富裕層の間で「不動産M&A」が広がってしばらく経つ。不動産M&Aとは、不動産(主に収益不動産)を保有する法人の株式を譲渡することで、実質的に法人内の不動産を売主から買主に移転させるスキームを指す。
不動産の売買ではなく株式の売買であり、原則として20.315%の譲渡益課税で済むため、売主のタックスメリットが大きく、ここ数年広がりを見せてきた。そして足元では、富裕層の間で「不動産M&A」の進化形とも言える「不動産目当ての事業承継M&A」が注目されているという。
「土地持ち老舗企業」の事業承継M&Aがアツい?
「本業にかつての収益力はないが、老舗企業は良い立地に不動産を保有していることが多い。しかしながら、本業第一であるので、その不動産のポテンシャルを活かしきれていないケースが散見される。そのような企業が事業承継問題を抱えている場合、事業承継という名目でM&Aをすれば、優良な不動産を割安で取得できる可能性がある」(純資産数十億円の富裕層)