基準線を下抜け、遅行線が日足水準まで低下しており、ドル売りシグナルが点灯しつつある。

 以上から、ドル円は米大統領選挙というイベントをきっかけに、ドル安・円高方向に大きく振れやすい状況にあると思われる。

 ただし、相場の方向性は、必ずしもこれらのポジション動向やテクニカル分析に縛られることはない。そのため、米大統領選を機にドル高・円安が進行するとすれば、選挙結果は相応に強いリスクオンの材料となると考える(10月31日執筆)。

きんざいOnline
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(提供:きんざいOnlineより)