助成金と補助金は名称が似ていることもあり、同じようなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。どちらも返済不要の交付金ではありますが、それぞれに明確な違いも存在します。受給時の注意点と併せて、理解を深めておきましょう。

助成金と補助金の特徴と違い

経営
(画像=PIXTA)

助成金と補助金は、どちらも国や地方自治体から支給される、返済不要の交付金です。企業が何らかの事業や施策に対し取り組みを行った場合、それらに要した負担金の全部または一部が、事業や施策を行った後から支給されます。

助成金と補助金の違い

助成金制度は、雇用の促進・維持や人材育成などを目的として実施されています。主に厚生労働省が実施しており、財源は企業が支払う雇用保険料です。基本的に年間を通していつでも申請でき、支給条件さえ満たしていれば、原則としてほとんどの企業に支給されます。

補助金制度は、国や地方自治体が決めた政策をもとに、政策の目標達成にふさわしい事業を行う企業や個人事業主をサポートする目的で実施されています。経済産業省や各都道府県が実施していることが多く、財源は事業所が支払う法人税です。公募期間が年1回などに設定されることがほとんどであり、件数や金額が定められるため申請しても支給されない可能性があります。

助成金を申請・受給する条件

助成金の財源は雇用保険料であることから、助成金を利用できる企業は雇用保険へ加入している企業に限られます。加入済みでも滞納していれば受給できないでしょう。また、就業規則や出勤簿など法律上必要な書類を整備していることや、労務管理が適正に行われていることも、申請・受給できる条件です。

補助金を申請・受給する条件

数十種類しかない助成金と比べ、補助金の件数は数千件にも及び、申請・受給条件も各補助金により異なります。それぞれの補助金に設定されている目的や趣旨を募集要項などで理解し、自社の事業内容と合致しているものを選ぶことが大切です。

助成金を受給するメリット、デメリット

メリットとデメリット、それぞれ確認していきましょう。

助成金を受給するメリット

助成金の最も大きなメリットとして、返済不要であることが挙げられるでしょう。銀行からの融資などと異なり、返済の心配をすることなく事業資金として活用できます。

また、助成金の申請をきっかけに、労働環境を整備・改善できたり、企業としての信頼を高められたりすることもメリットです。

助成金を受給するデメリット

助成金の申請にあたり、労働環境の整備を必要とする場合は、書類などをそろえたり労働環境を改善したりすることが手間に感じることもあるでしょう。環境整備に経費がかかる可能性もあり、これらは助成金を受給するデメリットとも捉えられます。

また、申請業務をプロに依頼する場合は、手数料がかかることも覚えておきましょう。着手金と成功報酬を支払うタイプや、成功報酬のみ支払うタイプなどがあります。

助成金、補助金を申請・受給するときの注意点

主に3つの注意点を意識する必要があります。

補助金も助成金も後払い

補助金と助成金は、スピードを重視する経済的な支援が本来の目的ではないため、ほとんどが後払いです。資金調達に有効な手段ではありますが、施策や事業の実行にかかるキャッシュは自分で用意しなければならないことに注意しましょう。

申請後、受給までに時間がかかることもある

後払いであるだけでなく、受け取れるまでに時間がかかる可能性があることも、補助金や助成金について注意しておきたいポイントです。申請から支給までに数ヵ月かかることが多く、中には1年ほど経たなければ入金されないものもあります。

検査が入ることもある

助成金は、雇用保険に加入してさえいれば、検査が入るケースは多くありません。一方、補助金は助成金に比べ高額になることが多く、対象企業数や支給額にも限りがあるため、審査段階で検査が入ることもあります。申請する際に、重要なポイントを押さえておくことが重要です。

助成金や補助金の申請サポートはプロに任せるのがおすすめ

助成金や補助金を確実に受け取るためには、きちんと申請することが重要です。しかし、手続きが煩雑になりやすいため、申請をプロに依頼することも選択肢に含めましょう。費用はかかりますが、より正確な申請を見込めます。(提供:企業オーナーonline


【オススメ記事 企業オーナーonline】
事業承継時の「自社株評価」どのような算定方法があるのか?
不動産を活用し、事業承継をスムーズに進める方法とは?
法人税の節税対策をご存知ですか?
職場の「メンタルヘルス対策に関わる課題・悩みあり」が6割以上
経営者必見!「逓増定期保険」で節税する時のメリット・デメリット