コロナ禍の追い風を受けて、フードデリバリーサービスの多くが業績を伸ばしています。Webやアプリから手軽に作り立ての食事を自宅まで運んでもらえる「出前館」も売り上げを大きく伸ばしました。にもかかわらず、なぜか赤字が拡大しています。上り調子の今、なぜ売上だけでなく赤字も増えてしまっているのでしょうか。その理由を探ります。

出前館の事業内容

出前館,武器
(画像=Prostock-studio/stock.adobe.com)

出前館では複数の事業を行っています。社名にもある出前(フードデリバリー)を筆頭に、デリバリーサービスを始めたい事業者に必要な配達グッズや食材を提供する「仕入館」、デリバリー機能を持たない店舗でもデリバリーを始められる「シェアリングデリバリー」、薩摩焼酎のECショップ「さつまゑびす堂」の4つの事業を軸としています。

コロナ禍も何のその!上り調子の出前館

新型コロナウイルスによって大打撃を受けている外食産業を尻目に、多くのフードデリバリー会社が売り上げを伸ばしています。

Webやアプリからさまざまな店舗のフードを注文できる出前館は、ウーバーイーツのない地方にも展開し順調に売り上げを伸ばしています。

出前館の2021年8月期第2四半期決算説明資料を見ると、加盟店舗数は前年比279%の5.9万店、アクティブユーザー数は前年比182%の582万人、売上高は前年比310%となっています。とてつもないスピードで事業を成長させていることが分かります。

しかし営業損失83億円のナゾ

出店店舗もユーザー数も急増し、売上も順調に伸ばしている出前館ですが、同時に赤字も膨らんでいます。前期の赤字が約9億6,600万円だったのに対し、今期の赤字は約83億8,200万円です。

売上とともに赤字も伸びてしまっているのは、事業拡大に向けた広告宣伝費や人件費がかさんだことが原因です。

出前館は「デリバリーの日常化」というビジョンに向けて、急速に事業を拡大しています。店舗に訪れ飲食を行う、従来型の飲食事業がコロナ化で急降下している中、事業者およびユーザーからニーズが高まっている今だからこそ事業を拡大しておきたい狙いがあるのでしょう。

その結果、出前館のサービスエリアは39都道府県に広がりました。

赤字でも今後の成長に期待が高まる出前館

新型コロナウイルスの感染拡大によって、ユーザーに求められるサービスの内容が大きく変わりました。外食はもっとも身近なレジャーとして多くの人が日常的に利用してきたサービスです。不特定多数の人物と接することが難しくなった今、「外食のワクワク感」をデリバリーサービスに求めるユーザーも多いのではないでしょうか。

一度身についた習慣はなかなか変えられません。多くの人が習慣的にフードデリバリーを利用するようになれば、アフターコロナでも出前館のニーズが大きく低下することはないでしょう。さらなる成長が期待される出前館の今後の動向に要注目です。

(提供:YANUSY

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