本記事は、サイボウズチームワーク総研の著書『サイボウズ流 テレワークの教科書』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています

テレワークでマネジメントは変わるのか?

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(画像=PIXTA)

より良い風土をつくる上での鍵として、コミュニケーションの「場づくり」の他に「チームづくり」があります。

チームづくりとは、つまり、チームマネジメントのことであると言えます。本章では、テレワークでいかにマネジメントをしていくかをお伝えしていきます。

テレワークにおけるマネジメントは、オフィスワークでやってきた手法から全く変わってしまうのでしょうか?

テレワークでもオフィスワークでも、マネージャーがやることは基本的には同じだと思っています。たとえ働く場所や使うツールが変わっても、業務の内容が変わるわけではないため、マネージャーの役割も変わりません。

営業職なら、商談の場がテレビ会議に移行したとしても、顧客と直接話すということは変わりません。企画職でも、これまでのように会議室に集まってホワイトボードを使うようなことは減るかもしれませんが、チームでブレストをしたり企画を詰めたりする過程はオンラインでも同様です。その中で、マネージャーもいつも通りの仕事をすれば、問題はないはずです。

しかし、テレワークでは、オフィスで働くときとは違う不安を抱えるマネージャーも少なくないようです。

チームのメンバーが離れた場所にいると、それぞれが仕事をしている様子が見えません。相手の状況が見えないため、ちょっとした一言をかけたり、相談したりしにくくなってしまいます。今までとは勝手が違うために、適切にマネジメントができるのだろうかと、漠然と不安になってくるのです。

不安を解消するために、管理ツールを導入して普段より管理を厳しくしようと考える人もいます。しかし、管理の仕事が増えれば、マネージャーの負担は大きくなる一方でしょう。

テレワークでは、ITツールを使い、オフィスワークとほとんど同じ業務ができます。コミュニケーションもオンラインで十分に補えます。つまり、目的は同じでも、手段が違うということです。

マネジメントに限っても同様です。テレワークによって働く環境が変わっても、マネージャーが担う役割は本質的に変わることはありません。

●言葉で伝える力が求められる

マネージャーが担う役割の1つとして、チームメンバーに目標や方針を伝え、それぞれの行動や議論を促す場をつくり、最終的な意思決定をする、ということがあると思います。

この仕事は、コミュニケーションの方法が変わることで大きく影響を受けます。テレワークでは、対面での会話がなくなり、チャットやテレビ会議でコミュニケーションを取ることになります。そのためオフィスワークのとき以上に、マネージャーには「言葉(文字)で伝える能力」が求められるようになるのです。

オフィスワークでは、あまり多くを語らなくても、雰囲気からマネージャーの情熱が伝わり、メンバーがついてきてくれることがあるかもしれません。会議や飲み会で顔を合わせたときの空気感で、チームを引っ張っていく人もいるでしょう。

しかし、テレワークでは直接顔を合わせないため、空気感をつくるような方法ではチームをまとめることが難しくなります。オンラインのコミュニケーションでは、雰囲気の誤魔化しが効かず、言葉の比重が大きくなるのです。

対面の会議では数人の声が重なったり、聞き漏らしたりすることがあります。しかし、チャットのやり取りではこれがありません。誰かがメッセージを書けば、他の人はしっかり読んで理解します。後からじっくり読み返すことさえあります。

テレビ会議でも、対面会議のように会話が入り乱れることは稀です。発言中の1人の話を集中して聞くことが増えます。

つまり、オンラインではひとつひとつ言葉が明確に伝わるようになるのです。テレワークでは、マネージャーはこれまで雰囲気で伝えてきたことでも、言葉にして語る必要が出てくるでしょう。

オンラインのやり取りでは空気感の共有が難しくなるため、マネージャーもチームメンバーの反応を掴むのが難しくなります。

新しいプロジェクトについて話し合いをする際に、対面での会議なら、メンバーの表情から賛同や反対の雰囲気を感じ取れると思います。しかし、テレビ会議になると、画面上で表情が読み取りにくく、このままプロジェクトを進めても大丈夫なのか迷ってしまうかもしれません。メンバーから言葉で意見を示してもらわなければ、円滑に意思統一を図ることも難しくなるでしょう。

そのため、マネージャー自身が明確に話すことに加えて、チームメンバーにも、いつも以上に言葉で伝える意識を持つように促す必要があります。

言葉で伝える意識を持てば、テレビ会議ではオフィスでの会議以上に、フラットな議論ができるようになります。

オフィスの会議室では、役職の順に座ることが習慣になっていると、座席順によって力関係が目に見えやすくなります。そのため、部下の立場のメンバーが「上の人が言っているから」となんとなく話に賛同してしまって、議論ではなく力関係で物事が決まってしまいがちです。

一方、テレビ会議では座席順がありません。画面上では参加者の顔が並んで映るため、上下関係を感じづらくなります。そのおかげで、会議の中でフラットに意見を出し合えるようになるのです。

テレワークでは、ジェスチャーや表情よりも、言葉によるコミュニケーションが中心になります。マネージャーが伝えるべきことを伝え、チームで建設的に話し合うためにも、明確な言葉を使うことが一層重要になります。

サイボウズ流 テレワークの教科書
サイボウズチームワーク総研
「チームワークあふれる『社会』を創る」を企業理念に掲げてきたサイボウズが、これまでに挑戦してきた制度・風土改革をはじめとするさまざまな取り組みに基づいた、メソッド開発・研修事業を行っています。研修セミナー、講演者派遣、コンサルティングサービスを通じて、事例を学び実践する場を提供することで、企業・組織の課題解決をお手伝いしています。

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