金融マーケットにとって大イベントだった米国大統領選挙が間もなく決着しようとしている。今後は法廷闘争に発展する可能性もあるが、ひとまずマーケットは“バイデン新大統領”を織り込み、日米の株式市場が急上昇している。米国の“番長”として4年間君臨したドナルド・トランプ氏がホワイトハウスを明け渡すことがほぼ確定した今、株式市場はどのような動きを見せるのか。(ZUUonline magazine編集長 三枝裕介)
「バイデン=株安」の方程式が「バイデン=株高」に変化
それにしても株式市場はおもしろいものだ。当初、専門家の間では、「バイデン勝利なら株式市場は下落、トランプ再選なら上昇」と予測していた。これはバイデン氏が、トランプ大統領が減税した法人税を引き上げると強調していたからだ。
確かに投票前の10月後半の世論調査でバイデン優勢が伝わると、NYダウは6営業日で一時2200ドル超の下げに見舞われた。しかし、開票後はバイデン氏優勢を株式市場が歓迎して株価が反転、次にトランプ氏が激戦のフロリダを制すると輪をかけて株価が上昇、さらに一転してバイデン氏が過半数獲得に王手をかけた直近でも上昇が続いている。つまり、開票後は、状勢が二点三転する中で、株式市場はそれらを材料に上昇基調を強めていったわけだ。
ちなみに、4年前の大統領選挙では、「トランプ=株安」とされていた。ところが、トランプ大統領が誕生するとマーケットはこれを歓迎し、最近までNYダウは史上最高値更新が続いていた。
アナリストの考え方も株高に傾いてきた
筆者の手元には、大統領選挙について書かれた国内外の証券会社のレポートが届いている。これを読むと、当初は「バイデンで株価下落」を予想していたストラテジストやアナリストやたちが、そろって今後の株高を予想している。