「ESGブーム便乗も、金融庁が投信名称に基準必要か検証に着手へ」そのタイトルがブルームバーグのヘッドラインに並んだのは3月3日のことだった。同記事は「金融庁は6月までに、投資信託の名称について一定の基準を設けるかどうか、資産運用会社や販売を担う証券会社などとの対話を始める意向だ。ESG(環境・社会・企業統治)に対する関心の高まりを背景に、ESG投資をうたう商品が増えたことがきっかけで、実体が伴っているかどうかに強い関心を寄せている」と伝えていた。筆者としては、正直、やはりそういう時が来たかという印象だ。

監督官庁たる金融庁の真意は「業者らが投資家を引き付けるために、ESG投資であることを誇張したり、誤認させたりするような名付けが氾濫することを防ぐこと」にあるという。要するに監督官庁の管理責任として「なんちゃってESG投信」を排除したいという意図だろう。監督官庁が動くということは、現時点で既にそうしたものが存在しているということだと経験上想像してしまう。実際にそうした問題が無ければ、転ばぬ先の杖ではあまり動かないからだ。

急ピッチで残高を積み上げる「ESG投信」

esg,投資信託
(画像=metamorworks / pixta, ZUU online)

確かに凄まじい勢いで「ESG投信」というカテゴリーは伸びているようだ。同じくブルームバーグのデータによれば、円建てで販売している投信の総資産ランキング5位に、既に昨年7月に設定されたアセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」がランクインしているという。同ファンドは当初設定額が3830億円に及んだことから話題となったが、何と3月8日基準では既に純資産総額が1兆円以上にまで膨らんでいる。それより大きい純資産総額を持つファンドは皆設定から3〜20年以上経過しているから、如何に急ピッチで残高が積み上がったかが良く分かる。