本記事は、太田久也氏の著書『事業承継の羅針盤 あの優良企業はなぜ対策を誤ったのか?』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。

分かれ道,ターニングポイント
(画像=PIXTA)

ロッテグループの行く末

売上高8兆円を超す巨大企業グループを一代で築き上げたロッテの創業者が2020年1月にお亡くなりになられた。

過去には創業者の長男と次男の間で、後継争いをめぐって対立し、兄が取締役会で解任されたり、弟が贈賄により逮捕されて混乱をきたしたが、その後、弟が日韓ロッテグループの経営を掌握し、現在に至っている。

ロッテホールディングスの筆頭株主は、31.49%を所有する創業家の資産管理会社(長男が支配)であり、長男個人で所有する1.82%と合わせると33.31%となるが、ギリギリ1/3超(33.4%)に届かない。

亡くなられた創業者は0.5%とわずかではあるが、遺言書はないため、遺産分割協議により、相続人全員による話し合いの元、株の引き継ぎも含めて相続財産の引き継ぎが決定されることになるが、仮に0.5%の株が長男と次男で均等に引き継がれれば、兄の所有比率が33.31%+0.25%=33.56%と33.4%を超えるため、会社の重要事項である特別決議事項(六六・七%の賛成が必要)を拒否する権利を兄が持つことになる。

そうなれば、今後、日韓両国での上場戦略、組織再編、M&A等の重要戦略を決定していくにあたって、もし兄が反対すれば、何一つ進まなくなってしまい、日韓ロッテグループの運営に多大な支障を生じる恐れがある。

資本政策の成否は会社の盛衰に直結する。

いい会社にもかかわらず、資本政策の間違いで、会社を停滞させ、最悪、会社を失ってしまうことからも、家族を愛し、会社の繁栄を願うなら、ぜひお元気なうちに自社の事業承継対策に取り組んでいただきたい。

【サポート解説】後継者には2/3以上を引き継ぐ

会社を運営していくにあたって、2/3以上(六六・七%)の確保がいかに大事か、ということがおわかりいただける事例です。

通常の会社運営(株主総会の普通決議事項)については、1/2超(50.1%)を確保していれば大丈夫ですが、会社の重要事項(株主総会の特別決議事項)については、2/3以上(66.7%)の承認が必要になりますので、未上場オーナー企業であれば、2/3以上(66.7%)の確保は必須であり、事業承継対策においては、後継者が単独で2/3以上(66.7%)を引き継げるように対策を行うことが重要です。

事業承継の羅針盤
(画像=事業承継の羅針盤)
事業承継の羅針盤
太田久也(おおた ひさや)
株式会社日本伝承 代表取締役 事業承継・資本政策・自社株対策の専門家。 事業承継コンサルタントとして、全国の優良未上場会社の事業承継対策の立案、実行、メンテナンスを実施。 幅広い法律知識と高い技術力の背景には、自身が資格者である経歴を持ち、専門家ごとの強み、特徴を把握し、独自の専門家ネットワークを構築。 オーナー経営者一人ひとりの問題を総合的に解決するコンサルティングに定評。

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