本記事は、小島拓氏の著書『「タワマン」ブランドの崩壊: 価格暴落とゴーストタウン化が始まる!』(小学館)の中から一部を抜粋・編集しています

【業界の闇】マンション投資と金融機関のやばい関係

マンション投資
(画像=PIXTA)

コラムでは私が長らく身を置いていた、不動産業界・投資用区分マンション業界の闇についてをテーマに執筆したいと思います。タワーマンションとは少し違った話題になりますので、興味のある方だけ読み進めてください。

まずは、マンション投資の話をしましょう。

マンション投資は、ワンルーム投資とも呼ばれており、不動産投資のなかでは非常にメジャーな手法です。

一棟マンションの一室を区分所有マンションと言いますが(なお、マイホーム用では、分譲マンションという呼び方をします)、このマンションの一室を貸し出して、家賃を得ることを目的にローンを組んで購入します。

マイホームとして購入する分譲マンションと同様に、ローンのほかに管理費や修繕積立金、固定資産税などのコストがかかります。家賃からそれらを差し引いた残りをキャッシュフローと言い、毎月のキャッシュフロー=インカムゲイン(運用益)を得る……という投資です。

「マンション=住んで使うもの」というイメージがありますが、「マンション投資」における「マンション」は、あくまで投資対象であり、いってみれば、「株」や「債券」や「(FX投資の対象となる)外国通貨」のようなものとして捉えるのです。そして、マンション投資は、配当や利息に相当する「キャッシュフロー=インカムゲイン(運用益)」を得て投資を回収する、というゲームを意味します。

本来、マンション投資は「株」や「債券」のように配当や利息を当て込んで投資を回収する方針で行うのがメインの筋書きですが、他方で、配当や利息でのんびり回収するのではなく、猛烈な勢いで値上がりした瞬間を捉えて、高値で売り払うことで、一挙に投資回収をする方針もありえます。このような方針でマンションを購入時より高く売却することでキャピタルゲイン(売却益)が得られます。

ところで、株式に現物投資のほか信用売買があるように、FXにレバレッジ投資がありますが、これは、いわば、「少ない手持ち現金しかないが、足りない元手は借金(信用や信用倍率で投資額を膨張させますが、実態は借金となんら変わりありません)で投資をする」という冒険的な方法です。

そして、マンション投資も、「全額手持ち現金で買って、インカムゲインを得たり、キャピタルゲインを得たりする」という堅実で地道な手法以外に、「少ない手持ち現金で(場合によっては手持ち現金もなしで)、あとは借金で投資をする」という冒険的方法が存在します。

後者の「(信用ないし借金による投資額を膨張させた)マンション投資」において、欠かせないものは融資です。

手持ちの現金がなくても、融資を受ければ数千万円の区分マンションを購入できます。これをレバレッジ手法(借金による投資額の膨張、あるいは信用膨張手法)と言います。

このレバレッジ手法のいいところは、手持ち資金が少ない方でも、投資に参加できる、という点です。「投資家の裾野が広がり、市場が活況化し、お金を貸す金融機関も仕事が増え、投資家も、不動産業者も、金融機関も、全員ハッピーになる」ということで、広がってきました。

そのためマンション業界では、多くの業者が金融機関と提携してビジネスを展開しています。これは昔も今も変わりありません。提携先としては、ノンバンクや一部の銀行が挙げられます。金融機関にもよりますが、ある一定の審査基準さえクリアすれば、簡単に融資を受けることができ、金利優遇されるケースもあります。

この結びつきは大変強いもので、例えば投資用マンションの融資を受けようと購入者が直接銀行に行って申し込みをしても、提携ローン条件で融資を組むことができません。逆に不動産業者を通せば、本来であれば多額の借金などできない人でも融資を組むことができます。

このように優遇されている提携ローンですが、取り扱う不動産業者として、金融機関の手前絶対避けるべき事態があります。それは顧客のデフォルト(破産)です。

万が一、何らかの事情でローン返済が難しくなった際には、業者が残債の金額で買い取るか、もしくは残債以上の金額での売却の手助けを行います。そうやって火消しするような暗黙の了解があるのです。

とあるノンバンクでは、マンション投資用のローンで総額5000億円の貸し付けをしているそうですが、デフォルトは一度も起こしていないと言います。これは前述したように、債務者が破産しそうになった段階で業者とともに火消しに走るからです。正確に言うと、債務者に対しては残債をゼロにして、業者は自己資金を入れたりお客さんの付け替えをしたりするので、「損切り」していることになります。

しかし売却時にかなりの利益を上乗せしているので、損切りをしても自社の経営を揺るがすようなダメージはありません。むしろそうしたリスクも考慮したうえで、上乗せする利益が算出されています。

要するに、「投資家の裾野が広がり、市場が活況化し、お金を貸す金融機関も仕事が増え、投資家も、不動産業者も、金融機関も、全員ハッピーになる」という前述の構図は、必ずしも実態を反映させたものではなく、「儲けることしか考えずに舞い上がっていて、正しくマンションの投資価値を見極めることのできない情報弱者のマンション投資家を食いものにして、不動産業者と金融機関が、劣悪なボロ不動産を高く売りつけて借金を負わせ、ボロ儲けする」という実態が浮かび上がってくるのです。

「タワマン」ブランドの崩壊: 価格暴落とゴーストタウン化が始まる!
小島拓(こじま・たく)
1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。悪意ある業者や無知な個人投資家によって不動産投資が不正のオンパレードになり業界全体のイメージが悪化していることに問題意識を感じ、著書やウェブによって舌鋒鋭い情報発信を行っている。著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』『融資地獄』(いずれも幻冬舎)。近年はタワーマンションオーナーの多くが物件購入後に後悔している現状を憂い、豊富な物件取引実績に基づいた知見から、購入していい物件の見分け方や賃貸経営のコツ、今後の市場推測を踏まえた売り抜けのノウハウを指南している。
著者への問い合わせ先 kojimansion@gmail.com

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