特集『withコロナ時代の経営戦略』では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中での、業界の現在と展望、どんな戦略でこの難局を乗り越えていくのかを、各社のトップに聞く。

エレビスタ株式会社は2012年に設立され、当初はメディア事業と広告事業を中心に展開していた。しかし、SDGsのエネルギー関連に強い関心を抱き、翌2013年に太陽光発電分野に新規参入。太陽光発電所の購入から販売、事後サポートまでワンストップで対応する太陽光投資支援サービス「SOLSEL(ソルセル)」を立ちあげ、それから8年、月間20,000人が利用する主力事業へと成長させた。

(取材・執筆・構成=安田勇斗)

2021年withコロナ時代の経営戦略,エレビスタ株式会社
(画像=エレビスタ株式会社)
石野 拓弥(いしの・たくや)
エレビスタ株式会社代表取締役
1987年東京都生まれ。千葉大学卒。
2008年と2011年に会社を立ちあげ、2012年に3度目の起業となる、エレビスタ株式会社を設立。最初の起業からメディア事業、広告事業を中心に展開し、エレビスタでは新たに太陽光発電業界に参入。

太陽光発電所の仕入れから販売までワンストップ対応

――エレビスタ株式会社はメディア事業、広告事業、太陽光発電事業とさまざまな事業を展開しています。

はい。エレビスタ設立前の2008年に学生起業し、その当時から今と同様にWebマーケティングを強みとしてメディア事業と広告事業を展開していました。その会社を売却し、また違う会社を立ちあげて売却して、2012年にエレビスタを設立しました。エレビスタではメディアと広告に加えて、2013年に太陽光投資サービスの「SOLSEL(ソルセル)」をスタートさせました。会社設立からこれまで本当に紆余曲折ありましたが、それでも順調に、毎年、約20%の売上増を続けています。

――「SOLSEL」を始めたきっかけは?

SDGsですね。2015年に国連に採択される前、まだそれほど話題になっていないときに知り、特にエネルギー関連については調べるにつれて、今後100年のトレンドになると確信するようになりました。大きな流れが来るなと。こういう潮目が変わるタイミングにはなかなか立ち会えないですし、ワクワクした気持ちでエネルギーの1つである太陽光発電の事業を始めました。ちょうど2012年に、固定価格買取制度の内容が変更されたこともあり(太陽光発電以外の電力も対象になったほか、買取価格を全国一律にするなど)、その翌年に「SOLSEL」をローンチしました。

――SDGsでは数多くの目標を立てていますが、その中で再生可能エネルギーに着目した理由は?

SDGsの中でエネルギー分野は重要視されており、再生可能エネルギーも大きな注目を集めています。日本でも温暖化ガスを減少させるカーボンゼロに向けた取り組みが行われ、再生可能エネルギーの重要性が高まっているんですが、その再エネ全体の6から7割を占めているのが太陽光発電なんです。世界でも同じぐらいの割合を占めており、世界的なトレンドになっていることから特に興味を持つようになりました。

――「SOLSEL」の強みはどんなところですか?

「SOLSEL」限定の話ではないですが、まず太陽光発電投資は、国が20年間一定価格で買い取ることを約束し、年利は約10%で、フルローンもできるので、大きく外すことがない、負けない投資と考えています。

その中で「SOLSEL」は、明確なデータはないのですが、中古の太陽光物件を扱う企業で、日本ナンバーワンの売上を記録していると思います。また、太陽光発電は今後、中古が伸びて、新品はシュリンクしていくと見られています。その傾向が顕著になれば、中古に強い「SOLSEL」を利用していただく方が増えると思います。

また、他社との比較として、ビジネスモデルの違いがあります。太陽光発電では、買い手と売り手をマッチングさせるプラットフォームビジネスが主流ですが、自分たちは仲介役として、物件の仕入れから販売まですべてやります。お客様に税務サポートや、電力アップのためのコンサルティングも行うなど、ワンストップでサービスを提供しているので安心してご購入いただけると思います。

SOLSEL
スマホで手軽にできる「SOLSEL」 (画像=エレビスタ株式会社)

日本全体の太陽光電力量のアップに貢献したい

――固定価格買取制度の価格変動や一部10年満期を迎えたことによる影響などはあるのでしょうか?

投資の利回り自体は変わりません。買取価格が下がっても、同じ比率で民間企業が設置コストなどを抑えており、利益分が変動していないからです。おそらく今後も買取価格が低下していく状況、利回りを守っていく状況は変わらないと思いますが、それは民間企業ががんばっているおかげですね。

――新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって太陽光発電事業に弊害などはあるのでしょうか?

特にないですね。どの業界もそうだと思いますけど、自分たちもリモートワークに移行したり、工事現場へ足を運びにくくなったり、多少の変化はありました。しかし、業界全体で見ても大きな影響は受けなかったと思います。もっとも、エレビスタ全体では、メディア事業や広告事業でクライアントさんの予算縮少によって売上が下がるなど少なくない影響がありました。

――今後は「SOLSEL」をどう発展させていきたいですか?

エレビスタのミッションとして、より本質になっていくという意味で「もっと、もっともに」という言葉を使っています。では自分たちの仕事における本質は何か、と考えたとき、出てきた答えは「地球を100年後も住める環境にする」ということでした。

地球温暖化防止、CO2削減などさまざまな問題がありますが、自分たちができるのは、太陽光発電所をたくさん買っていただいて、地球に優しい太陽光発電の比率を高めていくことだと思っています。

これまで太陽光発電所の売買をメインとしていましたが、昨年から、より普及させていくために小口投資も可能なクラウドファンディングを実施しています。たくさんの人にふれる機会を増やして、今後も太陽光発電を広めていければと思います。

また、太陽光発電所の一元管理ツールを開発していまして、そのツールによって発電所のビッグデータが集められるようになります。これをAIで解析して個々の発電所の電力量アップにつなげるだけでなく、将来的には自治体や民間企業などと連携して日本全体の太陽光電力量のアップに貢献できればと思っています。