iDeCoは1人1口座しか作れない上に、金融機関によってサービスに違いがあるので、口座を開設する際は慎重に選びたいところ。

最近では手数料の安さや商品の豊富さでネット証券が人気ですが、今回はその中でSBI証券と楽天証券を比較してみます。

結論!「品揃え重視」の人はSBI証券、「サポート重視」の人は楽天証券がおすすめ

ideco,楽天,sbi
(画像=PIXTA)

人気のSBI証券と楽天証券、基本サービスの充実度はほぼ互角です。そのため、どちらで口座を開設したらいいのか悩んでしまう人も多いようです。

そこで、両社の「違い」に着目して、自分にはどちらが向いているのかをチェックしてみましょう。

✔︎こんな人は「SBI証券 」がおすすめ
・資産運用の知識が豊富で自分で商品を選ぶことができる
・できるだけ選択肢は多いほうがいい

✔︎こんな人は「楽天証券 」がおすすめ
・資産運用の知識に不安があり、これから勉強したい
・土日もコールセンターの対応があると嬉しい
・商品の豊富さよりもサービスの充実を求めたい

細かいところでは、取り扱っている投資信託にもやや違いはあるものの、わかりやすい“判断ポイント”は「品揃えの豊富さ」「コールセンターやウェブセミナーの充実度」という点ではないかと考えます。

そこで一つの結論!「品揃え重視の人にはSBI証券」・「サポート重視の人には楽天証券」をおすすめしたいと思います。

※あくまで2社を比較してのポイントであって、一般的な証券会社に比べると楽天証券も充分に品揃えは多く、SBI証券のサポートも充実しています。

ではなぜこのようにおすすめするのか、それぞれの特徴やメリットを詳しく見ていきましょう。

SBI証券と楽天証券を4つのポイントで比較!

本記事では、SBI証券と楽天証券を次の4つのポイントで比較していきます。

1.取扱商品数
2.信託報酬(手数料)
3.サポート
4.サービスと利便性

この4つはいずれも、iDeCo口座をどこで開設するのかを決めるのに重要なポイントです。それぞれ確認していきましょう。

比較ポイント1:「取り扱い商品数」

iDeCoの取り扱い商品数では、SBI証券の方がやや充実しているといえます。特に外国株式投資信託が豊富なため、選択肢を多く持ちたいという方にはSBI証券がよりおすすめでしょう。

どのくらい違いがあるのか、詳しく見ていきます。

商品の種類を比べてみると

SBI証券と楽天証券のiDeCoの商品の種類と本数は、以下のとおりです。

表. SBI証券と楽天証券の取り扱い商品の種類と本数

投資信託のカテゴリー SBI証券 楽天証券
日本株式 インデックス 2本 2本
アクティブ 4本 4本
先進国・世界株式 インデックス 8本 3本
アクティブ 4本 3本
新興国株式 インデックス 1本 1本
アクティブ 1本 0本
日本債券 1本 2本
先進国・世界債券 3本 2本
新興国債券 1本 2本
REIT 2本 3本
バランス型・その他 9本 9本
※2021年2月12日現在

外国株式投資信託が豊富なのはSBI証券

取り扱っているiDeCoの投資信託の数は、SBI証券の36本に対し、楽天証券は31本となっています。楽天証券の投資信託のラインナップも豊富ですが、2社を比べるとSBI証券の方が選択肢が広いといえるでしょう。

【投資信託数】
・SBI証券……36本
・楽天証券……31本

内訳を見てみると、最も大きな違いは先進国・世界株式の投資信託の数で、特にSBI証券では外国株式投資信託の中でもインデックスファンドの選択肢が多いことがわかります。

比較ポイント2:「信託報酬(手数料)」

続いて、SBI証券と楽天証券の信託報酬(手数料)の違いを見てみましょう。

信託報酬は、わずかな差でも大きな違いに

両社の違いを比較する前に、信託報酬をしっかりチェックすることがいかに大切かを解説します。

信託報酬とは投資信託を管理・運用してもらうための手数料で、投資信託を保有している間は定期的に支払う必要があります。

手数料と言っても年間1,000円などと決まっているわけではなく、投資信託ごとに「総資産額の何%」という形で決まっていて、多くの投資信託では0.2%から2%程度です。0.5%未満であれば、安い部類と考えていいでしょう。

