注目の伊藤忠アーバンコミュニティ参戦でどうなる?

「Esco」という言葉を聞きなれないかもしれないが、Esco事業に取り組んでいる企業は多い。

例えば、関西電力系の電気設備企業であるきんでん < 1944 > や九州電力系の電気設備企業である九電工 < 1959 > 、大阪ガスの100%出資子会社であるクリエイティブテクノソリューション等が挙げられる。また、Esco事業には金融も絡んでくることがあり、NECキャピタルソリューション< 8793 >や日立キャピタル < 8586 > 、芙蓉総合リース < 8424 > 等も挙げられます。さらに技術開発企業として「明電使用エネルギー記録システム『ECO1000』」を開発した明電舎 < 6508 > 、「太陽熱反射塗装」を開発したダイキン工業 < 6367 > 等にも注目だ。9月10日、マンション管理やオフィスビル管理を手掛ける伊藤忠アーバンコミュニティがEsco事業に参入したことがニュースとなった。

伊藤忠アーバンコミュニティでは、まず手始めにオフィスビルや商業施設向けに女性用トイレの節水を目的とした自動流水器レンタル事業から手掛けていくとのことだ。伊藤忠アーバンコニュニティが、ESCO事業参入の目的を「総合不動産管理・運営会社として、マンションのみならず、ビルオーナー様にも省エネルギー提案・提供」としていることからも、マンション管理戸数、オフィスビル管理面積が頭打ちになっている中で新たな収益源を模索していることが読み取れる。業界内で中堅に位置する当社がEsco事業に参戦することによって、省エネ設備導入の獲得合戦が繰り広げられる可能性もある。


注意も必要

空調設備機器や電気設備機器の導入、交換により省エネルギー化を図り、光熱費を削減していくというEsco事業だが注意も必要だ。まず念頭に置いておかなければいけないことは、Esco事業は省エネルギーによるコスト削減を図るという作業が発生する。これに基づき、保証なども決まるためこの前提条件に影響があるような改修工事を別途行うような場合には契約の変更を行うという手間が生じるケースもある。また、Esco事業者から提案を受け、管理運営をしてもらうことになるため、顧客自身が設備機器を選定し、機器の入れ替えを実施するよりも割高になることは否めない。大規模な機器の導入の場合にはEsco事業者に管理運営をしてもらうことも大きなメリットと言えるが、小規模な場合、自身で手間をかけて設備機器の導入、入替を検討してみるのも選択肢の1つである。

ただ、多くの技術が登場している省エネルギー分野のため、小規模でも提案を受けてみるのは良いかもしれない。一般的にEsco事業者から提案を受けた設備を導入した場合に6年から8年で初期投資を回収できると言われているが、LED設備の導入では2年から3年で初期投資を回収できている事例もある。電気契約の変更交渉のみであれば初期投資すらかからない。さらには補助金や助成金を利用すればさらにコストを抑えて設備導入することも可能であることから、まずはいろいろ情報収集して見極めが必要となりそうだ。