本記事は、相馬一進氏の著書『ぼくたちに、もう社員は必要ない。 ひとり社長のビジネス拡大戦略』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

採用
(画像=PIXTA)

面接時に候補者の顔は見るな

意外に思われるかもしれませんが、エッセンシャルでは面接が完全に終わるまで候補者の顔を見ることはありません。面接も対面ではなく、オンライン上でカメラはオフにして、声だけが聞こえる状態で行います。

顔を見ないで面接をしているのには、3つの理由があります。

1つ目は非常にリベラルな理由です。近年、履歴書などに個人の写真を貼ってはいけない国が増えてきています。

日本では、まだこの意味にピンとこない人も多いかもしれません。

たとえばアメリカでは人種差別がありますね。アフリカ系アメリカ人(黒人)の写真だというだけで、落としてしまう面接担当者がいます。写真を貼付しないのには、人種がわからないように配慮する目的があります。

それでもアメリカでは、アフリカ系アメリカ人(黒人)らしい名前だというだけで、落とされることが起きています。

私たちも人種差別の点についてはとても配慮しています。

2つ目の理由は、人間の服装は、大きな第一印象を作り出してしまうからです。

これは『第一印象の科学』という本の著者、アレクサンダー・トドロフの研究で明らかになっています。裕福そうな服を着ている人のほうが、貧しそうな服を着ている人に比べて、驚くほど優秀だと判断される事実があります。つまり、服装だけでその人の優秀さが判断されてしまうのです。

その中で、さらに興味深いことがあります。面接担当者に被験者になってもらい、実験の後にネタバラシをしました。

「裕福そうな服を着ているこの人は、服装は裕福そうですが、実際は貧しい人なのですよ」と。ところが、それでも第一印象の評価は変わることはなかったのです。

人間の認知は、呆れるほどゆがんでいます。人の服装によって強い第一印象、大きなバイアスが作られてしまう。それ以降は自分のバイアスを正当化するような情報を面接担当者はかき集めようとします。自己正当化しやすいのです。

もし第一印象で裕福そうな服を着ていて、優秀だと判断されたとしたら、仮に優秀ではないところが見えても、面接担当者はそれを見過ごしてしまうのです。

実際に、アカデミズムの世界でも、面接をせずに採用を判断したほうが、優れた学者を選べると言われています。

3つ目の理由が容姿の良さによる影響があるからです。

この論拠は、2011年のミュンヘン大学のマリア・アグーテの研究です。

この研究では、女性の面接担当者は容姿の良い男性に高い評価を付ける一方で(7.24点)、容姿の良い女性には低評価を付けた(5.92点)という結果が出ています。しかし、容姿の悪い男性に低評価を付ける一方で(5.59点)、容姿の悪い女性には高評価を付けた(6.56点)のです。

ぼくたちに、もう社員は必要ない。
(画像=ぼくたちに、もう社員は必要ない。)

興味深いと思いませんか。女性の面接者は、イケメンには優しく、そうではない男性には厳しい評価を付ける。しかし、美女には厳しく、そうではない女性に優しい評価を付けるのです。男女で容姿による評価が逆なのです

男性に比べて女性は容姿で選ばれることが多いので、女性の面接者は無自覚のうちに、容姿が良い女性に対して嫉妬したり敵対心をもってしまったりすることがあると言えそうです。

私は面接を通じて優れた人を採用したいと考えています。そこで顔を伏せたまま面接をおこなっています。

顔が見えるようにすると、候補者の容姿によって、面接担当者の心にかなり大きなバイアスが作られてしまいます。そのバイアスを減らすために、できるかぎり候補者の顔を見ないようにしているのです。

ぼくたちに、もう社員は必要ない。
相馬 一進 (そうま かずゆき)
起業支援コンサルタント、教育事業家。大学卒業後、百貨店で集客に携わる。TBSなどのメディアで紹介され、社内表彰を受けた。独立して起業するが、11業種で失敗。「起業成功のカギは集客にある」と悟り、企業の集客支援を始める。ダライ・ラマ14世や、スティーブン・R.コヴィー博士、リチャード・ブランソン、有森裕子などの講演会の集客を次々と成功させ、1億円超の売上を達成。現在はマーケティングや心理学をベースにしたコンサルティングやセミナーをしている。過去のクライアントは200業種以上にのぼる。世界で上位2%のIQ所有者のみが入会できるMENSAの会員。趣味は投資。

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