一般的に信託報酬は、TOPIXなどの株価指標と同じ動きを目指すインデックスファンドのほうが、株価指標を上回るパフォーマンスをファンドマネージャーがいろいろと考えるアクティブファンドより安いです。

同じ100万円を投資するにしても、信託報酬が0.2%と2%だと年間の手数料はそれぞれ2,000円と2万円で、かなりの差になります。

特に、iDeCoの目的は老後資金の準備のため、運用期間は長く、年々投資資産も大きな額になってきます。信託報酬の1%の違いが数万円〜数十万円の違いになることもあるので、しっかりと確認しておくことが大切です。

投資地域ごとのインデックスファンド手数料を比較

ではSBI証券と楽天証券で、投資地域別のインデックスファンドの手数料を比較してみましょう。

【国内株式(TOPIX連動)】

SBI証券 eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) 信託報酬 0.154%以内
楽天証券 三井住友・DCつみたてNISA・
日本株インデックスファンド
信託報酬 0.176%

【海外株式】
<北米>

SBI証券 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 信託報酬 0.0968%以内
iFree NYダウ・インデックス 信託報酬 0.2475%
楽天証券 楽天・全米株式インデックスファンド
(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
信託報酬 0.162%程度

<新興国>

SBI証券 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 信託報酬 0.187%以内
楽天証券 インデックスファンド海外新興国
(エマージング)株式
信託報酬 0.374%

<全世界>

SBI証券 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 信託報酬 0.1023%以内
ニッセイ外国株式インデックスファンド 信託報酬 0.1023%以内
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) 信託報酬 0.1144%以内
SBI・全世界株式インデックスファンド
(愛称:雪だるま(全世界株式))
信託報酬 0.1102%程度
楽天証券 たわらノーロード先進国株式 信託報酬 0.10989%
楽天・全世界株式インデックスファンド
(楽天・バンガード・ファンド
(全世界株式))
信託報酬 0.212%
※上記はSBI証券と楽天証券のそれぞれの地域ごとの代表的なインデックスファンドをピックアップしています。

SBI証券で取り扱いのある「eMAXIS Slimシリーズ」は、「業界最低水準の運用コストを、将来にわたってめざし続けるファンド」をコンセプトにしています。実際にあらゆる地域を対象とした投資信託の信託報酬が安いため、非常に人気があります。

例えば日本の株式指標である「TOPIX」に連動したインデックスファンド「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は、数年前であれば楽天証券が提供する「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」と同水準でした。しかしその後信託報酬がさらに下がっています。

このように、「eMAXIS Slimシリーズ」は現在の信託報酬が安いだけでなく、今後競合商品の登場に併せてさらに信託報酬が下がることも期待できます。

対して、楽天証券のインデックスファンドの特徴としては、「楽天・バンガード・ファンドシリーズ」の取り扱いがあります。このシリーズは楽天証券でしか購入することができない投資信託。信託報酬も同対象地域の一般的なファンドと比べると低い水準ですが、「eMAXIS Slimシリーズ」と比べると割高になっています。

信託報酬の面から言えば、やはりSBI証券のラインナップの方がコスト面で有利と言えるでしょう。

対象地域ごとにインデックスファンドをご紹介しましたが、その中でもSBI証券が取り扱っている「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」と「SBI・全世界株式インデックスファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))」は、信託報酬が0.1%台で世界中に分散投資ができます。いろいろと自分で分散投資を考えるのが面倒という人に特におすめです。

【iDeCoの商品を選ぶ際は、「投資対象」も重要】
投資信託はいろいろな株式や債券に分散して投資しているのですが、適当に選んでいるわけではなく、「特定の地域」や「特定の業種」というように、ある程度の基準があります。

リスクを分散するためには、同じような投資信託だけでなく、投資対象が異なる投資信託を組み合わせることが大切です。

初心者はまず「対象が国内か海外か」を確認し、海外の場合は「先進国か、新興国か、それとももっと広範囲か」を見るようにしてください。その上で、対象地域が異なる投資信託にバランス良く投資するようにしましょう。

