日本を代表する総合家電大手のパナソニック株式会社は、SDGsに積極的な企業としても有名です。近年は、世界的に求められているESGの向上にも取り組んでいます。パナソニック株式会社は、ESG投資の運用先として最適なのでしょうか。本記事では、SDGsの活動内容や環境・エネルギー対策、投資指標などをもとに分析します。

パナソニック株式会社はSDGs への取り組みに積極的

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(画像=bilanol/stock.adobe.com)

パナソニック株式会社は、2008年10月に松下電器産業株式会社から社名変更し現在に至ります。パナソニック株式会社は、事業を通してSDGsの目標達成に貢献することを目指しているのが特徴です。SDGsへの取り組みについては、以下の12のコンセプトに分けてSDGsの17ある目標達成に向け活動を行っています。

・まち全体でより良いくらしを提供(サスティナブル・スマートタウン)
・誰もがいきいきと暮らせる社会づくり(ユニバーサルデザイン)
・安全な交通社会づくりへの貢献
・お客様企業の生産性向上
・過酷な環境での野菜・果物の生産を支援
・クリーンなエネルギー社会づくりへの貢献
・循環型社会づくりへの貢献
・人権が尊重される社会づくり
・多様な人材が活躍する社会づくり
・模倣品対策の取り組み
・無電化地域支援の取り組み
・海の多様性を守る取り組み
出典:パナソニック株式会社

パナソニック株式会社のSDGs活動の中でも注目されるのが、神奈川県藤沢市で展開している100年先の未来を見据えた「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」です。約19ヘクタールの広大な土地に1,000世帯の住宅、健康・福祉・教育施設、商業施設、集会所などが立ち並びます。この街では以下の5つのスマートサービスを受けることが可能です。

・エネルギー
・セキュリティ
・モビリティ
・ウェルネス
・コミュニティ

このプロジェクトは、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくり」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献することを目指しています。パナソニック株式会社の技術やソリューションを活かし、パートナー企業や自治体との協働によってエコでスマートな暮らしを実現できる街として今後も注目を集めそうです。

パナソニック株式会社のSDGs支援事業

パナソニック株式会社は、SDGsに関する支援事業を実施しています。2013~2018年にかけては「ソーラーランタン10万台プロジェクト」を実施し、無電化地域に10万台以上のソーラーランタンを寄贈してきました。この取り組みは、SDGsの7番目の目標「すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的エネルギーへのアクセスを確保する」という目標に合わせたプロジェクトになっています。

またパナソニック株式会社が目指す「無電化地域支援の取り組み」の具体的な支援策の一つです。ソーラーランタンは、1台で部屋全体を照らせる100ルクスの明るさがあり、電気が通っていない地域の生活照明や電源として活用されています。さらにパナソニック株式会社では、SDGsに対する助成活動も行っています。

「Panasonic NPO/NGOサポートファンドfor SDGs」を通して、世界的な貧困の解消に向けて取り組んでいるNPO/NGOを「海外助成」「国内助成」の2つのプログラムで支援。これはNPO/NGOが持続して社会変革に取り組めるようにするために行うものです。

パナソニック株式会社の環境・エネルギー対策

パナソニック株式会社は、創業以来、健全な社会発展に貢献することを経営理念とし、1970年代より公害対策に取り組んでいます。1991年6月5日には環境宣言を発信し、地球環境問題に取り組む姿勢を社会に示しました。2010年には「グリーンプラン2018」を策定しCO2削減や資源循環、水、化学物質、生物多様性という5つの環境課題に取り組んでいます。

また2017年に「環境ビジョン2050」を策定しました。このビジョンでは、省・創・蓄エネルギーマネジメントに関する商品、技術、ソリューションの開発を通じてパナソニックグループが使うエネルギーの削減と、それを超えるクリーンなエネルギーの創出・活用を進めていくとしています。このビジョンに基づいてパナソニック株式会社は、政府が推進している「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」に必要なエコ商品の多くを販売しています。省・創・蓄エネルギーの目的別商品ラインアップは、以下の通りです。

・省エネ商品
家庭向けエアコン、オフィス・店舗用エアコン、エコキュート、吸収式冷凍機、欧州向け温水暖房システム、家庭用冷蔵庫、後付け用宅配ボックス、LED投光器、耐震住宅工法テクノストラクチャー専用断熱パネル、真空断熱ガラス、エネルギーマネジメントソリューション、AiSEG2「HOME IoT」の中核機器

・創エネ商品
太陽電池モジュール、ソーラーウインド街路灯、家庭用燃料電池

・蓄エネ商品
車載用リチウムイオン電池、創蓄連携システム、パワーコンディショナー

ゼロエネルギーハウス(ZEH)を建築する際は、何らかのパナソニック製品が組み込まれる可能性は高いといえるでしょう。

パナソニック株式会社のESGに対する社外評価は?

パナソニック株式会社のESGに対する社外評価は、どの程度になっているのでしょうか。ESG投資の格付け機関MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が発表した「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」(2020年12月現在)においてパナソニック株式会社は、2番目に高い格付けであるAA(ダブルエー)に評価されています。

セレクト・リーダーズの指数ウェイトは、1.0108で25位です。ESG投資では、ウェイトが高い銘柄となっています。同じく世界的な格付け機関であるFTSE(フッツィー)インターナショナルが選定している「FTSE4Good Index Series」の構成銘柄にもパナソニック株式会社が採用されており、この指数で同社が採用されるのは開始以来20年連続です。

また「CDP気候変動レポート2019」の中では、CO2排出量の削減や中長期目標の設定などの気候変動対策への取り組みや情報開示が評価され、8段階中最高評価の「A(リーダーシップ)」の評価を得ています。ランキング形式では、2019年に日経BP環境経営フォーラムが実施した「環境ブランド調査」で第5位にランクインするなど省・創・蓄エネルギーの推進や地球温暖化防止、環境コミュニケーションなどで高く評価されています。

(ここまで、出典:パナソニック公式サイト)

パナソニック株式会社の投資指標

最後にパナソニック株式会社の投資指標を確認しておきましょう。パナソニック株式会社の株価は、コロナショックで株式市場が急落した2020年3月23日に691.7円(場中)の安値を付けました。その後株式市場の回復と歩調を合わせるように上昇し、2021年1月15日終値で1,285.5円と高値圏で推移しています。2021年1月15日現在のパナソニック株式会社の投資指標は、以下の通りです。

【パナソニック株式会社投資指標】(会社四季報、2021年3月期予想)
・1株利益:42.9円
・PER:30.0倍
・1株純資産:923.3円(2020年9月時点実績)
・PBR:1.39倍
・1株予想配当金:20~30円
・予想配当利回り:1.56~2.33%(2021年1月15日終値で算出)

2021年3月期予想から算出した投資指標は、PER30.0倍、PBR1.39倍とやや割高な水準です。ただ2020年9月中間決算における経常利益の進捗率が62.1%とコロナ禍にあっても好調なことから、通期決算では上振れが期待できます。30円配当を維持した場合の配当利回りは2.33%とまずまずの水準です。このようにパナソニック株式会社は、ESG投資の格付けがAAと評価が高く株式の投資指標も悪い数字ではありません。

SDGsやESGに対する取り組みは時代の要請でもあり、その意味ではパナソニック株式会社はESG投資に適した企業といえそうです。日本でも単に業績だけでなく、パナソニック株式会社のようにSDGs先進企業としての活動が評価されるようになることが望まれます。

※本記事はパナソニック株式会社のSDGsやESGに対する取り組みを紹介したものであり当該銘柄への投資を推奨するものではありません。(提供:Renergy Online


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