本記事は、杉山卓也氏の著書『タクヤ先生のメンタル不調相談室』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

Q 他人からの評価が気になって仕方がありません。

評価
(画像=PIXTA)

異常なくらい他人の目が気になってしまいます。

電車に乗れば、「今日のファッションは他人から見ておかしくないかな」とか、「汗の匂いで嫌がられているんじゃないかな」とか、次から次へと周りが自分に対して持っているかもしれない何かしらの(ネガティブな)感情を想像してしまい、どっと疲れます。

会社に行ってからもこの状況は延々と続き、「自分の仕事ぶりはどう思われているのだろうか」とか、自分の仕事が終わっても「こんなに早く帰ったら後で陰口を叩かれるのでは」などと考えてしまい、とにかく仕事を終えて家に帰ってくると、信じられないくらいこころも体もクタクタになってしまいます。

ようやく誰かの目から逃れられる、家での一人の時間を手に入れることができても、疲労困憊で何もできないままバタンキュー…そしてまた一日が始まる。

この繰り返しです。

小さい時からこういう傾向にあるのですが、小学生の時の担任の先生から「外に出たら常にあなたは他人に見られていると思いなさい」とお説教を受けた時から、こんな感じになってしまった気がします。

他者が自分のことを常に見ているなどということはないのだろうと、頭では理解しているのですが、どうしてもこのクセが抜けず、苦しい毎日です。

何か良い方法はありませんか?

先生、教えて下さい。

A 大切なのは、自分で自分を評価できるか、です。

他者の目や評価が気になる、こういうお悩みは大変多いものです。

実際、僕自身がこういうタイプだったので、気持ちはよくわかります。

解決方法としては、まず「他者が自分のことを見ている確率はどれくらいなのか」ということを、きちんと数字で知ると良いでしょう。

その上で、大切なのは他者からの評価ではなく、自分で自分を評価できるかということ、と知って下さい。

他者の評価が気になる人は、自分の評価が苦手な人です。

ですから、自分の上手な評価の方法をお教えしたいと思います。

●ちょっと詳しく解説

まず第一に、他者からの評価が気になるということ自体は、「至って正常」なのです。

こうした感情は、「承認欲求」と言われ、マズローの5段階欲求と言われるものの中で、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求に続く、4番目に強い欲求であるとされます。

ただ、こうした感情が強くなりすぎるのは、やはり問題です。

他者からの評価が気になって自分の言動に制限がかかったり、自分自身はこういう人間だ、と勝手なイメージ像を作り上げてしまったりして、他者からの評価に振り回されてしまいます。

そもそも、他者はあなたに驚くほど関心を持っていません。あなたの思っている100分の1くらいしか、他者はあなたに興味が無いことを認識して下さい。

人は基本的に自意識過剰な生き物であり、他者からの評価が絶対であると思いがちです。

でも朗報です!それは完全な間違いなんです。

なぜなら、人の評価というのは非常に不安定なもので、あなたが他者を気にして必死に築き上げてきた評価なんて、簡単に覆ってしまいます。

気にしても仕方のないもの、ということなんですね。

他者からの評価を過剰に気にしてしまう人の特性として、「自分自身に自信が持てない」というものがあります。

これは、自分自身を褒めることができずに育ってしまうことが、大きな原因とされます。

では、どのようにすれば他人の評価を気にしないで済むようになるのでしょうか。

まずは、自分自身の能力を伸ばすことを心がけましょう。

同時に、その過程で、少しでも前に進んだら、それを一つずつ褒めることを忘れずに。

こうやって、毎日少しずつ自分自身を評価していくことを繰り返します。

そして、「他者はあなたのことを全然気にしていない」ということを胸に刻んだ上で、「みんなに好かれようとなんて思わない」ということも、常に意識して下さい。

どんな環境においても、あなたのことを好きでいてくれる人、好き嫌いの感情を持たない人、そしてあなたを嫌う人(生理的理由や波長の違いなど説明できない理由もあります)が一定数存在するのです。

これは、あなたがどのように振る舞おうとも大きくは変わらないということが、様々な心理学的な統計にも表されています。

こうした意識を持って、少しずつ他者からの評価を気にしないためのトレーニングを積んでいくことが大切です。

そして、これらを実践しながら、最後に心がけて欲しい最も大切な考え方をひとつ。

それは「あなたがどう生きたいか」をしっかりと持つ、ということです。

人は個人個人が自分の価値観を持って生きていますよね。

だから、その価値観が合わない人を疎んじたり批判したりしがちです。

でも大切なのは、異なる価値観の他者に否定されることで考え方や生き方を変えるのではなく、あなた自身がどう生きたいのかをしっかりと定め、ブレずに生きることだと思います。

どう生きたいか、どうありたいかということを定めるのは、難しいことではありません。

あなたの人生を楽しく前向きに、充実させるために、何をしていきたいかということを、素直に書き出してみて下さい。それでOKなのです。

そうして生きていれば、次第に他人の評価を気にすることは無くなっていきます。

他人の価値観など気にせず、あなたはあなたの生きたいように生きればいいんですよ。

タクヤ先生のメンタル不調相談室
杉山卓也(すぎやま・たくや)
薬剤師/漢方アドバイザー。神奈川県座間市にある「漢方のスギヤマ薬局」にて「あらゆる人生相談に乗れる漢方薬剤師」をモットーに、メンタル、子宝、子ども、ペットなど、ひとりひとりに寄り添った漢方相談を受けるかたわら、講師として年100回を超えるセミナー・講座を開催。また、漢方専門店「成城漢方たまり」、中医学や薬膳、経済学まで1年間で学べる「tamari 中医学養生学院」の経営や、漢方薬局経営者向けのコンサルティングも積極的に行う。中医学界初のオンラインサロンである「タクヤ先生の中医学オンラインサロン」も爆発的な人気を博している。『不調が消える食べ物事典』(あさ出版)、『漢方でわかる上手な「こころ」の休ませ方』(三笠書房)、『タクヤ先生、漢方でこころを元気にする方法、教えて下さい!』(ワニブックス)など著書多数。神奈川中医薬研究会会長、星薬科大学非常勤講師、合同会社Takuya kanpo consulting代表。

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