比較ポイント3:「サポート」

老後まで使うiDeCoでは、問い合わせへの対応などサポートも大切です。SBI証券と楽天証券にはどのような違いがあるのでしょうか。

両社ともコールセンターあり 楽天証券は土日も対応

iDeCoの目的は老後資金の準備なので、口座を開設した金融機関とは長い付き合いになります。よって、手数料や商品数以外にもサービスや各種サポート内容も確認しておきましょう。

ネット証券には実店舗がないため、運用や手続きに関してわからなくなった時のことを考えると不安かもしれませんが、SBI証券にも楽天証券にもiDeCo専用のコールセンターがあります。対応時間は、以下のとおりです。

・SBI証券 平日・土曜日(年末年始を除く)の8時から18時
・楽天証券 平日(祝日を除く)の10時から19時、土曜日・日曜日の9時から17時

実際に人と話して相談できるので安心ですね。

ただし、SBI証券では土曜日は新規加入に関する問い合わせのみの対応となっているので、週末に運用商品や各種変更に関する質問ができないことに注意が必要です。

楽天証券ではLINEで問い合わせもできる

楽天証券ではAIチャットをLINEで提供し、iDeCoに関する一般的な問い合わせや節税メリットシミュレーションなどに24時間対応しています。

今や家族や友人とのコミュニケーションツールとしてすっかり定着したLINEで問い合わせができるので、電話が苦手な人でも自分のペースでサポートを受けられますし、質問したくなった時にいつでも対応してもらえるのも安心です。

LINEでのサポートは、楽天証券のユニークな特徴と言えるでしょう。

比較ポイント4:「サービスと利便性」

今回はiDeCo口座を開設する金融機関としてSBI証券と楽天証券を紹介していますが、iDeCo以外の観点で「使いやすさ」を比較してみましょう。

管理画面の使いやすさ

まず、管理画面の使いやすさですが、楽天証券はバナーやアイコンで直感的に操作できるように工夫されているのに対し、SBI証券はテキストやグラフなどをメインにシンプルにまとめられています。

どちらもスマホ用に最適化された、使いやすい管理画面を用意しています。

運用商品選びに関するサポート

iDeCoは自分で運用を行うので、商品選びはとても大切です。この運用商品を選ぶためのサポートでも、SBI証券と楽天証券では特徴が異なります。

まず、SBI証券の特徴は、「SBI-iDeCoロボ」というサービスで利用者の運用選びをサポートする点です。この「SBI-iDeCoロボ」とは、利用者が投資経験や年齢、資産運用のこだわりを伝えることで、SBI証券が提供するiDeCoの商品の中から、ニーズにあった商品を提案してくれます。

一方、楽天証券ではiDeCo口座を開設すると「個人型確定拠出年金(iDeCo)のスタートガイド」がもらえます。これは制度の基礎や、商品の選び方、そして楽天証券が提供する全31本の投資信託と定期預金の特徴などがまとめられています。

また、楽天証券ではiDeCoに関する疑問や不安を解消するためのウェブセミナーも随時開催されており、iDeCoや投資の情報に関して有益なサポートを受けることができます。

とりあえずおすすめの商品を知りたい人はSBI証券の「SBI-iDeCoロボ」を、投資についての知識を身につけ自分で納得して商品を選びたいという人は楽天証券のガイドやセミナーなどが向いているでしょう。
松岡紀史ライツワードFP事務所代表

長い付き合いになるiDeCo口座はネット証券も視野に入れよう

iDeCo口座を開設する金融機関として人気のネット証券の中で、今回はSBI証券と楽天証券を比較してみました。

どちらも手数料が最安値で取り扱い商品数も多いためおすすめですが、SBI証券は外国株式投資信託に力を入れており、楽天証券は土日もサポートがあったりLINEで問い合わせできたりと、それぞれ特徴があります。

長い付き合いになるiDeCo口座、自分にとってぴったりの金融機関を選んでください。

執筆・松岡紀史
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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