本記事は、サイボウズチームワーク総研の著書『サイボウズ流 テレワークの教科書』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています

チャットで何でも話せる「分報」

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(画像=PIXTA)

サイボウズでは「分報」と呼んでいる、チャットで行う雑談の手法があります。これは日報の「分」版、つまりは分刻みの報告のことです。報告といっても、分報のスペースは必ずしも業務上の用件を伝える場ではなく、取りとめもない会話を気楽に交わすための場です。

オフィスでは、隣の席の人と「疲れたね」など、何気ない会話を交わすこともあると思います。テレワークでは、一緒に働くチームメンバーが離れた場所にいるため、このような会話をすることが難しくなります。

分報のやり取りは、職場での日常会話をオンラインで行う感覚です。あるいは、上司、部下も関係なくざっくばらんに語り合う、いわゆる「タバコ部屋」の雑談に近いかもしれません。

分報では、特にテーマがあるわけでもなく、各々が好きなことを書いています。

業務に関係する話や休憩の報告などもあれば、「今日は調子が良い!」「仕事がはかどらない」「お腹空いた」など、会話というよりも、ひとり言や呟きのような内容も多いです。必ずしも返信を期待する内容ではなくても、誰かが見ていて会話に発展することもあります。

●孤独感を解消する

分報の気軽なやり取りによって感情を共有することは、チームワークに大きな影響を与えます。

テレワークでは、チームのメンバーが一カ所に集まらずに、ひとりで仕事をすることが増えます。そうすると、業務で困ったことがあったり、気分が落ち込んだりしていても、ひとりで抱え込んでしまいがちです。

分報があれば、どんなことでも気軽に話しやすくなります。困っていることやそのときの気持ちを書けば、それだけでも気分が楽になります。さらに、誰かが解決策を教えてくれるかもしれません。感情を共有することでストレスを溜め込まずに済み、チームメンバー同士の相互理解も深まります。

さらに、働いているときの気持ちや状況を分報に書くことで、自分がチームの一員であるという意識が持てるようになります。テレワークでは、チームメンバーが離れた場所にいるため、それぞれの働いている姿が見えません。メンバーの顔が見えないままひとりで働いていると、チームへの所属意識が薄れていってしまいがちです。また、自分のやっている仕事を、チームのメンバーやマネージャーが認識しているか、不安になることもあります。

分報に仕事の状況を書けば、チームメンバーに自分の存在意義をアピールできます。さらに、他のメンバーが分報に書いていることを見ると、チームの雰囲気がわかってきます。こうした積み重ねによって、テレワークで抱きがちな孤独感や不安を解消できます。

分報でやり取りを重ねるうちに、自分を安心してさらけ出せるようになり、「心理的安全性」が高まります。心理的安全性が確保されることで、各々のメンバーが安心して仕事に集中できるようになり、チームワークを高めることに繋がるのです。

●雑談チャットが会話のハードルを下げる

テレワークでも問題なく働けるほどのチームワークを育てるために、ぜひ分報のような雑談チャットのスペースを作ってみてください。

分報のメンバー構成については、サイボウズでは同じ部門の同僚20~30人程度が集まって、チャットのスペースを作る場合が多いです。公開範囲は、他のスペースと同じく基本的にはオープンになっていますが、クローズドのスペースで雑談をしている人もいます。

はじめて分報のような雑談スペースを作る場合は、やりづらいと思う人も多いかもしれません。まずは仲が良い人同士で自由に始めてみるなど、ゆるく試してみることをおすすめします。

分報のようなテキストのコミュニケーションでは、対面では言いづらいことも素直に話せる場合もあります。「すごいね」「ありがとう」などの言葉も、「うぉー!ありがとう!!!!」といった具合にビックリマークを付けるなど、気持ちを大胆に表現できてしまいます。

それに加えて、対面での会話と違って、チャットでは相手の時間を奪ってしまう恐れが少ないため、人に話しかけるハードルが低くなります。普段あまり話さない相手に話しかけてみる手段として、分報を使う人もいます。

気軽な雑談チャットだからこそ、ただ業務をこなしているだけではできないことができるという側面があります。テレワーク導入を機に、ぜひ活用してみましょう。

サイボウズ流 テレワークの教科書
サイボウズチームワーク総研
「チームワークあふれる『社会』を創る」を企業理念に掲げてきたサイボウズが、これまでに挑戦してきた制度・風土改革をはじめとするさまざまな取り組みに基づいた、メソッド開発・研修事業を行っています。研修セミナー、講演者派遣、コンサルティングサービスを通じて、事例を学び実践する場を提供することで、企業・組織の課題解決をお手伝いしています。

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