本記事は、相馬一進氏の著書『ぼくたちに、もう社員は必要ない。 ひとり社長のビジネス拡大戦略』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

CEO
(画像=PIXTA)

社員ゼロでも、会社は大きくできる

社員数ゼロ。しかし、売上は年商で1億円を超える。

そんなことができると思いますか?

ビジネスをわかっている人ほど「そんなの無理だ! 信じない」と思うでしょう。

でも、エッセンシャルではそれを実現しています。

そして、その方法でさまざまな業種の企業を、社員数ゼロのままで大きな年商を上げるまでに導いてきました。

また、メンバー全員の仕事がリモートワークで完結しているため、満員電車から解放されて自由な場所と時間で働き、さらに言うと私がいなくてもビジネスが回っています。

今のエッセンシャルの状態を知る人は、「初めから順調にここまできたのだろう」と思うようです。しかし、実際はそうではありません。

少し、私の過去の話をさせてください。

私は大学を卒業したのち、百貨店に2年ほど勤めてから独立しました。起業した最初の2年ほどは、本当に箸にも棒にもかからないような状態でした。朝から晩まで働いても、時給換算すると、スーパーのレジ打ちのバイトのほうが高いくらいでした。売上がゼロの月もありました。その後、会社をいくつか興しましたが、やはり苦労の連続でした。

現在の会社を設立したのは8年ほど前です。このときに、これまでの経験を踏まえて肝に銘じたことがあります。

それは、社員を抱えないこと、オフィスを持たないこと。

つまり、「できる限り固定費をかけないようにしよう」と心に決めたのです。

固定費とは、売上が発生しなくても出ていくお金のこと。これがあると、業績が悪化した場合にたちまち経営が苦しくなります。

例えて言うなら、会社員が会社をクビになったような状態。お金は入ってこないのに、家賃は出ていき、家計が火の車になるようなイメージでしょうか。

それを避けるためにも「固定費をかけずに、自分の自由な時間は確保して、会社を大きくすることはできないか」と考えたのです。

また、これまでの経験から学んだことがもう1つあります。

それは、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、「どんなビジネスでも、1人ビジネスのままでは、会社は大きくならない」ということ。

私は社員ゼロで会社を大きくしてきました。しかしそれは、1人ビジネスから脱却したからこそ、会社を大きくすることができたのです。

「社員ゼロなのに1人ビジネスではないなんて、どういうこと?」と思うかもしれませんが、その本質はシンプルです。社員ではなくて、外注の業務委託という形でビジネスをするのです。

実は、エッセンシャルには業務委託で20人以上のチームメンバーが関わってくれています。「なんだ、そんなことか」と思ったかもしれませんが、これは本当に大変なことなのです。

イメージしてみてください。社員と、外注の業務委託と、どちらのほうが会社へのロイヤリティ(忠誠心)が高いでしょうか? あるいは、仕事の辞めやすさはどうでしょうか?

一般的に社員のほうがロイヤリティが高く、会社に留まりやすいと思いませんか?

それは、社員に対しては毎月安定した給料を払っているからです。社員ならば、「少し嫌なことがあっても、安定した給料のために頑張ろう」と思ってくれるでしょう。

しかし、業務委託ではそうはいきません。良い意味で対等の関係になるので、気に入らなくなれば簡単に契約を打ち切って去っていきます。

ですから、業務委託のまま会社を大きくしていくのは、固定費が発生していない分だけ難しいのです。事実、エッセンシャルでも苦労の連続でした。

だからこそ、あなたがそういった苦労をしなくて済むように、この本にノウハウや考え方をまとめることにしました。私の失敗や苦労を礎としていただきたいからです。

嫌いな仕事は、早く手放したほうがいい

複数のタスクを1人でお手玉のように回していたら、どこかで、お手玉を落としてしまうことになる。どれも落とせない大切なお手玉であるにもかかわらずです。

1人ビジネスを続けるデメリットは、それだけではありません。1人でビジネスを拡大しようとすると、嫌いなお手玉がどんどん増えていくのです

たとえば私は、何かをゼロから作り出すようなクリエイティブな仕事がとても好きです。そして、それは私の強みでもあります。この本を書くような執筆の仕事は、何時間でも続けられます。

一方で、事務や経理などの仕事は、苦痛で嫌で仕方がありません。月末に税理士に提出しなければいけない領収書をまとめるだけでも、1週間以上かかってしまうくらいです。

さて、今の会社は1人ビジネスからのスタートでした。当然、事務は自分でやらなければなりません。なんとか気分を変えて頑張ろうと、スターバックスにノートパソコンを持ち込んで仕事をしていたものの、嫌で仕方がありませんでした。

