三菱エクリプスクロスPHEV・P 価格:447万7000円 試乗記
鮮烈マイナーチェンジ。待望のPHEV誕生
パワートレーン:プラグインHV
満充電時EV走行距離(WLTCモード):57.3km
エクリプスクロスがマイナーチェンジした。待望のPHEVを新設定したうえに、全長を140mm伸ばし、リアゲート形状を変えた。プラットフォームやクルマの基本は従来と共通だが、まさにビッグチェンジ。最新のエクリプスクロスは新鮮そのものだ。
スタイリングは、一新したフロントマスクが印象的。新型はグリル全体がブラックになり、ダイナミックシールドと呼ばれる独自の表情が強調された。実に精悍である。ヘッドランプはグリルサイドにレイアウト。上側はポジションランプ兼デイタイムランニングランプになる。ノーズは従来比35mm伸びた。
リアは荷室空間拡大(PHEVのバッテリー積載スペース確保という面もある)を目的に、オーバーハングが105mm延長された。これに呼応してリアゲートは後方に伸ばされ、上下 2分割だったリアウィンドウは1枚になった。新型は従来以上にクーペフォルムを強調。しかも落ち着いた雰囲気が増している。
ボディサイズは全長×全幅×全高4545×1805×1685mm。日本でも扱いやすいサイズにまとめられている。
室内は上質。PHEVメカニズムはアウトランダー用をリファイン
試乗車はPHEVのPグレード。新たにオプションリストに加わったライトグレーのレザーシートが装着されていた。PHEVはガソリン車に比べて価格が高い。しかしこの上質なインテリアなら納得というユーザーが多いだろう。メーターはアウトランダーPHEVに似ていて、左側にタコメーターの代わりにチャージ/パワーメーターが備わる。
PHEVのメカニズムは基本的にアウトランダーPHEVと共通。2.4リッター直列4気筒エンジン(128ps)と前後2基のモーター(フロント82ps/リア95ps)を持ち、前輪はエンジンとモーター、後輪はモーターだけで駆動する。満充電時のEV走行可能距離は57.3km。充電は急速/普通の両タイプに対応。車重は1920kgに達する。
加速はかなりの余裕がある。右足の動きに即答するレスポンスと、トルクフルな味わいが心地いい。セレクターレバー横にあるEVモードスイッチを押さなくても、街中はほぼモーターだけで走る。ペースを上げるとエンジンが始動するようになるが、回転をさほど上げずに走れることもあり、音はほとんど気にならない。
パフォーマンスは「大人のGTカー」、走りはランエボの血統
ドライブモードはエコ/ノーマル/スノー/グラベル/ターマックの5種類。トグル式スイッチで切り替える。エコはモーターやエアコンが省エネ設定に変化。他の4モードは三菱がS-AWCと呼ぶ 4輪統合制御システムの設定が変わる。
中でもターマックモードは、モーターの出力特性やレスポンスが、走り指向にチューニングされている。一般的なスポーツモードに近い感覚だ。まさにドライバーの意のままの走りが楽しめる。一方、エコモードは、ノーマルとの違いはあまり感じなかった。これはもともとパワーに余裕があるからかもしれない。
乗り心地はガソリン車より重厚だ。適度な固さを基調に、しっとりした足回りの動きが伝わる。細かい揺れは巧みに抑えられている。重い車体が有利に作用しているのはもちろん、PHEV化に合わせてエンジンルーム内やリア回りなどボディ各部の補強を行ったことが功を奏しているようだ。
ガソリン車のエクリプスクロスは、このクラスのSUVとしては軽快な身のこなしが好印象だった。PHEVは重量増加の関係で、この面も落ち着いている。いわば大人のGTカーといったイメージが強い。
しかしターマックモードに切り替えると、コーナー立ち上がりでの様子がはっきり変わる。後輪に多めのトルクを与えるだけでなく、左右輪の駆動力も調節され、ガソリン車以上に小気味いいフィーリングを実現していた。
ターマックモードは、ランサーエボリューションでの経験をフィードバックしたものという。エクリプスクロスPHEVが生粋のドライバーズカーであることの証だ(ターマックモードはアウトランダーPHEVには未設定)。
価格は内容を考えるとリーズナブル。エントリーグレードの価格は300万円台。新車で買えるプラグインSUVとして最も安い。日本はもちろん、世界各地で電動化の推進がニュースになる中で、待ち望まれた1台が登場した。
三菱エクリプスクロスPHEV・P 主要諸元と主要装備
グレード=PHEV・P
価格=447万7000円
全長×全幅×全高=4545×1805×1685mm
ホイールベース=2670mm
トレッド=フロント1540/リア1540mm
最低地上高=185mm
車重=1920kg
エンジン=2359cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=94kW(128ps)/4500rpm
最大トルク=199Nm(20.3kgm)/4500rpm
モーター最高出力kW(㎰)=フロント60kW(82ps)/リア70kW(95ps)
モーター最大トルク=フロント137kW(14.0ps)/リア195kW(19.9ps)
WLTCモードEV走行換算距離=57.3km
WLTCモードハイブリッド燃費=16.4km/リッター(燃料タンク容量43リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:15.7/16.8/16.5km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=225/55R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径_=5.4m
●主な燃費改善対策:可変バルブタイミング/アイドリングストップ/プラグインハイブリッド/電動パワーステアリング
●主要装備:S-AWC/AYC(アクティブヨーコントロール)/ASC(アクティブスタビリティコントロール)/e-Assist(衝突被害軽減ブレーキ+車線逸脱警報+レーダークルーズコントロール+オートマチックハイビーム+前後誤発進抑制機能+後側方車両検知警報+後退時車両検知警報)/LEDヘッドライト/LEDデイタイムランニングランプ/グロスブラックフロントグリル/前後スキッドプレート/ルーフスポイラー/ハイコントラストメーター/ヘッドアップディスプレイ/ドライブモードセレクター/本革巻きステアリング/回生レベルセレクター(パドル式)/フルオートAC/スエード調素材&合成レザーコンビシート/運転席パワーシート/前席シートヒーター/スマートフォン連携ナビゲーション/寒冷地仕様/自動防眩ルームミラー/100V・AC電源(1500W)/充電機能(普通+急速充電)
●装着メーカーop:ルーフレール+電動パノラマサンルーフ15万9500円/本革シート+助手席電動調節機能+後席シートヒーター20万9000円/ミツビシパワーサウンドシステム(8スピーカー)9万3500円/三菱リモートコントロール5万5000円/電気温水式ヒーター11万円
●ボディカラー:ホワイトダイヤモンド(op7万7000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万140円
(提供:CAR and DRIVER)