そのため、私は当時、こう思っていました。「会社を大きくなんかしたくない」と。

売上を増やしたら、それにともなって嫌いな仕事も余計な仕事も増えてしまうからです。売上が倍増したら、嫌いな仕事も余計な仕事も倍増というわけです。

本心では「売上を上げたい」とか「収入を上げたい」という思いもありました。そして、「もっとお客さんに貢献したい」気持ちもありました。

それでも、嫌いな仕事を増やしたくないあまり、その気持ちにブレーキをかけてしまっていたのです。そして「足るを知ることが大切だ」とか「身の丈レベルの幸せがちょうどいい」と自分に言い聞かせていたのです。今思えば、それは自己欺瞞(じこぎまん)でした。

自己欺瞞というのは心理学用語ですが、本心ではないことで自分を説得していたのです。

1人ビジネスでは、嫌いな仕事もしなければならない。

あたりまえのことのようですが、この事実が私たち起業家の足を大きく引っ張るのです。これは私に限ったことではありません。

私のあるクライアントは治療院の代表で、ウェブ集客に悩んでいました。整体の仕事に情熱はあるものの、ウェブ集客のことが全くわからない、と。

同じ商圏内の同業他社が、美しく整ったウェブサイトやお客さんの気を引く動画で集客に成功していたため、危機感をつのらせていたのです。

とはいえ、もともとウェブ集客にはあまり興味がわかないというその女性。本を読んで実践しようとするものの、嫌々取り組んでいるので、ついつい先延ばしにしてしまう。これでは、成果が出るはずもありません。

その治療院の代表もまた自己欺瞞をしていたのです。本心では「集客は嫌い」と感じていたのに、「社長の仕事は集客である」と自分を説得して、頑張ろうとしていました。けれども、本心には逆らえず、先延ばしにしていたわけです。

ところで、やらなければならないけれど苦手なことを先延ばしにしたときに、自己嫌悪に陥ることはありませんか? 

苦手なことの「先延ばし」を自分の良くないクセだと思い、自分を責めたり、さらに自分を叱咤激励したりする人も少なくありません。

実はこれが落とし穴なのです。

「先延ばし」は、人間の脳のメカニズムにより引き起こされます。具体的には、扁桃体という脳の部位が働いています。

私達が苦手なことに取り組もうとしているとき、脳内では不安なことに対する防御反応が働きます。人の脳は「不安」を「危険信号」だと感じるのです。

たとえば、マツタケ狩りに山の中に入ったとします。そこで大きな熊が現れたらあなたはどうしますか。

おそらく熊に見つからないうちにと、一目散に逃げるのではないでしょうか。

この時、あなたの脳内では、熊という大きな危険や恐怖、不安に対して「戦うか」「逃げるか」の選択肢から、自分を守るため瞬間的に「逃げる」判断がなされています。

この脳内の働きを「闘争逃走反応」といい、文字通り「戦うか逃げるかの反応」をしているのです。これは極限の状態に限らず、日常生活でも起こります。

あなたが苦手なことを先延ばししたり、その作業を苦痛に感じてしまったりするのは、「先延ばし癖」でも「根性が足りない」のでもありません。苦手なことに取り組む不安に対して、自分を守ろうとする闘争逃走反応が働き、「あとにしよう」という意思決定をしているのです。

だから、苦手なことをしようとすると、人はなかなかスムーズに進められなくなります。頑張れない自分を責めてしまう人もいますが、頑張れなくてあたりまえなのです。

とはいえ、ビジネスに必要な仕事や作業は多岐に渡ります。その中には必ずと言っていいほど、あなたの苦手なことが含まれています。これが実にやっかいなのです。

私にとっては事務や経理の仕事、治療院の代表にとっては集客の仕事がそうです。これらの仕事をしようとするとついつい「あとにしよう」と考えてしまうのです。

この傾向は職人肌の人ほど特に顕著で、自分の専門分野以外は興味がもてないのです。だからこそ専門分野を深くつきつめて、それが誰よりも得意になっている由縁だともいえます。

「嫌な仕事がこれ以上増えるぐらいだったら売上を伸ばさなくてもいいや」とブレーキをかけてしまうことになるのです。

ぼくたちに、もう社員は必要ない。
相馬 一進 (そうま かずゆき)
起業支援コンサルタント、教育事業家。大学卒業後、百貨店で集客に携わる。TBSなどのメディアで紹介され、社内表彰を受けた。独立して起業するが、11業種で失敗。「起業成功のカギは集客にある」と悟り、企業の集客支援を始める。ダライ・ラマ14世や、スティーブン・R.コヴィー博士、リチャード・ブランソン、有森裕子などの講演会の集客を次々と成功させ、1億円超の売上を達成。現在はマーケティングや心理学をベースにしたコンサルティングやセミナーをしている。過去のクライアントは200業種以上にのぼる。世界で上位2%のIQ所有者のみが入会できるMENSAの会員。趣味は投資。

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